ガンになった28歳の冬の話

「癌ですね」

「ガーン」

まさかリアルでこの言葉を使える日が来ると思ってなかった。

2020年、わたしは癌の診断を受けた。

“甲状腺乳頭癌”という種類のもので、比較的若い人に多いらしい。進行は遅く、摘出手術で病巣を取り除いてしまえば生存率もほぼ100%、再発も少ないものだそうだ。しかも最近は内視鏡手術のおかげで、残る傷跡もまあ小さめなのだそう。(かしたに調べ)

事のきっかけというか、この病気が発見される元になったのは、年明けに体調を崩して受診した内科で首のリンパあたりの触診を受けて言われた言葉だった。

「なんか甲状腺が腫れてるね〜」

お医者さんに、甲状腺の病気はあるの?と聞かれた。甲状腺なんて単語を音として聞いたのは人生初で、小学生の頃にめちゃめちゃハマって読んでた『ブラックジャック』にバセドウ病だかなんだか、そんなエピソードあったなあ、それと関係あるのかなあと思いながら「いいえ」と答えた。先生は非常に飄々とした感じで、左側の甲状腺が腫れてるから1度どこかで見てもらった方がいいかもね、と言って、普通の風邪薬を処方してくれた。風邪は割とすぐ治った。

その時、甲状腺を調べるにはどんな検査をするか先生が少し説明してくれたのだけど

・血液検査

・エコー検査

・細胞診(首に注射針を刺し細胞を採取してする検査)

が主な検査方法らしい。わたしはDNAに刻まれてるのかと思うほど病院が大嫌いで痛みにもめっぽう弱いので、病院に行くということを基本的に避けて人生を歩んできた。ましてや血液検査や細胞診なんて確実に痛みを伴うであろうものは、数年前のわたしなら受けてなかったなあと思う。

それでも、何かが気になっていたのか、自分でも不思議なくらいスピーディに甲状腺の検査を受けられる病院に予約を入れていた。


つづく!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?