【前編】フォロワーの #2024年自選十句をつぶやく から一人一句。【約百人百句】
量が多く書いていてブラウザが重たくなったので前後編へ分けます!
→後編はこちら
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表題の件について。
たぶん今回を最終回にする予定です!
上半期まとめと同様に投稿を発見したフォロワー全員に一句一言でやろうと思います。注意書き毎回長くなるので前回と一緒として省略します。
ハッシュタグの無い方・違う方・「下半期十句」だけの方・リンクの貼れない鍵アカウントの方などは入ってません!
また、選んでいて特に好きだと感じた句には★をつけています。
なんとなく。
↓↓私の下半期自選十句も見て〜!↓↓
※検索出た順です。
■ 1月2日更新分
春雲や靴ひも結ぶ父を待つ 花星壱和
ホスピスに通う事の多い一年だったのか。
この句は穏やかな時間が流れていて癒やれる。
万緑に呑まれて画家は森になる 冬野とも
なんとなくこの画家は印象派かな、と想像した。
海や山ではなく森なのが素敵。
八月の路上にずぶ濡れの子ども 津島野イリス
何があったのか気になる一句。
八月がすごく活きていると感じた。
総意とは風に倒れる猫じゃらし 江口足人
確かに「総意とは」と言うほどの説得力があるなと納得した一句。
一斉に倒れる猫じゃらしを想像すると可愛いけど少し歪。
ネアンデルタール人も月を見て交尾 月岡方円
綺麗ごと言ったってきっとそうだと思う。
性愛ではなく「交尾」としたのが秀逸だなと感じた。
桃売りのラジオは桃の香の中に 朱鷺9条湯八
視覚・聴覚・嗅覚に訴えかけてくる句。
桃売りはダミ声を想像した。そこへふっと優しい桃の香。ギャップが素敵。
知つてゐること聞く授業色鳥来 平良嘉列乙
本で知っていたのか、塾で知っていたのか。
そんな時間に色鳥がやって来たら、ますます授業を聞けない。
テトラポッド眠るや鬱病のセーター 草臥男
鬱病は眠れない夜だったのだろう。
冬の海は冷たい。セーターがほんのりと救い。
夏休み海は未完の物理学 伊藤映雪
私は物理学の事なにもわからないけど、わからないなりに伝わるものがある。
詩にはそういう「わからないけど伝わる」という感覚が必要なのではないかと感じた。
★いうれいのまだ透明でないこゝろ 押見げばげば
では、何色なのだろうか。
私は勝手に白か黒だと思う。
吊るしたるバナナに声を掛けて寝る ぽっぽ
たぶん明日には食べてしまうバナナなのだろう。
それでも声を掛けてみたくなる。そんな夜もある。
目高切り返す志望校下げよう 四篠たんし
目高が切り返した瞬間、ふと決心したのだろう。
学生でいられる時間は人生で短い。
古カフェの来店ノート閉じて春 雨野理多
来店ノートを黙々と眺めていたのだろう。
ふと閉じて窓を見、改めて春を感じる瞬間。
色鳥の影をはさんで古書を買う 細葉海蘭
本の世界に入っていたら色鳥の影がページを飛んでいった。
その瞬間、現実に戻され「買おう」と決心する。
木守柚子月の滴る音を聴く とまや
「木守柚子」と「月」の取り合わせが神秘的で心惹かれる。
月の滴る音と共に、柚子のふんわりとした香りに包まれそう。
★僕お腹の中では枝豆だった 春野ぷりん
子どもの一言だろうか。口語の断定が摩訶不思議で面白い。
なぜ枝豆?と思うけど、枝豆だから枝豆なのだろう。妙な説得力。
湯ざめして夢に大白鳥を撃つ 長谷川水素
格好良い一句。私もこういう句が作ってみたいと素直に思う。
ただの白鳥ではなく大白鳥なのが良い。
夢だから、恐竜のように大きな大白鳥なのだと思う。
帰燕見ゆ最後のネアンデルタール 鈴白菜実
ネアンデルタール人には帰る場所があったのか。
我々はどこへ行くのだろう。
冬ぬくき陽へ過労死のテディベア 樹海ソース
くたくたに愛されきったテディベアなのだろう。
テディベアには寿命がない。永遠の愛という過労死が続く。
囚はれてからが檸檬の発光期 七瀬ゆきこ
檸檬は何に囚われているのだろう。檸檬は光り続けている。
象番の句も素敵。詩に溢れた十句。私の憧れの一人です。
ハンモックが好きどこまでも不自由で あなぐまはる
自由ではなく不自由だから好き。
そんな少しひねくれた心が詩人だと思う。
鼻先に飛び来て熊蜂の凝視 空豆魚
花を見ていたのだろう。
そうしたら熊蜂がやって来て、こちらを凝視し始めた。
素直な状況描写が素直な詩として立っている。
リカちゃんの家は屋根無し色鳥来 三浦海栗
言われてみれば無いなと気付く。
リカちゃんの家は雨にも風にも困らない。一方の我が家は。
けふの雲すべて知りたる案山子かな 立川猫丸
けふの雲のすべてを知っているのは案山子以外にいないのでは無いかと思う。
けふの雲とは、この世にある全ての雲のことだと思う。
梟の海馬に降り積もる雪か 眩む凡
美しい季重なり。私は「雪」は比喩だと読んだ。
梟は何を考えているのだろうか。雪のように美しく冷たい。
足元に日向来てゐる昼寝覚 佐藤直哉
まるで来客のような日向。ふと覚めたらいたのだろう。
犬や猫のような可愛らしさを日向に感じる。
それぞれに買うて並べる聖菓かな 音羽凜
昔は大きいホールケーキを買って家族で分けていたけれど
最近は各々小さいケーキを選んで買って食べている。
我が家もそんな感じだ。
学校は正しさの箱青き踏む 朝霧さら
たしかにそう。考えれば考えるほど歪な箱だと思う。
「青き踏む」に暖かさと救いを感じる。
百年のパイン畑を継ぐ南風 沖庭乃剛也
「百年のパイン畑」だけでどれだけ広い土地かが見えてくるようだ。
南風が気持ち良く眼の前を過ぎていく。
向日葵の徒党が僕を暗くする 麦のパパ
向日葵は明るい花。だから向き合うと
自分の暗い部分が照らされてしまうような心地がする。
間引いてはサラダに足せる貝割菜 樋口滑瓢
「間引いて」という言い方が妙。まるで生き物のようだ。
台所で育てた貝割菜ではないか。
数え日の白地図にまづ海と記す 常幸龍BCAD
地名ではなく海から書いていくのが詩人。
0から数えていこうという丁寧な気持ちが見えてくる。
オリオンや地球に絶えぬ想送歌 イサク
今日もどこかで誰かが歌っているのだろう。
どんなに美しい毎日でも死は必ず訪れる。
ラムネかきんっ これは開国の始まり 青井えのこ
一体なにが開国したのだろうかと想像が膨らむ。
ラムネも夏も私達もどこまでも自由だ。
あちらからこちらが邪教石榴の実 元野おぺら
あちらからこちらとは、どこからどこまでだろうか。
本当の宗教とは一体なんだろうか。
夏蝶だらうか風の臨界点に誤差 ノセミコ
バタフライ・エフェクトを連想させる。
夏蝶の羽ばたきが誤差を生み出したのだろうか。ロマンを感じる。
いい人のふりして笑ふ墓参 たまのねこ
では本当は「いい人」では無いのか。どうしてそう思うのか。
「いい人」とは何だろう。墓の前に立つと考える事が多い。
革靴やゆつくり磨く夏休み 迫久鯨
「革靴や」で切れているので「ゆつくり磨く」のは「夏休み」なのだろう。
丁寧に過ごして、ゆっくりと磨いて欲しい。
五円玉冷たき方を放りけり ぞんぬ
お賽銭だと思う。冷たい方がなんとなく神様に近いような気がする。
いいご縁がありますように。
古さびた母の児童書星月夜 海沢ひかり
子どもの児童書ではなく母の児童書なのかが気になる。
なぜ母は古びた児童書をずっと持っていたのか。
星月夜は理由を知っているだろうか。
にわか雨にセーターむつと獣臭 川越羽流
私は恋愛の一幕の句と読んだ。
獣臭はこれからの二人を匂わせるような気がする。
配膳のロボット回るこどもの日 福原あさひ
あの猫のロボットだと思う。あのロボットを見るたび笑顔になる。
「こどもの日」ととても合っていると思う。
黒焦げのミミズか八月の影か 岬ぷるうと
影と間違えてしまうほど黒い、黒焦げのミミズ。
いや影かもしれない。八月が惑わす。
プールサイド人間といふ生乾き 露草うづら
人間は常に乾いていて湿っているのだろうと思うとハッとした。
人間とは生き物の中でも飛び抜けて奇妙だ。
じつとりと南風生肉吊るす市 陽光樹
日本ではないどこかだと思う。少し不穏な気配がする。
生肉の赤が眩しく南風に吹かれている。
星月夜ゆきかふものの魚めく 冬島直
「ゆきかふもの」の中には人間も含まれていると読んだ。
魚の群れのように行き交う大都会の星月夜と思う。
産まぬ選択あさがほの実は爆ぜて オキザリス
産まない選択は難しい事だと思う。
一方、朝顔の実は爆ぜて子孫を残そうとするギャップ。
生物とは何だろうか。
眼に朝日あふれ動かぬ寒鴉 椿泰文
鴉は遊ぶ事が出来る動物らしい。
そんな知能の高い鴉、朝日を見て何を思うのか。
★その蛇ならむかふのはうへゆきました 幸田梓弓
池田澄子さんの「蝶よ川の向こうの蝶は邪魔ですか」を思い出した。
蛇は向こうの方へ行く。救いの為か、戦いの為か。
喉の奥かゆしメロンに嫌われて 北村崇雄
アレルギーでかゆいのはメロンに嫌われたからだよという詩的断定が素敵。
私も花粉に嫌われてしまったのだろうか。
ネクターの甘きに咽ぶ夜長かな めぐみの樹
以前のネクターは現在のものよりどろっとしていてもっと甘かったらしい。
咽ぶくらい甘ったるいのだろう。夜長との響き合いが味を想像させる。
月曜はおいかけられているうさぎ ふにふにヤンマー
他の曜日は追いかけられないのだろうか。
でも月曜日は追いかけられている。不思議な世界観に惹かれる。
テレビから戦争秋刀魚から平和 亀田かつおぶし
特にここ数年は戦争について考える事が多かった。
眼の前の秋刀魚は平和である。ありがたいけれど少し複雑な気持ち。
後編へ続く!