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ゴルファー創出に向けて活動する人たち
ここ最近、Twitterの使用頻度が上がっている。
主にFacebookを使っていたのだけど、ある日久しぶりにTwitterのアカウントにログインしたらビックリ!ゴルフに関してツイートする若い男女のアカウントがめちゃくちゃ増えていたのである。
「やり込んでいる」であろう人のアカウントも勿論沢山あるんだけど、目を引いたのは初心者と思しき人のツイートが多かったこと。それも女性のものがとても多くて、そのツイートがとても(仕事上)勉強・参考になることが多かったのである。まさに「目からウロコ」。
「ああなるほど、ゴルフに対してこんな風に考えているんだ」とか、「所謂“既存ゴルファー”って、彼女たちからするとこんな風に見えるのね」とか、まさに「ゴルフ人口を拡大する上でのボトルネック」的な情報の宝庫と言っても過言ではないくらいの「本音」が詰め込まれている。
そんな感じでTwitterを見ていたら、気になるアカウントを発見。プロフィールには「30代同年代や、20代のゴルフ人口が増えてほしいのでゴルフデビュー応援や、上達応援の活動中です。詳しくは、固定ツイート、ジモティwebまで。現在てんてんさんと活動中(@golf_penguin_)フォローはお気軽に誰でもどうぞ。よろしくお願いします」とある。最初はティーチングプロか業界関係者か?と思ったけれど、ツイートを見ているとどうやらそうではない様子。ツイートには若い人たちと一緒に練習会をしている動画や、ゴルフラウンドをしている画像などが頻繁にアップされている。
「もしかして、手弁当でゴルファー創出に向けた活動をされているのか?」「いやいや、そんな奇特な人はなかなかいない筈、何か裏があるのでは?」など、いろんな思いが交錯して居ても立っても居られなくなり、勢い余って「是非お話をお聞かせ頂きたい」という旨のダイレクトメッセージを送信したところ快諾頂き、昨日(10月21日)銀座にて待ち合わせをしてインタビューをさせて頂いた次第。何とも有り難いことに、一緒に活動をしているお仲間を一人連れて来て頂いた!
(右がジンさんこと新田さん、左が仲間の西宮さん)
お聞きしたいことは山ほどあったのだけれど、お二人ともお忙しいので搔い摘んでポイントのみお話を伺った。
-具体的にはどのような活動をされている?-
基本的には週二回(水曜日、日曜日)のゴルフ練習場(千葉県)での練習会と、月に一度のゴルフコンペを開催している。
-このような活動を行うようになったきっかけは?-
弟にゴルフを教えたことが最初のきっかけかもしれない。それと、会社の後輩たちが無趣味な子たちが多くて、その子たちに自分の趣味であるランニングなどに誘っていた。ゴルフは諸々ハードルが高いこともありあまり勧めて来なかったのだが、教えた子たちの中で「面白い」という声が思いの外多かった。「こういう(若い)子たちにとってもゴルフって面白いんだ」ということに気づいて、SNSや「ジモティー」などでメンバーを募集するようになって今に至っている。
-特に未経験者はマイクラブを持っていないと思うが、そういう人はどうやってクラブを手に入れている?-
もちろん自分で購入する人もいるが、今の20代って本当にお金がないんです(笑)。そういう人に対してはTwitterなどで「あなたの不要なクラブを譲ってください」と投稿してクラブを集めてそれを譲っている。結構な数のクラブが集まる。
-練習会を行う際には、練習場に掛け合って座席の確保をお願いしたりする?-
いいえ、全くの一般客として入場して可能な限り近い打席で練習している。最近は普段使用している練習場のお客さんが増えていて、打席の確保に苦労することが多くなっている。
-最近全国的に若いグループのお客さんが増えていて、ワイワイやることで既存のお客さんからのクレームが出ている、という話もある。グループで練習して「教え教えられ」をしていると周りの客からクレームは来ない?または練習場から「ティーチング行為は止めて下さい」的な要請は来ない?-
来たことはない。「練習会」と言っても、参加者一人一打席で打っていること、参加者が「教えて欲しい」と言わない限りは私達から教えることはしていないこと(ティーチングの「押し売り」はしないこと)を基本としているので、周りのお客様の迷惑にはなっていないと思っている。
-基本的に練習会は「技術を磨く場」と理解したが、初心者・未経験者にとってもう一つ重要な「ルール・マナー」はどうやって啓蒙している?-
これは練習場では習得できないことが多いので、ゴルフ場で教えるようにしている。具体的には午後最終組の後にハーフラウンドを行い、後ろの組がいない中で具体的・徹底的に教え込む。そうした体験を積んだ上でゴルフコンペで「ベテランゴルファー」の組の中にその人を入れてしまう。その際、当事者(初心者)に対しては「今回の組は(マナーに)厳しい人だからね」と、他のメンバーに対しては「今回一人初心者が入るので、色々教えてあげてくださいね」と事前に伝えるようにしている。そのやり方で「ゴルフが嫌になった」という人は一人もいない。
-今後はどのような形でゴルファーを増やしてゆきたいと考えているか?-
私は今30歳台半ばだが、いつまでも「自分一人がゴルファーを増やすための活動」を続ける訳にもいかないし、一人でできることには限界もある。今の自分たちの活動によってゴルフを始めてくれた若い人たちが「次の世代の若い子たちを教えて育てる」ような仕組みを作ることで持続性を実現したいと思っている。それはティーチングプロの役目なのかもしれないが、今の若い人たちは思いのほか仲間意識が強く「自分と同じ目線の人達とのコミュニティー」を大切にする傾向が強いように感じている。
-会員から会費などは徴収している?-
一切取っていない。
-ということは全くの手弁当?-
はい。
-ゴルフ業界にとっては非常に有り難いことだと思うが、そこまでしてゴルファーを増やしたいと思うのは何故?-
理由はシンプルで、自分自身ゴルフが大好きだし、ゴルフによっていろいろな仲間ができて充実した人生を送っている。僕はゴルフ以外のスポーツもするけれどそんなスポーツは他にあまりないと思う。そうした人を一人でも増やしたいという気持ちが一番大きい。
-活動をされていて困ること、業界に対しての希望はある?-
先ほども言いましたが、今に限らずですけれど若い人たちって本当にお金がないんです。練習場代を出すのも私達よりも大変だろうし、土日祝日のコンペに参加するのも本当に大変な決断だと思う。ましてやゴルフクラブやゴルフウエアを「ポン」と買える人なんて稀なのではないか。若い人たちがもっと気軽にゴルフを始めることができて、そしてゴルフを楽しく続けてもらえるような「金銭面のハードル」を下げてくれれば、と思う。
取材を終えて地下の喫茶店を出て地上に出ると、外は秋晴れの爽やかな天気。それと同じくらい自分の気持ちもスカッと爽やかだった。
それと同時に、こうした現場レベルでゴルフ人口拡大のために汗をかいている方々やコミュニティに対して、ゴルフ産業側が何らかの形でサポートをする仕組み構築の必要性を強く感じた。いや、その前にこうした活動やコミュニティがあること、それを善意で支えている人たちがいることを業界(の特に重鎮系)の方々が知ること、自らが能動的に「知ろうとすること」が必要なんではないか?と強く感じた。