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『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(つんドル)感想

昨日、地元から1番近い映画館に、夜の時間のチケットをとって観に行ってきました。
以下多少のネタバレあり。



観る前は正直ナメていた。
“まいまい”ファンには悪いけど。
私は彼女を乃木坂を辞める少し前の頃しか知らなかった。
あざとくなく、飾らない自然な女性の演技だった。
水タバコの煙を鼻や口から出したり、
泥酔して初対面の男の子の腕に絡みついてキスを迫るシーンは少し衝撃的でしたが。笑

井浦新もリッチマン、プアウーマンでイメージ止まってたから…
あれもう10年以上前ですよね笑
ARATAが井浦新に改名して何年経つんだって言う笑笑
そのへんにいそうな、少しくたびれた小奇麗なおじさんの演技が良かった。

前回の記事で私の年齢伏せてたのに意味なくなりますが、私はアキコとちょうど同い年、「もうすぐ29歳になる28歳」です。
「アラサー女が主人公って、どうせ26,27でしょ?」とか思ってたらドンピシャでした。
だからこそこの映画がすごく刺さって泣いてしまったんだけど、
この主人公とまったく年齢やらが被らない人はどういう感想をもつんだろう。
泣くのって普通??

まず開始数分のシェアハウスに来たばかりのシーンで「止まってるわけにはいかない」って語りだすんだけど、
そこで泣きそうになる。ほんとにそう。
とにかく今の私の心境に合いすぎている。
理想の自分とかなりかけ離れた現実の自分。
しかし最後までアキコが「止まる」ことはなかった。
友達に「少し休んでみたら?」って言われたりおそらく精神科?心療内科?を勧められることは度々あるけど、
アキコは前に進む努力を続けた。
努力をしているのになかなか報われない、というのが起承転結の承。

アキコには少し前まで好きな男性がいた。
いるよね、こういうキモい男、って感じ。
旅行に行ってフラレるまでの恋して浮かれてるアキコが可愛すぎる。
結婚が決まったあとも追いかけてくるの意味わからん。
「元アイドルをキープにする俺」ってか???

物語の後半でアキコの口癖が「死にたい」になる。
わかる。すごいわかる。
自分のことを“ババア”って言ってみるとかもそう。
「このまま一生一人なのかな」って思い詰めたり。
自分と同じと思っていた友達が別の道に行ってしまって寂しいとか。
別の道というのは芸能活動を辞めて結婚する、ってことなんだけど、
その友達の旦那が綺麗な長身細身イケメンじゃないとこが良い。

「人生上手くいってそうに見える」友達と自分を比べて酷いことを言ってしまうのもわかる。
私は言うのを思いとどまってるけどたまに考えるから。

友達が結婚するので、「私達もうなかなか会えなくなるんだろうね」とアキコが言うと、「ずっと友達だよ」と返ってくる。
私の友達もそうだろうか。
この映画みたいに誕生日を祝ってはもらえない。
プレゼントはなくなり、去年はついに忘れられてしまった。
すごく良い映画だったけど自分と比べてヒロインの恵まれているところを探して「私はもっと酷い」みたいに考えてしまうのは悪い癖だ。

友達と過ごしたり、楽しいはずのときでも急にネガティブになって落ち込んでしまうのもあるあるだ。
橋から三人で「幸せになりたい!!」と叫ぶシーンで私の涙腺は崩壊した。
コンタクトに涙が溜まってスクリーンがキラキラしてしまう。

最後、この映画の元になった私小説がネットでバズって、10万しかなかった預金の残高が100万になって、
「まだタクシーに気軽に乗れないけど新しい靴を買おう」
というモノローグが入る。
それも良いなと思った。書いた文章がやっとの思いで評価される、努力が認められる、というのはあくまで通過点であってゴールではない。
まだまだこの先もアキコの人生は続いていくのだろうな、と思った。

アキコは結末にいたるまでに何度も傷つき、挫折をする。
でも決して努力はやめなかった。
だからこそ報われた。
私は「幸せ」になるために何をしたらいいだろう。
転職するために求人は見てるけど、なかなか応募にはいたらず進むことも後退することもない。
給料が安いから、とやる気がなくダラダラ働いて時間が過ぎるのを待つ。
それでいいんだろうか。


全ての人生上手くいってない(と思っている)29歳女性に観てほしい映画でした。

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