[蛸旅]薬師シナリオを振り返ると情緒が乱れる[感想・読解]


こいついつも情緒乱れてんな……と思いながら書きました。


オクトパストラベラーの感想・読解はこれで3つ目になるらしい。全てネタバレありきの話になるので、未プレイの方はぜひこちらをやってください。


それでは本題に行こう。
今回、ちょうど「薬師くんのことわからん!」と騒いでいた時期から一年が経過したので、一年前の私に語り聞かせる体で書こうと思う。
なお、この記事はあくまで無印だけの情報で書いている。一番最後にちょっと書くかもしれないが、基本は覇者の情報がないと思って読んでくれて大丈夫。


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一年前の私へ。
誰かの視点を挟むより、まず本家本元「薬師アーフェン」の「シナリオ」について自分の視点で振り返った方がわかりやすいのではないか、と考えたので考えることにしたぞ。

はじめに下記のことを覚えておいて欲しい。

・薬師アーフェンのキャラクターの造形は、非の打ち所がないと思う
・今回語りたいのは薬師アーフェンのことではなく、彼が歩んだ旅の物語にして人生の一部を、「プレイヤー」という第三者がともに体験した時にどう捉えていくと納得できるのか?というポイントのみである
・シナリオに対して「納得したい」という気持ちの発散のための情報整理であり、「シナリオとしてこうあるべきだ」や「こうしておいたほうがよかった」みたいな無粋な話をするわけではない

非常に曖昧な部分を扱うので、言い残しておく。
それではいくぞ。心の準備はいいか?



薬師アーフェンシナリオを振り返る

忘れている、見落としていることがあるかもしれない。というかきっとそうだと思う。アーフェンくんというキャラクターは大変に情緒豊かに描かれるので、共感性に弱い私は知らないうちに情報を受け取ってしまい、本筋を見落としている可能性がある。
とはいえせっかくなので、振り返る前に要素に落とし込んでみた。

1章 これまでのアーフェンの日常と、本当にやりたいことの具現化
2章 初めての知らない薬師、対価についての価値観
3章 選択することの責任
4章 同じ轍は踏まない、本当にやりたいことの選択

すごくふわっと要素を並べたが、おおよそこんなことだったのかな?と思っている。どうだろうか。

だが、一年前の私よ。君は「その割になんだったんだろう……あの終わった時のモヤッと感は」という顔をしたはずだ。

本人の爽やかさで押し流されそうになるけど、え?って部分が大分ありすぎたのが最初の印象だったな。「え?」という部分があまりにキャラクターの性格演出に関わっているので、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない、と思ったよな。


●●1章●●

すでに振り返った段階で、もしかしてこのキーワードを拾っていないと無理なのでは?というものがあった。

・お母さんが亡くなったのは一年前
・アーフェンは昔は(というかつい最近まで?)悪ガキだった
・ゼフはアーフェンの隠しごと(やってみたいこと)を察している
・「お代」はもらわない(持ちつ持たれつ?)
・薬師は万能ではないことを知っている
・ゼフとアーフェンはともに親を亡くしている
・物欲的なものをゼフが満たし、精神的なものをアーフェンが満たしている
・「俺がいてやらなきゃな」(言い聞かせのような確認)
・旅の薬師が語った言葉への感銘
・旅の薬師への尊敬、一つの目標にして道導、同じことがしたい

ついついアーフェンのキャラクターに引きずられそうになるので、ここからさらにシナリオに限定して絞ってみると、下記になる、のではなかろうか。
追加するなら「薬師の知り合いが外に居ない」ということだろう。コネが全くない中、よくゴールドショアまで行ったな彼は。何の噂を聞きつけて行ったんだ?


話を戻して、箇条書きを整理するとこうなる。

・薬師は万能ではないことを知っている
・旅の薬師が語った言葉への感銘
・旅の薬師への尊敬、一つの目標にして道導、同じことがしたい
・(薬師も含め)知り合いのいない外の世界へ初めて出る

ここの主軸自体は一貫して変わっていないと思う。ちなみに主軸がブレないという部分は、オクトラというゲームの良さの一つと考えている。いいよな。大事。



●●2章●●

一年前の君よ。実を言うと、今でも私は1〜2章までのシナリオが大好きだ。
ここまではなんの違和感もモヤッもなく進んだんだよな。だから、ここはさっくり書いていく。

2章は、ヴァネッサちゃん、エリンフリンとヒロインとも呼べる(呼ばれてない)キャラクターの登場で一層華やかさというか少年漫画的なラブコメっぽい雰囲気が出てきたよな。もっと出てきてほしかった気持ち、あるよな。どうやら彼女は近くの洞窟にいるらしいぞ。
それはそれとして、2章が好きなのは自分の中で知っている文脈だからなのだろうか、……それとも、他シナリオと同じく、情報がすっきりしているからだろうか。

振り返りながら行こう。

どうでもいいことかもしれないが、「潮風が染みる」って言っているので彼は陸路でここまできたんだなあ。あと、ゴールドショアが初めての薬師としての活躍?っぽいので、ここにたどり着くまであまり薬師として活躍することがなかったか(すでに他の旅の薬師が活躍した後とか)、後味の悪いお話だったか、行きずりの人を助ける、くらいのことで終わっていたのかもしれない(これはプレイヤーが想像により補完する情報なので、知ったこっちゃない話なんだろうな)。
2章のシナリオで得られる情報を、箇条書きにしたぞ。

・町には熱病が流行っている
・他にも旅の薬師がいる
・先輩薬師に対する積極的な学習意欲(「勉強させてもらいてえな」「技術も財産」などのセリフより)
・最上の価値は「病に苦しむ人を助けること」
・お代はいらない→「病に苦しむ人を助けられたという体験自体が何よりのお代」
・お代を材料費のことだと思っている?(労働費や責任の発想はない)
・エリンフリンから渡された貝殻に感動して泣く(初めての街で、初めてちゃんと助けられたことの実感も含む?)

こう……だよな?見落としているかもしれない気がする。
言い忘れていたが、シナリオ的な話なので、パーティチャットについては考えないものとする。
1章と同じく整理すると、

・先輩薬師に対する積極的な学習意欲の発揮
・最上の価値は「病に苦しむ人を助けること」
・お代を材料費のことだと思っている?(労働費や責任の発想はない)

あたりがシナリオ的なポイントだと思う。思う、としか書けないことが本当にしんどいな。


●●3章&4章●●

ここはトピックとしては地続きのシナリオだと思うのだが、それとは別の意味で一括にした。説明をしやすくするためだ。
あと振り返っていて情緒が乱れてしまった。すまない。
同じように箇条書きにしたが混乱しているので乱雑だ。

・誰も助けようとしない患者の存在を知る
・患者=助ける存在、と一意的に考えていることの自覚
・患者がすでに犯罪を犯した悪者かもしれない場合の対処に苦悩する
・考え方は違うが、先輩としては信用できる先輩薬師の存在
・責任の自覚(この場合、助けた後のことも考える必要があるということ?)
・取捨選択の学習
・「間違い(過ち?)」の自覚、他者からの指摘
・「救うべき価値」
・自分で考えて自分で行動する必要性に迫られる
・病で苦しんでいる人を助けることは変わらない
・「誰のために薬を作っていいやら」「何のために薬を作るのかわからなくなった」
・夜の時間帯に、村人からの話でオーゲンの異変を知る
(そういえば1章でも夜の時間帯にゼフと話して気付きを得ていたような)
・オーゲンの過去の話を聞く
・「救うべき人間ではない」と自らに判断を下したオーゲンに掛ける言葉がない
・鞄の中が散らかっている、整理する暇なんてなかった
・ゼフの手紙による「自分の信じる道」の再確認
・オーゲンはオーゲン、自分は自分という区別
 「命を選り分けるなんて俺にはできねえ」
・区別がついてから、鮮明に思い出されるゼフとの勉強したこと
・自分が「既に救われていた」=同じように自分もオーゲンを治すことで「(オーゲンもまた)救われる」
・ここで本来のスキル「聞き出す」=アーフェンくんの信じる道の肯定、自分のやり方で助けることの強調
・恩人さんのテキストフレーバー
 テキストフレーバー

 テキストフレーバー

・オーゲンとグラムの対比=オーゲンとアーフェンの対比という繋がりが明かされる
・(返事のない相手を師と志し生きてきた)アーフェンが自分の信じる道を進んだからこそ、まさにその人と同じだと聞かされる/知らされる
・「礼は言わない」→「いらねえよそんなもん」
・恩人さんの墓標を立てる
・アーフェンが薬師アーフェンとしての自分を思い出したように、オーゲンも思い出す
・「お互い道に迷うことはないだろ」「お互いにな!」がもう本当にそれ


勢いつけて語るぞ。

3〜4章では「オーゲン」というキャラクターにめちゃくちゃ要素が盛り込まれていて、これが大変に読み取りを困難にしていたのだと今の私は自覚した。
オーゲンさんが薬師シナリオで機能している要素を説明しよう。

⑴アーフェンくんにとっての「先輩薬師」、しかも腕もいい
⑵アーフェンくんと同じようにかつて過ちを犯している
⑶アーフェンくんと違って自分の過ちに対し一つの解(償い)を持っている
⑷アーフェンくんと違う信念を持っている
⑸アーフェンくんにとっての患者(かつて病にかかっていた時の自分)

多すぎ!!!!
他のみんな(NPC)を見習って!?急にどうしたの?!となる驚きの盛り込み具合じゃない?(ダリウスくんは置いておいてください)
物覚え悪くて悪かったな!!!って虚空に向かってわめきたくなった

さて。

オーゲンという要素もりもり人物が登場したことにより、大変混乱を極めたが、これまでと同じようにシナリオにとって重要な部分をピックアップする。

3章
・薬師という責任
・薬師である先輩からの教え=恩人さんからの教えは本当に正しいのか?
 →自分の信念が本当に正しいのか?という自問自答
・「薬師」である「自分」を客観的に捉え直す時期
・恩人さんと、オーゲンという、二つの未来の可能性
4章
・薬師を志した自分の想起
・自分が信じてきた道を、自分でもう一度信じていくという答え
・オーゲンと自分は似たような過ちを犯したが、違う、という区別を付ける
=同時に、恩人さんをただ追いかける/恩人さんの価値観を頼るのではなく、「自分」で決めた/感じたこと/大切にしてきたものを再確認する
・自分を信じた結果、恩人さんと似た道を辿っていたし、辿っていく

この辺りが主軸なんじゃないかと思う。正直自信はない。
あと細々演出の意味?意図?を考えていくと、

「誰のために薬を作っていいやら」
→病に苦しむ人を助けること、と、薬を作ること、の分離?
オーゲンさんという存在(→妻を殺した男を殺した、罪人の自覚のある人)
←これは初見時ミゲルのことだと思ったし、そのように読み取れるようにしていると思うけれど、「ミゲルを救わなかった」アーフェンも含まれるのではないか?
恩人さんの墓標を立てる
→思い込み・想像・答えのない相手からの解放、独り立ち
→師と並ぶ、追い越していく

あたりが出てくる……と思う。
これを書くにあたってふと気付いたんですが、薬師のシナリオも神官や盗賊シナリオと対比ありますね。「最初から救われていた」あたりが特に。泣いていい?



(要は)振り返って何に納得したか

薬師アーフェンシナリオについて、要素がもりもりすぎて、プリムロゼシナリオよりもわかりにくいということがわかった。
つまり自分の物覚えの悪さによる悲劇ということがわかった。つらい。


薬師アーフェンシナリオは大まかに分けて次のように言い直せると思う。

大枠
名前も知らない「恩人さん」の背中を追いかけ、同じような薬師になりたくて旅立ったアーフェン。様々な障害を乗り越え、結果、「恩人さん」に並ぶ薬師であると自覚・胸を張って薬師を続けていく。
軸① 善性悪性
病に苦しむ人を助けたいと思って、苦しんでいる人を探して助けてきたが、苦しんでいる人はみんな悪いことをしない人だと思っていた。薬師が悪いことをするなんて!と思っていたら、患者も悪いことをする!なんてこったい!でも、悪いことをしたからといって悪いだけのやつばかりでもない……俺にできることは、いいとか悪いとか判断することじゃなくて、「病に苦しんでいたら助ける」ということだ!と思い直す。
軸② 薬師としての学び
薬師として人の役に立ってきたから、これが正しいと思って、旅を始めた。間違っている薬師がいたから正してやろうと思った。でも、その先で俺自身も間違えちまった。どうしたらいい? ……間違えたことを受け止めて、迷わないことが大事なんだな!
軸③ 志・信念
恩人さんから教わったことが一つだけある。「病に苦しんでいる人がいたら、助ける」。それがかっこいいと思って、生きた心地がして、ああ、これが俺の道なんだと思った。金?お礼?いらねえよ、俺は「病に苦しんでいる人がいたから、助けた」だけなんだ。教わったことをその通り引き継いでるんだよな。

全員しっかり掘っていけばこのくらいは余裕で出てくると思いますけど……多すぎませんか……。


反省会

一番シナリオを覚えておかないと納得できなかった。
覚えてなかった、というか全てのやり取り覚えて時間とタイミングを覚えてないとしんどい……えっなんで?とつまづいた時点で復習しろってことですね、と反省した。

ちなみに初見でモヤっとした大きな理由は、3章で一気に軸①へ誘導されたからだと思われます。急に、善悪?なに?それは法律の仕事であって、薬師の話ではないんじゃないんですか?というかその話をするなら他にも事前情報必要じゃありませんか?どうした?ってなったので。

でも3章の働きはそうではなくて、一言で言うと「オーゲンさんの体験に引きずられる(ゼフくんの言う「肩入れする」)」ことだったのかなあと思います。

ゼフくんも言ってくれてるけど(というか、ゼフくんのことをそこまで来ないと思い出さない理由を考えたらわかることかもしれないけども)、

そこを押さえることができていたら、恩人さん恩人さんと言ってるアーフェンくんがようやく独り立ちしたことも、オーゲンさんと似たようなことをしていたけれど最終的に違う選択をしたこと(かつ、恩人さんと同じ選択をしたこと)もすぐ分かったのではなかろうか……。

4章は学者→盗賊あたりの気になる&好きなところから旅を終えていたので、余計に、薬師編を受け止める心の余裕がなかったのかもしれない。



一年前の私へ

君がわからなかったことは、大分、明らかになったと思う。
少なくとも薬師シナリオは学ぶことに主軸をおいていないんだ。捉え直しのシナリオなんだろう、と今は結論付けようと思う。

そして変わらず、アーフェン君は瑞瑞しい、地頭はあれだけど無自覚繊細なところがあって勉強はちゃんとできるし器用で配慮もできるしユーモアのある人物だという印象を持ち続けているので、そこは安心して欲しい。
彼のユニークな一面を愛しつつ、無遠慮で無防備な姿を今の私は眩しく思っており、これ完全に学者と同じ目線やん……と若干頭を抱えているが、ひとまず不明点は洗いざらい明確にできたと思う。

一年前の私へ。君はこれすらもわからないままよくサイラス考察本に薬師編を盛り込んだな。よく頑張ったな。今の私は読み返すのが怖くてたまらないが冒頭だけは愛しているよ。

一年前の私へ。投げ捨てずにちゃんと考えてくれよな。
きっとわかることがあるから。
そして覇者くんでびちゃびちゃに情緒乱されるから覚悟してやってくれ。アーフェン君が何をしたっていうんだよ!!!!!!!ってクエストクリアするたびに喚いてるから。このシナリオの詰め具合みたら納得したけど納得したくないです。(ワガママ)


書くつもりなかったけど薬師編も全部書かないといけない気がしてきた。
本当にどうしてくれる。


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