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初海外、夫婦で南インド旅 Part.3

2024/12/22(日) DAY3 チェンナイ


ホテルの朝食

7:30頃に起床。滞在したホテルの宿泊プランは朝食付きだった。昨日はフライトの疲れもあり朝食をキャンセルしたが、今朝は食べに行ってみることにした。

このホテルは0階にフロントと朝食用の食堂がある。日本の1階はインドの0階、G階(おそらくGroundの略)と書いてある。日本の2階はインドでは1階だ。5階建ての建物を4階建てと呼ぶのかは不明。

シンプルすぎるくらいシンプルな朝食ブース
手前からイドゥリ、サンバル、ダルだったかな

殺風景だか、なんとも心地の良い空間。食事はバイキングスタイル。TIFFIN中心だが、欧米スタイル?の食事パンもおいてあった。当然TIFFINスタイルで。

いろいろ少しずつ全部乗せ。特筆することはないが、とても美味しい

いろいろ食べたが全部美味しい。さらっとこのクオリティが出てくるので驚く。いや、ここはチェンナイ、南インドはタミルナードゥ州の大都市だ。日本ではない。このクオリティは当然のクオリティなのだろう。

コーヒーも給仕に伝えると作ってくれる、注いでくれる。

給仕の距離感が絶妙で気持ちが良かった

チェンナイへ来てから、頭だけが忙しく、日中の暑さと、終始感じる蒸し暑さで体はずっと疲れている。ここでの朝ごはん、休息としては貴重な時間だった気がする。

ショッピングモール Express Avenue

今日は映画を見て、買い物をして、音楽を聴きに行こうというプランにしてみた。まずは映画。お目当ての映画が上映されている映画館の中から、チェンナイでメジャーなショッピングモール「Express Avenue」にある映画館へ行くことにした。

チェンナイ近郊で上映されている映画と映画館を探すのは「Book My Show」というアプリがおススメ。当初はGoogleで「チェンナイ 映画」などの検索結果を参考にしていたが、Book My Showのほうが地域、映画タイトルなど絞り込みできて操作性が良い。ただし、登録されていない映画館もあるので、ローカルな単館映画館を探すようなときは注意が必要だ。

UBERでオートリキシャを手配したいのが、どうやらPLUS会員にならないといけないらしく、あきらめる。(後から分かったのですが、決済をカードではなく現金に変更することオートリキシャも配車可能でした。)

ホテルを出たところで、昨日出会ったうっとおしいオートの運転手が待っている。あ、しまった。昨日の会話の中で、うっかり滞在中のホテルを言っていたことに気が付く。

何か言ってきてるが、無視してUBERで手配しようとする。が、ものは試しということで、Express Avenueまでいくらか聞いてみる。UBER表示価格の2.5倍程度の金額を言われる。「高いわー」と言ったら、「凄く遠いからな」と言われる。あからさまな嘘をつかれたように思う。

ただ、この後の旅の中で、頻繁にUBERでオートを手配することで分かったのだが、流しのオートで要求される金額はUBERに表示されるオートの金額の約2~2.5倍くらいが相場のようだ。

UBERが安すぎるのか、流しの運転手が観光客の足元を見ているのかは分からないが、この相場を知っておくと、UBERで手配できなければ、流しを拾えばいいし、などの判断基準が自分で決められるのと、交渉時に金額をふっかけられているのか、妥当な金額なのか、おおよその判断がつくため、納得感のある金額を支払うことができる。なので、旅が(心情的に)楽になるかもしれない。

「もういいわ、UBERで行くから」と、運転手をけむに巻くために一旦大通りまで歩くことにした。

UBERで車を手配して移動する。運転手は物静かだった記憶がある。UBERの良いところは、目的地を運転手が分かっている、こちらも支払う金額が分かっている、チップのUBERのシステム内で可能というところだ。

英語できない、ましてやタミル語もできない、こんなわたしたちにとっては手続きのようなコミュニケーションを取らなくても移動ができたほうがありがたい。とは言え、はやり本来であれば、自分の口で話して、相手に伝わるほうが圧倒的な面白さはあるのだと思う。

ちなみに妻も英語ができるかと言えば、そういうわけでもない。簡単な英語でなんとか会話ができている程度ではある。それでも、できるだけ意図が伝わるように言い換えたり、何度も聞き返したりして、なんとか乗り切っている。たくましい。

日本ショッピングモールと何らかわらない雰囲気のExpress Avenue

15分くらいでExpress Avenueへ到着。運転手にお礼を伝え、車から降りて、モールへ入る。入り口ではセキュリティチェックがある。ゲートを通過した時に異常音が鳴ったが、そばにいる女性が何かする様子はない。

それどころか、人の数が多く、混雑しそうだったためか、その場にいたら、早く中へ入れと笛をピーピー吹かれた。

クリスマスセール開催中最初の日曜日、当然賑わいを見せていた

入ってすぐになんとなく落ち着く気持ちになったのは、日本のショッピングモールで見た光景そのままだからだろうか。12/25までクリスマスセールとのこと。モール内も人で活気づいている様子。上映時間まで、あと数分、速足で向かう。

映画鑑賞 1本目

モール4階までエスカレーターであがり、向かったのはPVR escapeという映画館。チェンナイでも複数店舗あるメジャーなシネコンのようだ。そして、今回のお目当ては「Viduthalai Part2」

たしか2024年12月21日に上映開始された新作だったはず。ネット上での前評判が良かったので、今回の旅で見に行くと決めていた映画である。Part1はZEE5というネット配信サービスで鑑賞済。Part2ではVijay Sethupathiがいろんな意味で大暴れしそうな予感しなかく、楽しみにしていた1本である。

PVR escape入口。日本で言えば、イオンシネマかな

映画館入口でもセキュリティチェック。男性はザックも開けて中を見せろと言われる。そこそこ厳しい。

チケットカウンタで妻が映画タイトルと人数を伝える。スタッフが入口方面にいたお店の責任者らしき人物と会話。その責任者らしき人物に手招きで呼ばれる。

どうやら家族連れのお客が今回の上映をキャンセルするらしく、自分たちにそのチケットを買ってほしいとのこと。購入前に年齢を聞かれる。家族のお父さんらしき人へお金を払い、少し多くお釣りをもらい、お母さんらしき人から、チケット画像をもらい、無事に?購入完了。

こういうことが良くあることかは分からないが、ともかく上映時間に間にあってよかった。

映画「Viduthalai part2」、たしかUNDER15の制限があったので、もしかしたら年齢制限でお子さんが引っかかってしまったのかもしれない。

トイレに行き、すぐに上映されるスクリーンへ入る。入り口でも年齢を聞かれる。50歳と44歳と伝えると、後ろに並んでいた夫婦が驚いていた。おまえ本当に50歳か?みたいな表情をしている。日本人は若く見られるのかもしれない。お兄さん、こう見えて、もう半世紀も生きちゃってるんです。

まずスクリーンに入って感じたのは、冷房が効きすぎていてとても寒い。女性は耐えれらないほどに寒いと思う。実際、妻も「これはかなりしんどいな」とぼやいていた。日本人の皆さん、チェンナイで映画を観るときは、必ず上着を持って行ってください。

席は左の端のほう、なおかつ前のほうだったが、見上げるほどではなく、悪くはない席だった。となりの地元民に英語で「タミル語分かるのか?」と聞かれる。サブタイトルがないから心配してくれのかもしれない。

タミル語ほとんど分からないが「コンジョン、コンジョン(ほんの少しと言いたかった)」と答える。そこから「どこから来たの」「学生さん?」「何しにきたの?」と片言の英語でやりとりしているうちに上映開始となった。

映画の開始時の流れは、日本のそれとさほど変わらなかった。近日上映の予告編のあと、心臓病関連の動画?(これはどの映画館でも必ずと言っていいほど流れていた)そしていつものスモーキングキャンサー、スモーキングキルズの注意事項、そして本編スタートとなる。

入ったスクリーンはかなり大きく、定員300人くらいだろうか?日曜日だったのもあるのか、ほぼ満席。

上映開始から観客が賑やかになるのかと思いきや、皆さんおとなしく見ている人ばかりである。だたし、モバイルフォンマナーは日本のようなものはない。上映中のモバイルフォン見ている人はいるし、呼出音も鳴るし、普通に電話しているもいる。

また、面白いと思うシーンでは、大きな声を出して笑うのも日本人とは違うなあと感じた。この笑いのツボ、ちょっとサディスティックな場面で笑う人が多く、ああ、そういうところが面白いのかと勉強にもなった。

そして、日本にはないインターバル。インド映画は基本的に短くても2時間超えるため、映画の途中に小休憩が入る。(ちなみに日本の映画館でも、例えばSPACEBOXさんの自主上映などではインターバルがある場合があります。)

休憩は15分程度。大半の人が席を立って、おそらくトイレもしくはフードやドリンクをオーダー。休憩中はハイブランドのCMが流れていた。おそらくスポンサーとかモール内のお店のCMと思われる。見ている人はほぼ皆無だが、個人的には大画面でトリシャーさまを拝めて感無量。

トリシャーさま4連発

想定以上に劇場内が寒かったので、夫婦でホットドリンクを買い、持ってきていた風よけを羽織り、後半戦へ望む。

今回の映画館、チケットは1人200ルピー程度。それに対して、ドリングは1人150ルピー程度。うーん、チケットが安すぎるのか、ドリンクが高すぎるのか、日本とは異なる料金設定ではある。

インターバル後、後半戦も終わり、エンドロールが出ようとした途端にスクリーンが明るくなり、沢山の人が退場し始める。インド人は余韻にひたることなどしないらしい。次のお楽しみに忙しいのかもしれない。

お昼ごはんのはずが

夕方の予定まで2-3時間程度、あまり時間がないので、フードコードでお昼にしようということになり、一つ下の階へ移動する。

お昼過ぎも大賑わいのフードコード

ここにも沢山の人が。座るところをなんとか見つけて、何を食べようかということになる。妻がひとりで言ってきてみなよと言われる。フードコートのはずれのドーサ屋へ向かうも注文方法が分からない。

「オーダーできるか?」と尋ねたら、「ここではオーダーできない」と言われる。「となりに買うところがあるから聞いてこい」と言われたように聞こえた。

となりには何かチケットカウンターのようなブースがあり、買い方を聞くと、どうやら何か登録しないといけないらしい。

「聞こえた」「らしい」という表現をしているのは、わたしの英語力の無さのせいである。本当に何を言っているのかよくわからない。かろうじて聞き取った雰囲気になっても、こちらの語彙力がないので、聞きたいことを聞くことができない。

妻がわたしに「ひとりで言ってきてみな」と言ったのは、こういうことに慣れさせようとしたためだろう。

他のお店のブースへ行き、注文できるか?OKだった。クレジットカード使えるか?聞いたらOKだった。ところが、何か赤いカードを出して、これを使えばOKということを言っている。それが何でどこでどうしたらいいか分からないから、お礼だけ言ってブースを後にする。

結局、注文が出来ず、買い方も良く分からない。ただし、何かしら登録する必要がありそうなことだけは分かった。

そのまま妻に伝える。買い方が分からないので仕方がない、時間もないしフードコード区画の外でお店を探す。どこも混んでおり、あきらめムードとなる。お茶だけでも飲もうということで、Chai Kingsというお店でチャイを2つ注文。チェーン展開していそうな雰囲気のチャイショップである。

フードコードから少し離れた場所にあったChai Kings

カード決済を試してみるが、決済できない。別のカードも決済できない。スタッフの女性があからさまにイライラした表情を見せていたので、現金で精算することにする。

小銭がないので500ルピー札を渡す。400ルピーのお釣りをもらい、となりでもらってくれとジャスチャーされる。

小さな紙コップになみなみ注がれたチャイが出てくる。数人商品受け取り待ちが出ていたので、2つもって少し移動する。びっくりするくらい熱い。数十センチ移動して、ひとまずチャイを置く。

となりのタミル人が笑っている。あんた、そりゃ熱いだろうと。それを見ていたスタッフが忘れていたのを思い出したように紙ナプキンを数枚差し出してくれる。

他のお客が飲んでいるのを見て気がつく。紙ナプキンで紙コップを包んで、手に持って飲むのが流儀らしい。

妻に「だから熱いから気を付けてって言ったじゃん」と笑われ半ば呆れられる。実はそんな言葉をかけられたことすら知らなかった。

チャイの味は覚えていない。とにかく熱々だなというのだけは分かった。

英語が分からない。聞き取れない。教えてくれているのに理解ができない。まわりを何かしらイライラさせているようだ。お腹がすいている妻を横目に、昼ごはんの注文すらできない自分に呆れる。

モール内をぶらぶら

チャイを飲み終わり、少し時間があったので、移動前にウィンドウショッピング。一画に本屋があったので入ってみる。

モール内のBOOK STORE

わたしも妻も本屋は嫌いではない。いろいろ興味深い品揃えで、見ていたらキリがない。早めに切り上げることにした。

南インドでもSRKさまは人気のようだ

下の階に移動して、妻がサリーやクルタのお店を数件見て回る。値札を見て、品定め。楽しそうで何より。

とあるお店では「日本人のかたですか?」と声を掛けられる。近郊の地域に数カ月滞在している日本人の女性だった。「日本語が聞こえてきたので思わず」とのことだった。下の階のお店の方が安いものがあったと妻と買い物の情報交換。少し会話をしてお店を後にした。

下の階にあるお店がどれかちょっとよくわからないままそろそろ時間ということでモールの外に出て次の目的地へ。

UBERで配車の手配をしようとするが、ここがどこかわらない。ゲートを確認していたら、オートの客引きがうるさい。今朝と同じく、ものは試しとばかりに、妻がGoogleMapを指さして、ここまで行くがいくらか?と確認してみる。とりあえず乗ってと言われたので乗車してみる。

GoogleMapで場所を伝えるも、場所が分からないらしい。地図が読めないのか、英語が読めないのか、ちょっとよく分からない。近くの運転手数人で確認している。

そして目的地の方面なら300ルピーだと。UBERの倍以上の金額だ。200ルピーと言った別の運転手もいたが、なんとなくあてにならなさそうだったので、一度モール前に移動して、ゲート番号を確認してUBERで車を手配することにした。

日曜日の夕方でUBERも込み合っていたようだ。数回手配を繰り返し、手配できた車が到着するまで20分ほどかかってしまった。約束の時間にはギリギリ間に合わなさそうだが、とにかく向かうことにした。

古典音楽を楽しむ

広い道路へ出て、いかにも郊外へ抜けていくような道を南へ進む。車中でGoogleMapを眺めたところ、目的地付近はどうやら役所とか大学とか公共の施設が立ち並ぶ区域のようだ。人通りも明かりも減ってきて、すでに日が落ちた公園の中へ入っていく。

暗がりの中、並木通りを抜けていくと路上駐車の車と人の量が増えてきた。目的地へ到着したようだ。

あきらジーに教えてもらった目的地は、チェンナイ市内で開催しているミュージックフェスティバルの会場の一つ。アビシェークのライブを楽しめるとのことでやってきた。

あきらジー、こと井生明(いお あきら)さんについては、旅日記Part.2をご覧ください。本文最後にも井生さんのWEBサイトリンクを掲載しました。

ここまでやってきたのに、本当に恥ずかしい話だが、このアビシェークという人物をわたしは知らなかった。古典音楽のボーカリストでは超有名人らしい。

郊外にある文化会館のような建物が会場だった

すでにチケットは売り切れと聞いていたが、あきらジーに言われた通り、まず受付に今日のチケットを聞いてみる。案の定、SOLDOUTと言われた。

奥でチケット手配をしていると思しき男性が出てきたので、再度確認してもらった。日本人と分かったとたん、ちょっと確認してくると奥のほうへ消えていった。待っていればよいのか分からないが少し待つことにした。

数分待つと男性が戻ってきた。席が空いているから良いよ。と言ってくれた。ひとり750ルピーとのこと。日本から来たの?と言われて、そうだと答える。「こんにちわ、ありがとうございます。」と言われる。こちらの「ワナッカム、ロンバ、ナンドリ」と挨拶にもならないタミル語を返す。

チケット代金が印刷された紙きれを渡されて、これで会場入り口へ向かってねとのこと。会場入り口でスタッフに手渡すと半分くらい破って、ドアを開けてくれた。あ、この破った後が入場済、みたいな感じなのか。

ライブはすでに始まっている様子。かと思ったが、今まさに始まったようだ。

中央がアビシェーク、左がバイオリン奏者、右はムリダンガム奏者。今回はトリオ編成のようだ。

初アビシェーク。とんでもないジーニストだった。カルナータカ古典音楽を奏でている、歌っているはずなのだが、完全にアビシェークワールド全開であった。声という名の音の出し方、リズムの取り方、何もかもオリジナルである。そして、緊張感ある中でも、とんでもない余裕で観衆を和ませる。

ところで、わたしがこのカルナータカ古典音楽を知ったのは、映画「響け!情熱のムリダンガム」というタミル映画が最初だった。

古典音楽らしく様式はしっかりとあるようだが、その一方でインプロゼーションや即興性も大事とされる音楽らしきことを知った。

相反するものが同居するということと、伝統芸能の部類なのに即興性も取り入れてくることに不思議な魅力を感じた。音楽としては好きな部類ではないが、単純にこの音楽に興味がわいた。

また、この音楽を生演奏で体験したのは、昨年9月。神戸の開催された「マールガリ・ジャパン2024」だけである。ゆえにこのカルナータカ古典音楽というものが何者かは正直よくわかっていないのが事実である。

そんな、何も分かっていないわたしですら、アビシェークには一気に引き込まれてしまった。

そして、この古典音楽を本場チェンナイのミュージックフェスティバルの真っ最中に楽しむことができたという体験にも、耐え難い満足感を得た。チェンナイ入りしてから、頭も体も忙しかった、そんなチェンナイ旅での心のオアシスのようであった。

ライブ後、あきらジーにお礼を伝えに行くも、壇上でアーティストたちにお礼を言いに行こうぜということで、壇上へあがる。

観客の半分くらいが壇上へあがっていき、アーティストへ直接お礼を伝えてたり、セルフィーをおねだりしたりして賑わっている。当日の最終公演のときのお約束の光景らしい。日本でもライブハウスでこの手を光景を見かけることがある。

左から、あきらジー、ムリダンガム奏者のパトリ・サティーシュクマール、ボーカルのアビシェーク・ラグラーム、バイオリンのH.N.バースカール、サウンドエンジニア

その間、会場で数人の日本人の方と遭遇。あきらジーが食事へ誘ってくれたので、皆で行こうということになる。近所のRATNA CAFEへ行くことになった。

皆で晩ごはん

流しのオートを止めて、先ほど会場でお会いしたHさんとわたしたち夫婦の3人で乗って目的地を伝える。よくよく考えるとこれが初オートリキシャーだった。

走り始めるが、すぐにエンストで止まる。移動中、何度も何度もエンストするが、その都度運転手とエンジンが頑張ってくれている。なんとか目的地へ。

プスン、プスン、プスンと音が鳴り、路肩で止めて、スターターを何度も引っ張り、再度エンジンスタートして走行再開。を目的地まで繰り返す

要求されたのはUBER相場の倍の200ルピー。え?高いよ!と言うも、エンストして大変だったと言い訳を始める。いろいろ言い合って、120ルピーか150ルピーで無理やり手打ちとする。

運転手、漫画で見るようなガッカリした表情を見せて走り去った。日本人3人乗せていたから、それくらいとれるかと思っていたらしい。

RATNA CAFE外観

RATNA CAFE。チェンナイ市内に複数店舗を構えるメジャーなカフェ。いわゆるTIFFIN系の軽食、ビリヤニなどが一通り食べられる、夜もそこそこ遅くまで営業している、使い勝手のよさそうなお店らしい。

妻はドーサ、わたしはビリヤニ、それぞれ好きなものを頼む。もう少し食べたかったので、サンバルイドゥリを追加。このサンバルイドゥリがとんでもなく美味かった。

イドゥリサンバル。何気ないメニューがどびきりうまかったりする

晩ごはんは3名の日本人と一緒だった。皆、ミュージックフェスティバルが目当てでチェンナイ入りされているとのこと。わたしたちのように、不埒に、たまたま楽しみに来た人はいないようだ。

あきらジーのマニアックすぎる情報に目を回す。他の皆さんは食い入るように聞いている。わたしたちは話についていけず、なんだか申し訳ない気持ちになる。それにしても、お仕事とはいえ、本当によくご存じである。

22時過ぎ、コンサート観て、ご飯食べて、おしゃべりにはちょうど良い雰囲気

会計の時になって、あきらジーが給仕と話している。どうも会計に間違いがあり、ビリヤニを4つも注文したことになっている。給仕に説明して、会計を修正してもらう。

この間、あきらジーはずっとタミル語。まくしたてるような早口で話している、誰がどう見ても地元民だ。修正された会計になぜかミスした給仕がgoodなジェスチャーをしたので、あきらジーが「おまえが間違えたんだろうよ、何がOKだよホントに」と冗談交じりで言っている。のちに日本で説明し照れて、わたしたちも周りのスタッフにも笑いが起こっていた。

あれくらい流暢なタミル語で地元民とコミュニケーションを取りたいものである。

帰りはあきらジーと同じオートで移動することとなった。走り始めてから金額を聞くと500ルピーだというので、そりゃ高いなということで、あきらジー「ここで止まって」と何度も言うも、運転手は「ノープロブレム」と走り続ける。あきらじー「ダメだぁ、この運転手は交渉にノッてこないわあ」と笑い飛ばす。

ああ、そうか。

インド人とつきあうときはこういう感覚でいないと疲れるのだろうな。わたしが何もしていないのにやたら疲れている理由が分かったような気がした。そして、少しだけこの旅を楽しむヒントもいただいたような気がした。

ホテル着。0:30くらいだった気がする。あきらジーにお礼を伝えオートを降りる。オートの中では、再度交渉なのか運転手へ話しかけるあきらジーの姿。明日も朝から予定があるので、シャワーを浴びてすぐに就寝。

あきらジーこと、井生さん、貴重な体験をありがとうございました。また年明けにお会いできれば!

Akira Io オフィシャルサイト

南インド氏

南インド>お疲れ、お疲れ。

なあ、今日は、さすがに楽しかっただろ?

わたし>(はぁ、まただ)

南インド>ああ、お前の言い方だと、まあまあ、それなりに面白かったです、なのかな。そうだ、今日はもう相槌とか打たなくてもいいわ。聞こえてるのは分かってるから。

お前ってさぁ、音楽のことになると、結構夢中になっていられるよな。いいよな、そういうの。

高校生の時に、ニューエストモデルの雑種天国のPVを観て、衝撃を受けていたよな?

それでお前、指が短いからコードが押さえられなくて、ギターやベースは早々にあきらめて、バンド全盛期のあの時代に、打ち込みバンドやって総スカンだったよな?

高校出て上京してからは、毎週毎週レコードショップに通って、インナースリーブの情報だけを頼りにテクノやらハウスやらのレコードを買い漁っていたよな?兄貴の影響は大きかったんだろうけど、お前もCLUBでDJとかやってたもんなあ。

わたし>(なんでそんなこと知ってるんだ?何者だこいつは?)

南インド>名古屋戻ってから、いろいろあって、まあそこはいいか。夜勤で肉体労働やり始めた頃、なぜかクラシック聴くようになってたよな?夜勤明けにカルテット聴きに行ったり、オーケストラ聴きに行ったりしていたよな?お前、チェロ奏者にはまっていたよな。

それで、今の奥さんと出会って、W.C.カラスのライブ観て、ファンになってたよな?で、最近興味があるのは、吾妻光良& The Swinging Boppersらしいよな。でも、今でもニューエストモデルとボガンボスが好きなんだっけ?

それでお前、今日なんか、あれだぞ。チェンナイまで来て、カルナータカ古典音楽を聞いてビックリしたんだろ?しかも、お前さ、アビシェーク知らないくせして、750ルピーも支払ってんだよな?何十万も使って何しに来てんだよ。面白いやつだな。漂ってるよなぁ。

そうだ、お前が小さかった頃、お前の親父もおふくろさんも鼻歌が絶えなかったらしいな。

あのさ、夢中になってたものは、大切にしろ、とは言わないけど、あんまり雑に扱うなよ。まあ、お前がどう扱ったとしても、向こうがお前を雑に扱うことは無いけどな。

明日も面白くなってくれよな。おやすみ、おやすみ。

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