「そして学者は云った」あとがき的な記録

学者主人公で楽しんだ1週目の想像妄想記録をつけたくて、リプレイ記と謳って小説を書いていました。

そのうちの一つ、学者サイラスと剣士オルベリクに焦点を当てた話がこの度書き終わりましたので、あとがき的なものを書いてみます。

どちらかというと、私自身が忘れないために書き残しておきたいことをいくつか書く、という感じです。

どんなん書いたん?と気になってくださった方は、年末の時間のあるときにでもお付き合いいただければ幸いです。ただしネタバレオンパレードなので、原作やっていた方がいいかなとは思います。なくても、ふーん、と流し読めるようにはなっています。細かいイベントはスキップしていて、セリフも一部調整したりカットしています。

ゲームを遊んで楽しかった!!という自分の、その時見ていた景色を書いたお話です。


・「そして学者は云った」のタイトルについて

理由よりもインスピレーション……つまりひらめきからタイトルを付けるタイプなので、なぜそのタイトルにしたのか?と言われたら、その言葉が最も適切だったから、と答えます。

 オルベリクは誰かと共に在る生き方をする人です。長く、誰かと生きてきた人です。無論、一人でシナリオを進めたならば、その誰かはエアハルトにほかならないのですが、トラベラーズと旅をした以上、その誰かはトラベラーズで代替可能なわけです。少なくとも一時しのぎにはなるというか。(この表現に深い意味はありません)

私が初めて旅をしたとき、その相手は学者サイラスでした。偶然にも彼らはそれぞれ選んだ道の先を進むプロで、それなりの自負を持ち、少なくとも自分のすることに対しては素直に向き合う人でした。
そして、サイラスは、本のように開かれた存在でした。これは想像ですが、程度の差はあれ、彼自身が吸収する誰かの積み重ねてきた知識は、それまで個を意識したことの少ない人間には、文字を書くように強烈で、一種の比較対象となったのではないでしょうか。「あなたってこういう人なんだね」と言われて、どう受け止めるか。オルベリクは素直に聞き入れ、吟味する人間だったと思います。
共に旅をすることで、己はどうかと考え直してきた。そういう思考の流れをゲームの中で見ていたので、オルベリク自身の思考のベース、きっかけともなった学者の発言がタイトルに相応しいだろう、と思い、こうなりました。


・剣士オルベリクのストーリーについて

オルベリクの話は1~4章あるうち、1~3章と4章で切り分けることが可能だという読み方をしました。なぜなら、始まりの目的がエアハルトに会うことだったのに対し、3章でその目的を果たしているためです。

再起のために、というのが彼のテーマ曲の名前です。「彼自身がどんなやつなのか」がわかるのは実は4章だけで、1~3章かけてじっくり再起していく彼の姿が描かれてきた、と私は考えています。だから、再起のために、なのかな、と。

オルベリクの過去は言葉でのみふらふらっと書かれていますが、実際、彼はエアハルトが裏切るその時まで集団の中のひとりだったんじゃないかな、と思います。自己への意識や理解が薄いというか。サイラスの鈍さやテリオンさんの鈍さを取り上げる人をたまに見かけますが、男性陣は大体鈍ちんだし、オルベリクに至っては自分に対してあらゆることがめちゃくちゃ鈍いと思います。
でも、おそらくそんな彼だからこそ、4章で、あんなふうに表に立つことができるのだと思います。

彼は国を滅ぼされたことに対し、再び国を作り直す、といった忠誠心の方に走るのではなく、健全な王との関係性から、悪を断つのみが己の役目としたと思います。頼られたときは剣を手に取りますが、戦闘で何かを指揮するわけではない。国の未来を担うわけでもない。この点において、彼自身は非常に、普通の人間だな……と思います。時の流れに身を委ねる人。そして能力を発揮する人。(これを書いていて、アルドノアゼロのいなほくんを思い出しました。)
このあと、国を興したいという少年が彼のもとに現れたら戦記物になるんやろな……とは思います。

話は大いにそれましたが、そういうわけで3章までで区切りました。
4章を書くときはタイトルを変えないとな〜と思っています。リバーフォードはめちゃくちゃ書きたいし、個人的にアフェオルプリの三人にとっても色んな意味で響く場所だと思っているので、そのあたりも踏まえて書きたいな、と思います。


・幕間について

タイトルのない小話と「なり得ぬ彼らについて」の2つを幕間として書きました。これは、オルベリクとサイラスの二者関係に重きを置く以上、サイラスと最も多く関わったテリオンさんの存在を書かないでは話が進まないからです。

先に述べたように、サイラスの言葉かけがオルベリクにとってのベース、本筋となったのに対し、それを熟成させる要素は他のトラベラーズが担っていた、と考えています。

自己に関して特に共感し合えたのでは……というよりは、私のプレイ時のメンバーがテリオンさんとプリムロゼしかいなかったので、今回のようになりました。ちなみに背景要素としてアーフェンくんは外せません。アーフェンくんに薬と剣について話すパティチャが好きだったのと、それが印象に残っているためです。

プリムロゼに関しては、恥ずかしながらほんとにリプレイ記のときの想像を反映しました。先入観でこの二人になにかあるのかな?と思っていたんです。つまりは二人とも復讐でしょ……?と思っていました。違ったけど。
プリムロゼはやりきってくれそうなキャラだと信じていましたが不安がありましたし、オルベリクは復讐をテーマにした少年ジャ○プか……って感じていったので、3章以降はあまり一緒にいなかった気がします。というかオルベリクのレベルがプリムロゼよりも低かった時期が長かった。プリムロゼ2章に連れて行ったのもレベル調整の意味もあった気がします、確か……。
レベルが並ぶとオルベリク使えるじゃん!でハンイットさんと交代させてました。(私の中での物理特攻はハンイットさんとテリオンさんです)

テリオンさんとオルベリクについては書いたとおりです。あれ、オルベリクを先にやっていたら、どう思っていたんだろうか……と他の人の作品を読んだ今、やっと考えるようになりました。やってる当時はもうそんなん仕方ないわ先にやりたい方をやる!って感じでやってました。
加えて、パティチャを見る限り、そこまでウェットな関係じゃないんだな〜と安心していたので、影響範囲も互いにささやかかな、と思っていたのが本音です。オルベリクにとってはテリオンさんの方が鮮明に残るだろう、と。なぜならテリオンさんはテリオンさんとして生きていかないと難しかった人なので。(と私は最初に読み解きました)


また、テリオンさんとサイラスがツートップだったので、あんな感じにしか見ていなかった、というのもあると思います。ちなみに、思考のレベル的にはサイラスとテリオンさんは並んでいる方だと思っています。オルベリクより1~2つくらい頭の回転早くないと、盗賊は続けられない気がします。(無印を見る限り)

テリオンさん、早熟な人ですよね。世界観や経験も相まって。だからオルベリクの暮らしていた世界のゆったり感や、オルベリク自身の性格や価値観をひしひしと感じていました。

余談ですが、私はテリオン3章を見るたびに、ダリウス君に罵られるテリオンさんの後ろにみんなが無言で集まってギュッ……てしてるなこれ、という自分の想像を思い出します。みんな無言で言い返してたと思うんだよ。

話は戻り、テリオンさんとオルベリクの間に流れる、これまたプロとプロの空気感が好きです。お互いに人となりは尊敬しているかもしれませんし、技術としてはおそらく誰よりもその腕を見抜き、信頼しているのだろうと感じていました。
テリオンさんが最初からオルベリクには素直な……感じなのもオルベリクの強さがわかるからかなぁと思っていました。サイラスに対しての警戒心みたいなもの、まったくなくないですか?アーフェンくんに対しては向こうのビクビクを察して遊んでいるきらいがありますが、オルベリクの前では背筋ピーンとしている気がします。
でも、馴染むに連れてオルベリクに対しても軽口が増えていったらいいなあ、の妄想がこれらの幕間です。


・構成について

お気づきの人がいらっしゃったら嬉しいのですが、(支部投稿だとわかりにくいかな、とも思います)、1章と3章が対比です。2章となり得ぬ彼らについて、が一つのまとまりです。
私はこういう同じ言葉の重ねがけが大好きで、あのときはこうだったけど今はこうなんだね……と、読者としても読んでて楽しいと感じる作りをしたがります。

2章となり得ぬ彼らについて〜あたりが、オルベリクは何者か?に対する思考の積み重ねですね。1章と3章はトラベラーズとの関係性と、オルベリクが騎士なのか剣士なのか、という部分を強調しています。
おまけで語ると、私の小説の書き方は評論文の書き方と一緒なので、始まりと終わりがおおよそ対応するようになっています。そういう話ばっかり書くから他の書き方をたまにしようぜ、と思うこともありつつ……でもやっぱりきれいにスルッと終えたい、という欲求に勝てません。
そういうわけで、私が話を書き出すときは大抵終わりが決まっていますし、主軸はぶれるはずもなく、そこに細々とした要素が絡み合って熟成されていく感じが強いです。熟成された結果を騒ぎたいので、その導入を開示する感じです。


・余談

これは間違いなく私の読書の好みなのですが、人の移り変わりが丁寧に描かれているお話に満足感をおぼえます。
何をしたとか何を思ったか、を逐一知りたいわけじゃなくて、ターニングポイントとなったその一点一点をどうつなぎ合わせていったのか、その結果に何を考え思ったのか。それを私は知りたいんですよね。
人間なのだから考えて生きてほしい、という願いを、せめて本の中では叶えてほしいので、これだけはどうしても外せませんでした。二次創作なのにね。

ドラマを読みたいんですよね、きっと。普通のドラマは観たくはないんですけど(っていうかオクトラは原作やればそれがドラマだし)、ドラマを小説で読みたいというか。

決められた一点から辿ったその話はどう見えるのか?では別の一点から見た話はどうなるのか?それを楽しんでいるので……。

本当なら完全に第三者視点で全員描写して然るべきかもしれませんが、それはつまんないのでやめています。私は、特定の視点による誤解とか勘違いとか大好きなんです……。だって人間みんな、それをやってるじゃん……?って思うので。人間らしさを感じていたい。たとえフィクションでも、その世界に地に足ついて生きた人であってほしい……というかそれを感じていたい!私はモブになりたいんや……読者という越えられない壁の向こうにいる……モブ……!(生々しさはあんまなくてもいい)
二次創作ではこんなのは好まれない……というか、私の作品は読まれること自体も少ない方なので、ここも含めて、こんな辺境の地まで気にしてくださる方には毎度頭が上がりません。本当にありがとうございます。

4章のリバーフォードは書きたいなーとは思っているのと、今は学者と盗賊の話を絶賛ねりねりしながら、身体は漫画モードにいるので漫画を描いています。下手なりにオールキャラとか三人組とかコンビの漫画を描いていこうと思うので、次のシリーズの小説が公開されるまでの箸休めくらいに見てもらえたら嬉しいです。

オールキャラのまとめは年内に考えていて、どこかでオールキャラだけのログ本作りたいなあなんて、ふんわり目論んでいます。


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