存在しない絵本のタイトルを400個考えた
前々から、絵本のタイトルっぽいフレーズが頻繁に頭に浮かんでくるなあとは思っていた。2023年10月に入ってから量が激増して、1か月で約400個できた。
タイトルだけが急に脳内で完成するときもあれば、材料だけ浮かんできてそれを自分で完成までもっていくときもある。ストーリーまで想像がついていることもあれば、タイトルで言葉遊びがしたいだけのこともある。
作り方による分類
約400個が出来上がったので、ちょっと類型化してみようかなと思った。大量のサンプルを類型化するという、卒論ぶりの試みにワクワクしている。
まずは、作り方によって分類してみようと思う。その後で、内容別でジャンル分けする。
1. 響きの似た言葉を並べる
声に出して口の中が楽しくなりながら作る。2で挙げるダジャレ類型との明確な区別はない。
『あしどけい、おなかどけい、うでどけい』
『焼きいき、茹でいき、生いき』
『子どもぎらいのネコと ネコぎらいの子ども』
『お芋の想いは重いんだ』
『カチカチ価値不可知山』
『カクカク家族とダイダイ家族』
:核家族と大家族、いろんな家族があるよねって話、とも限らないが少なくともタイトルの発想源はこれ。
『ピピよぎちょっちょ、ちょぎちょぎピッピ』
『いぬいぬしいネコと ねこねこしいイヌ』
『パラパラ原っぱのラッパ吹きとラッパー』
『コロコロ試みの心』
『まんまるおなかポン しかくおなかコン』
『テヤン、タイヤン、タイヨウ』
:태양と太阳(tài yáng)と太陽が似てると思ったから。
『喉ガエルぴょこぴょこ、鼻モグラすやすや』
2. ダジャレ
主に日本語の同音異義語を並べているものと、日本語とその他の言語の間でダジャレになっているものがある。
『かすてらのおしょうさん』
:カステラ、寺
『さばくに住むバク』
『飴ふりの日のすごしかた』
:溶けて液状の熱い飴が降るのか、カラフルな飴玉が降るのかは未定。
『いつも蕎麦に』
『のどブッダ』
:喉仏
『かけ込みごはん』
『炊き込み乗車はおやめください』
『たぬきの暗算大会』
:なんとなく、「捕らぬ狸の皮算用」から。
『恋と過失』
:故意と過失
どこまでが故意なのか、恋による過失なのか。
『正論ティーと甘いお茶菓子』
:セイロンティー
『リリー嬢とゆりちゃん』
:ユリ(Lily)から。おそらく、お嬢様と庶民の娘という2つの顔をもつ少女の話。
『脳・ザ・ショー』
:脳挫傷
『本当はいない魔女、デルージョ』
:delusion(妄想)の響きがどうも艶やかな魔女っぽかったから。
『ネシア島のアンスロポス人』
:古典ギリシャ語の-nesia(島々)とanthropos(人間)から。「アイヌ人」みたいな重複を作りたかった。
『ネズミがへったら、パスタもへった』
:ペストの母音を換えて穏当な響きにした。公衆衛生はじまりの物語。
『パン食い競争曲』
:競争、協奏曲。
『豆スナイパー、ポルポッポ』
:ハト界のポルポトは惨殺をやめない。
『ジガジガ王国にはじしんが多い』
:自我と自信、国家と地震
『コットンねずみ』
:cottonmouth(口渇)→マウス→ねずみ
『朝飯前の一切れのケーキ』
:朝飯前、と a piece of cake
『ゴリラ豪雨』
『アゲパン大陸』
:パンゲア
『ネコの背中3丁目4番 ダニエル宛』
:ダニのダニエル宛のお手紙。
3. 登場人物+内容
『みっちゃんとねえねの ないしょのてがみ』
『きつねくんと 山のふもとのがっこう』
『マルとミケのお魚だんぎ』
『こどもおばけの おどかしれんしゅう』
『クツシタとカカトの離別惨劇』
:くるぶしソックスが靴の中で脱げちゃう話。
『白ヤギさんと黒ヤギさん、Eメールにちょうせん!』
:無限ループ問題に一石を投じる作品。
『うどんさん、一日くつひもたいけん』
:キュッと結んだときにちぎれちゃわないか、心配。
『みょん吉の葉っぱえらび』
:タヌキのみょん吉は、化けるのに使う葉っぱにこだわる。
『きつねのフィオナ、雨降りウェディング』
:チャペルでの挙式。「狐の嫁入り」から。
『トカゲのリチャード、 はじめての《だっぴ》』
:LizardとRichardが似ていると思った。
4. 子供や動物の台詞
『ニンゲンの鼻は どうしてみじかいの?』
『みんなだいっきらい!』
『アリじいちゃん、"がくもん"ってなあに?』
『アリじいちゃん、"そんざい"ってなあに?』
『アリじいちゃん、けんり ってなあに?』
:幼子がアリストテレスに問う台詞。
『おとうとはいつもずるい』
『キリンの耳はどうして短いの』
『わざとじゃないもん』
『だいじょうぶ。きっといつか、』
『くつ上は はかないの?』
『葉っぱぎ町へお仕事しに』
:桜木町へ毎日お仕事をしに行くお父さんの真似をして、おままごとをする話。
『ツノは身長にはいりますか』
『だってだって、だってさ』
『じお、ならつた』
:字を習いたての子が書いた日記がベースのお話。
『はなペチャンコいぬだって、《まやくたんち》できるから!』
『にゃーにゃのおでこ、まあまあ広いぜ?』
:誰だよ、狭さの例えににゃーにゃのおでこ使ったやつは。失礼な。
『よんばんレジ、おーえんするねぇ!』
:4番レジ応援お願いします、との業務連絡が入ったので全力で応援する女の子の話。
『にゃぎにゃたニッポンイチ』
『神さまのおちゅげを聞いた』
:多分、ヒヨコかネコの台詞。
『ぼくのがっこうにウサギがきた!』
『なぜなぜどうしてなんでなの?』
5. 他の作品のオマージュ
『シンタの上野りょこうき』
:小学3年生の学級文庫にあった『シンタのあめりか物語』から。
シンタが帰国してから一人で上野に冒険を兼ねたお買い物をしに行く話。
『副都心ネズミの一週間』
:イソップ童話の『田舎ネズミと都会ネズミ』から。副都心線に乗ったとき思いついた。
『カイン兄さん、どうしてなのさ』
『知恵の実パイはいかが?』
:旧約聖書から。
後者は、もはや堂々とパイに加工して販売しちゃうし、たしかに生でかじるよりも美味しいしイイよね、という人類の開き直り物語。
『こぐまのコロリのトンネル掘り』
:わくわくさんの友達の熊はゴロリ。小熊なら、コロリかなと思った。
『じゃがいも島へのぼうけん』
:おかあさんといっしょの『ポコポッテイト』は、ジャガイモに似た「ぽていじま」が舞台だったから。島といえばジャガイモというイメージがあった。
『ピタスのさんかく発見隊』
:作品ではないが、ピタゴラスの定理から。
『熱い炎と冷たい叔母さん』
:清太のお母さんが焼かれるあの大きな炎の熱さと、清太と節子にとにかく冷たく当たる西宮のおばさん。厳しかったり恐かったりするのはまだマシだと思った。冷たいのは何よりも悲しいと思った。
『トンネルところに住むところ』
:『寿限無』から。
『ピキピキ!たまごブレーキングピッヨ』
:プリズンブレイク+ウォーキングデッド+ヒヨコ
『見知らぬ猫のスープにはご注意』
:アンネは夜、建物内で飼われている猫にスープをあげた。既に飼主からエサを与えられていた猫はスープを残した。翌朝、猫の皿にスープが入っていることを見つけた住人が怪しんで通報したことで、アンネの一家はナチスに見つかり、捕えられた。油断禁物、そんな訓話から。
『いつか天まで届くビル』
:希望に満ちていた、バベルの塔建設の初期計画
『パンの材料は、石?』
:新約聖書から。荒野で初期費用ゼロでパン屋さんを開く話。
『にゃーにゃのおててを借りたはいいが、ふわふわすぎて役に立たん』
:『逃げ恥』のスピンオフ物語。
6. 突如として完成したタイトルが浮かぶ
逆に、この類型以外のタイトルは浮かんだ材料をある程度加工してタイトルにしている。この類型で挙げるのは、自分でも意味が分からないまま何の脈絡もなく突如浮かんだものである。
『パピプペポファーマシーへようこそ』
:pharmacyはPから始まるけど「ファ」だなあと思っていたところ、「パピプペポ」が付いた。
『トノサマバッタの家来たち』
『ギャスピング・ハンガー』
:意味はよく分からないがこの組み合わせが湧いてきた。
『アルバトロス・フロックの神に祈る』
:意味も知らずに突然浮かんで、地名か何かだと思ったので「の神に祈る」って付けてみた。調べてみたらalbatross flockは「アホウドリの群れ」という意味らしい。どこかで偶然聞いた英語がなぜか耳に残っていたのでしょう。
『ビョードル3世とコウヘイ君』
:平等と公平
『ぺけらんトッシュ』
『もも山たんてい団』
『ぎゃーたーサンセットだぎゃ』
『祝福のチョギチョギボンボン』
『まんまるハトっちょのポポロポ』
『秋の夜のピピロギ』
:かわいいコオロギの徒然話。
7. 平素はコロケートしない言葉を並べて楽しむ
『いつもどこかで葡萄の鐘が鳴っている』
:鐘が吊るされている様と、葡萄がツタになっている様が似てると思った。
『猫のエルーニョは熱心に眠る』
:熱心に眠る、ってなんか良いなと以前から思っていた。
『行きつけのどろだんごやさん』
:「行きつけの」っていう大人っぽさと「どろだんご」っていう幼さの組み合わせが良いなと思った。
『ひづめ偶数主義』
:偶蹄類、奇蹄類という響きが、どうも政治的な用語みたいに聞こえると思っていたので、「主義」を付けてみた。
『怪獣語 短期講座』
『あの子の目は海を泳ぐ』
:「海を」を入れると、途端に自由で大らかな雰囲気が出るなあと思う。
内容による分類
にゃーにゃ とその友達のシリーズ
悲しいお話
〇年〇組シリーズ
1. にゃーにゃ&その友達のシリーズ
『にゃーにゃとわんわんの おててふわふわものがたり』
『にゃーにゃとわんわん、 おねだり大さくせん』
『にゃーにゃとわんわん、今日もおねだり日和』
『にゃーにゃとわんわん、たまにはお手伝い』
『にゃーにゃとわんわん、ほうこうせいのちがい…?』
『にゃーにゃとわんわん、 にくきゅうくらべ』
『にゃーにゃとわんわん、slackでさくせんかいぎ』
『にゃーにゃとわんわん、おひるねきょうそう』
『にゃーにゃとわんわん、ねどここうかん』
『わんわんとモックンの仲なおり』
『モックンとわんわん、おやつ《まえがり》けいかく』
『にゃーにゃとミイちゃん、かつおぶし論争』
『にゃーにゃとミイちゃん、ろんそうのゆくえ』
2. 悲しいお話
唐突にものすごく悲しいお話が混ざっているのは、絵本の本棚あるあるだと思う。
『道化師の白くにごった涙』
『道化師は微笑んで死んだ』
『銀色の大きな鳥』
:それまで見たこともなかった戦闘機というものが、ある日を境に町の上を飛んでいくようになった。
『妹は葉っぱといっしょに枯れた』
:ベトナム戦争、枯葉剤
『丸い魚は大きな船に突っ込んで消えた』
:魚雷、玉砕
『工場の川のサカナ』
:公害病、生物濃縮
『死にたい朝に履くブーツ』
:それでも朝が来たら仕事に出かける人の語り。
『死にたい夜に朝を待つこと』
:中盤までは悲しいけど、希望をもてる結末のあるお話。2月の夜風の身を切る冷たさや、朝日の生暖かい輝きのことなど。
『トラック乗りの牛たちは』
:牛さんもトラックに乗るんだ!どこへ行くんだろう。
そう思っていた幼少期から数年が経ち、食べ物と命のことについて考え始める少年の話。
3. 〇年〇組シリーズ
『1ねん2くみだけの うんどうかい』
:入院して手術する予定があって運動会に出られない子のために、クラスで運動会を開くことにした。
『3年1組の給食大会』
『5年3組 全力お手伝い大会』
『5年3組 ことわざ係』
『5年3組、どっちつかずボール』
『わたなべ先生のたん生日大作せん!』
『走る!こうちょう先生!』
『こうちょう先生、きゅうしょくを作る』
浮かんでくるのが治まるまでは、公表していこうかなあと思う。