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049 オール九州プロジェクト

 「若いゴルファーが増えている」

 昨年の今頃はこうした話に対して懐疑的な考え方を示すゴルフ業界関係者も少なからずいましたが、現在は異を唱える人は殆どいないのではないかと思います。

 2004年頃の所謂「藍ちゃん人気」によって一時的にゴルフが人気になった頃、ゴルフ以外のメディアから私のところにも「現在のゴルフ人気の要因」といった内容で一般メディアからの問い合わせが急増したことがあります。

 「(万人に受け入れられるキャラクターを伴った)若手女子プロゴルファーの台頭」と今回の「コロナに端を発したゴルフ人気」とではそもそもの構造自体が違う訳ですが、「一般メディアからの問い合わせや取材の数」を市場活性化のバロメーターとするならば、現在は2004年当時を上回る形で「ゴルフ」というスポーツにより多くの人の注目が集まっていることは間違いないのではないかと思います。

 その一方で、これまでとは異なる顧客が市場に流入したことによる問題というか課題も徐々に、というか既に顕在化しているようです。それは端的に言うと、

・若い人達のルール、マナーとなかなか上手くならない(なれない)問題

です。もう少し噛み砕くと、

A.若いグループが練習場で「楽しく遊んでいる」→ 既存顧客にとっては「目障り」「煩い」存在に

B.力の有り余る初心者が「マン振り」する → ボールの越球(ネットを超えてしまう)問題やクラブの破損(レンタルクラブの破損)問題

C.球がなかなか真っ直ぐに飛ばないので、コースデビューを果たす前に「嫌になったり飽きたりつまらなくなっちゃって止めちゃう」→ ゴルフ産業にとっての永久の課題「早期リタイア問題」

 かなりザックリしていますが、以上の3点に集約されているようです(なおこの他に既存ゴルファー側の問題として「初心者未経験者に優しくない、ちっさい縄張意識問題」「小さな親切大きなお世話の“教え魔問題”」も顕在化しているようですが、こちらは今回のテーマの主旨とは異なっているので割愛します)。

 こうした問題について現在業界内では様々な議論が展開されています。それらは「問題の根源はどこにあるのか」という点に集約されていると言って差し支えないようです。

・悪いのは傍若無人に振る舞う(最低限のルール、マナーを知らずにゴルフを始める)若者だ

・いやいや彼らを悪者扱いするのはおかしいでしょ。問題の根源は彼らに正しいマナーやエチケット、打ち方を知ってもらう「仕組」を構築してこなかった業界側にあるんじゃない?

 あくまでも私の感覚ですが、大別すると上記の二つの考え方が存在しているように思います。ただ、これはどちらが正くてどちらかが間違っているという話ではなく、産業における立ち位置、更に言えば各々の立場が「現場に近いかどうか」でハッキリ分かれているような気がします。

 日々の入場者を糧としている練習場やゴルフ場の方々にとっては、これまで自分たちの施設に足を運んでくれた(お金を落としてくれている)既存顧客(ゴルフ場においてはメンバー)の方が優先順位が高くなるのはごく自然なことであり、彼等から「あいつら(若者)うるさい。何とかしろ!」と言われてしまえば従わざるを得ないであろうことも容易に想像ができます。また、コロナで来場者が増加している練習場も人員増強できているところは少ないようです。要するにスタッフの皆さんは「チョー忙しい」日々が続いているであろうことも、これまた容易に想像がつきます。

 そんな中で「若い新規ゴルファーへの啓発を」と言ってみたところで「申し訳ないんだけど忙しくてそれどころじゃないよ」というのが本音なのではないかと思います。

 ただ、こうした問題に対して具体的且つ効果的(と思われるよう)な対策を結果的に講じることができずに、過去に何度か訪れた「ゴルフ人気」を持続化することができず苦境に喘いできたのもまた事実。いや、「ゴルフ人気」とか「ゴルフブーム」とかいう短絡的・刹那的な言葉ではなく、「もっと多くの人達にゴルフを始めて頂き、ゴルフの楽しさを知って頂き、ゴルフを続けて頂ける筈なのに、それを実現することがこれまでできなかった」ということ。最近の流行り言葉で表現するならば「持続可能なビジネスモデル展開を実現できなかった」ということもできるのではないかと思います。現場の方々が物理的に動くことができないのであれば、現場から「遠い」人たちが「現場をサポートする仕組」「現場の方々が動きやすくなる仕組」を構築して実践すれば問題解決に繋がる可能性は少なくとも今よりは高くなるのではないかと思います。

 いつもの如く前置きが長くなってしまいましたが、今回はそんな「仕組み作り」に向けた活動のひとつを紹介させて頂きます。

 過去のnoteや私のSNS上で、弊社が戦略策定に関わっている「PGAゴルフデビュープログラム」という新規ゴルファー創出、育成のプログラムについてお話をさせて頂きましたが、現在プログラムに参画頂いている練習場・スクール様は福岡県が最も多く、同プログラムに参画頂いている拠点を中心に「オール九州プロジェクト」という組織を構成し活動しています。

 これは、九州地区のゴルフ産業に携わる企業や個人が横連携することにより「PGAゴルフデビュープログラム」の受講者獲得及び参画企業間の相互顧客創出及び育成を実現することを主たる目的に活動している組織で、現在は以下の皆様に参画頂いております。

<ゴルフ練習場及びスクール>
■大野城スカイゴルフセンター様(福岡県大野城市)
■ハミングバードゴルフガーデン様(福岡県大野城市
■グランドゴルフセンター様(福岡県粕屋町)
■マキトゴルフガーデン様( 福岡県八女郡広川町)
■TSHOT小郡様(福岡県小郡市)
■大岳ショートコース様(福岡市にあるショートコース)

<ゴルフ用品関係>
■アルペン様(ゴルフ5太宰府インター店様を中心とした同社九州地区の店舗群)

<その他>
■中村成さま(新規ゴルファー創出活動を手弁当で実施している個人。今後「PGAゴルフエバンジェリスト」としてゴルフ業界で活動をサポートさせて頂く予定)
■松岡澄弘さま(有限会社アクティヴ代表取締役)

 今年の6月より「大野城スカイゴルフセンター」の草場プロをエリアリーダーとして「PGAゴルフデビュープログラム」の受講者獲得に向けて活動をスタートしているのですが、そんなに簡単に初心者や未経験者がゴルフのレッスンやスクールカリキュラムに対してお金を払ってくれないということもこの数年の活動の中で嫌というほど思い知らされてきていますので、最近のプロジェクトの活動は「PGAゴルフデビュープログラムの受講者を増やすこと」を第一義とするのではなく、その前段階として「未経験者や初心者にゴルフに触れてもらう機会を創出すること」に重きを置くようになってきており、今後も先ずはターゲットに対する「ゴルフ体験機会の創出」を中心に行っていく予定です。

 そんな中、先日「大岳ショートコース」様において初心者やゴルフ未経験者を対象とした「ナイターゴルフデビュー」のイベントが開催されました。これは「オール九州プロジェクト」としてのイベント開催ではなく大岳ショートコース様主催のイベントという立て付けで実施されたものだったのですが、上述の中村さんを始め何名かのプロジェクトメンバーもサポート参加頂いたようです。

 当日は20名もの参加者があったそうです。

 こうしたグラスルーツ的な活動が「爆発的」な効果を伴うか?というと残念ながら100%「そうです!」と自信を持って言えないのが実情ですが、こうした活動を地道に継続してゆき可能な限り多くの方に「ゴルフに触れて頂く」機会を創出し続ければ、どこかで必ず道は拓けてくるのではないかと信じております。

 大岳ショートコース様では、今後もこのようなゴルフコース体験イベントを定期的に開催してゆく予定で、次回は8月20日の開催が決定しています。九州福岡にお住まいの方で身近に「ゴルフ始めてみたい」という方がいらっしゃったら、是非参加を勧めてみてはいかがでしょうか。

 また上述した「PGAゴルフデビュープログラム」実施拠点でも今後「ゴルフ練習場体験会」を開催して、未経験者のゴルフ体験機会とゴルフを始めるにあたって「最初に知っておくと得すること(ルール、マナー、エチケット)」の認知機会を創出してゆく予定です。

 またプロジェクトに参画頂いているアルペングループ(ゴルフ5)では、独自施策として「ゴルフ初心者応援キャンペーン」を絶賛展開中。「コト」と「モノ」が連携することによる相乗効果も大いに期待したいところです。

 更に九州地区のゴルフ場関係者の間では、ゴルフ場を拠点とした新規ゴルファー創出、育成に向けた施策展開も予定されているそうで、そちらも非常に楽しみです。

私自身も「現場から遠い」人間の一人として全力でオール九州プロジェクトの活動をサポートしてゆきたいと考えております。

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