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常世ノ塔の解説を担当した(RTA in Japan Summer 2023)
墨酢です。
RTA in Japan(以下RiJ) Summer 2023にて、「常世ノ塔」RTAの解説をやりました。
走者はねこさん(https://twitter.com/ckit_22)。本番でも素晴らしい走りを披露してくれました。
【解説決まったとき】
みんながざわつくRiJの採用作品発表。
自分は走者としては今回何も応募してなかったけど「もしかしたら自分が解説やるかも、みたいなタイトルあるかな〜」と思いながら見てた。
![](https://assets.st-note.com/img/1692110958845-KTFhXg6MZL.png?width=1200)
あったわ。
これ「もしかしたら」じゃなくて即決レベルのやつや。
不思議のダンジョンRTAフェスで一度解説やってたので、ねこさんから愛想つかされてない限りはお声がかかるなと思って連絡。
![](https://assets.st-note.com/img/1692110388169-CcadBiuGIJ.png)
そんなわけで無事決まりました。
【RTA in Japanに解説で出るということ】
RiJには走者として出るのが何より気合い入りますが、解説として出るのも非常に楽しみになってます。というのも…
・好きなタイトルの魅力と走者の凄さを自分の口で語れる。しかもRiJは何万人もの人に発信できる
これがヤバい。「推しを語る」ことの極致ですよこれ。個人がいくら頑張ってもできることではない。
だからこそ「この走者とこのゲームの魅力を伝えるのは俺じゃなきゃダメだ!」という強い意志を持ってるものだけ解説やってます。ブラステRotN、R4、メトロイドドレッド、全部その気持ちだったし今回もそう。
※「解説請け負います!よければ依頼してね」のスタンスも素晴らしいものであり、否定する意図はありません。俺にはできないことなのでむしろ尊敬している。
・RiJ会場に全日自由に出入りできるフリーパスが貰える
敢えて身も蓋もない書き方をしますが、解説の名札は実際そういう意味も持ちます。採用タイトル一覧見たら生で見たいものが多すぎる。そりゃ欲しいのよ観覧権。
まして今回は一般の観覧応募がなかなかに高倍率だったという感触。
JAWS PLAYERSや北陸い~じ~RTAでオフイベ自体への関わりが強くなった今、イベント会場で得られる知見は無限に欲しいというのが実情です。
どのように運営しているのか、どんな人たちが何を見に来ているのか。
そういった部分も把握したく、入場権を得ることへは貪欲でした。
ともあれ、やったー解説担当だー頑張るぞと張り切って就任したのでした。
【事前準備】
あんまりやることねえなあ…ってビートマニアばっかりやってた。
コイツ張り切って就任してなくね?
ものすごい語弊があるけど実際そんな感じで、RTAとして取り組む内容自体は不思議RTAフェスのときとほぼ同じだったので
・走者、解説が同じ
・カテゴリや使用キャラも同じ
・すでに解説資料は大枠で完成している
ということから流用が多く「まあ大丈夫でしょう」という認識に。
常世ノ塔、ローグライク要素(日ごとにマップが変わる)のおかげでロケハンもできないので事前にやることがなさすぎた。
不思議RTAフェスのアーカイブを見て反省点・改善点の洗い出しはした。
リハーサルもした。このあたりでとっておきの「RTAちゃん実装計画」を知らされたけど、詳細はねこさんに任せます。
【当日:本番前】
◆ロケハン
日付が変わり8/12の午前0時になった瞬間から即登頂開始。
・開幕やボス戦後のアーティファクトは何が落ちているか
・マップ構造はどのタイプか
・出現する敵キャラは誰か
→特に難所となりそうな階層を事前に把握しておきメモする
・48階のラスボスは誰か
このあたりの情報を確認しながら通しプレイして録画。
タブレットで再生できる動画に出力して新幹線での移動中に見直し。
こんなことをしてました。
ちなみにロケハン→原稿書き換え→動画出力までやって就寝したのが午前1時半くらい。
東京行きの新幹線は早朝なので起床は午前5時。
つくづく当日に解説準備が集中するゲームである。
◆火消し
地味に気を揉んだのがこの作業。
本番後には「常世ダイレクト」なる告知イベントを挟みましたが…
RTAちゃんMOD、実は本番前日(8/11)の夜にはもう解禁されてました。
RiJの常世ノ塔のタイミングにピンポイントで解禁するのが難しいので余裕を持ったスケジュールで実装。
そうなると怖いのが
「RTAちゃんいるじゃん!カットインもある!
#常世ノ塔 #RTAinJapan #RTAちゃん可愛い」
みたいなツイートとその拡散。いわゆるリークです。
ちょっとでも広まってると、本番が始まる前のセットアップ画面でチャット欄に書き込まれたりするかも…と思ったのでかなり警戒しました。
警戒といっても、できることは少ないです。
「そういうツイートを見つけたらリプやDMで削除を頼む」しかない。
実際2件あったので、こちらから声をかけて消してもらいました。
RTAちゃんいる!ってつぶやいただけなのにいきなり知らん奴に「消せ」って言われるの、納得いかんよね。現に「そのやり方は強引だよな」って言われました。すまぬ…これしかないんじゃ。
「早く言ってよ!」とも言われたけどすまぬ…先手打って言論統制するのは無理じゃ…
ていうか「RTAちゃんもう実装されてるけどまだ黙っててね! #常世ノ塔」みたいな告知したら余計悪化する。
常世ノ塔関連のサーチにかけては恐らく世界一マメにやってるであろうVTuber不知火遊良さんにも「RTAちゃん実装関連だけはスルーしてくれ」と根回ししたり(ご協力ありがとうございます)。
これがあったので本番まではかなり落ち着かなかった。あとスマホのバッテリー消耗すげー速かった。
まあその気苦労も、満を持してお披露目したら全部吹っ飛んだけど!
また、『常世ノ塔』ではRTA in Japan採用記念として、作者さえばしさんご協力のもとRTAちゃんのMODが公式実装されることになりました。
— RTA in Japan (@RTAinJapan) August 12, 2023
ただいまよりゲーム内で遊べるようになっているということですので、興味を持たれた方は遊んでみてはいかがでしょうか。#RTAinJapan pic.twitter.com/lv0589SyWr
◆ねこさん事前練習
このあたり、マジでやることがなかった。
ねこさんは「初見で走る」ことを基本ルールとしているのでこの日の塔を練習で登ることはできない。
解説としても、事前に「開幕でモーターと羽落ちてるんですけどどっち拾います?」なんてことも聞けない。
ねこ「ルゥラ練習しとくか~」
墨酢「ルゥラ難しいですもんね~(今日はナナハですよって言いてえ~)
【本番直前】
RiJの常世ノ塔が始まる1分前くらい、いきなりHoishinさんからインカム越しに「走者カメラのオートフォーカスをoffにできないんですけど対処法分かります?」って聞かれたのめっちゃ面白かった
— 【塩走者】墨酢 (@SmithP226) August 13, 2023
使い慣れたカメラだから一発で原因特定できたし、それを見越して聞いてくれたのも嬉しかった。ドヤ顔した
これマジでおもしろかった。「今!?墨酢に!?」って周りの人みんな思ったんじゃなかろうか。俺もそう思ったけどカメラを見たら勝手知ったるPXW-Z190ちゃん。
訳あってHoishinさん(RiJ運営の方)は俺がそのカメラに詳しいことを知っているのです。
悪い子だ、ちゃんとフォーカスは固定するんだぞZ190ちゃん。
この一件ですっかり緊張ほぐれたので実はめっちゃ助かりました。
ねこさんはすげー緊張してたけど。ごめん。
【本番】
本番がどんなだったかはまあ…アーカイブを見てください。
反省点も多少あるけど、概ねやりたいことはできたと思います。
何より走者がパーフェクトの走りをして、記録更新までしてくれたので感無量です。
その結果リハより30秒早いタイムで登り切っちゃったんですよね。道理で解説が追い付かないわけだ。
走者速すぎて解説間に合わない問題、アクションゲームのRTAなら誰もが直面する課題なんじゃないかな。でも。だからこそ工夫のし甲斐があるとも思います。
【解説時に心がけたこと】
やってみて感じたのは、解説も「よい解説」を目指すと非常に奥が深いということ。書き出してみると要素が多い。
以下、自分が解説をするにあたって心がけていたことです。
今後も気をつけたいし、この記事が誰かの解説の参考になればいいなとも。
◆ハッキリと、明瞭な発音で喋る
ハイペースなアクションゲームなので解説は早口になりがち。
加えてマスク着用必須の環境。マスクをつけた時点で聞き取りやすさにデバフがかかる。会場で配布してたマスクは複数種類あったが、どれが最も発声しやすいかは慎重に比べて選んだ
◆誰を対象とした解説か
→常世ノ塔を知らない初見視聴者。おそらく大多数がこの層だから
既プレイの人は画面見れば何が起こっているかだいたい分かる
◆重視すること/気にしなくていいこと
重視:常世ノ塔というゲームの良さを伝える
不要:RiJ他作品のミーム拾いや茶番など
走者の意図を汲むことが最優先。自分勝手な悪目立ちはしないこと
◆「上手い」「速い」の具体化
数字は特に重要。メロンフロート1個あたり12秒の短縮とか
ただし「ブラックダイヤ1個で36秒短縮」を言えなかったのは×
上手すぎて驚く・引くところは素直にリアクションする(解説もびっくりという1要素)
今回のRiJを視聴者として見ていて思ったのが、「ゲームスピードの速くないタイプの2Dアクションは、初見の人にはどこがどう上手かったのか伝わりにくい」こと
「ここは○○が難所だけど、こういう行動を取ったから上手かった」を簡潔に説明できるとGOOD
◆「失敗してしまった」の空気を作らない
このゲーム走りきるだけですごいんじゃ!!
走者が失敗を引きずるのが最もマズイ
もしコンティニューすることになったら難しさを補足。ヘタとかガバとか言わせない
「人間には反応できないパターンもたまにあります」など
◆言葉選びはよく考えること
同音異義語や聞き慣れない言葉は理解が遅れる。
常世は「○○回」「○○階」どちらも言うので紛らわしい状況で言わないように注意
「アーティファクト」→「アイテム」(初見の人が理解しやすい言葉で)
「クールダウン」「クールタイム」→「リチャージ」(スキルをもう一度打てるようになるまでの時間と直感的にわかるように。でも言い間違えた)
また長い単語は読むだけで時間がかかる。聞く側にとって理解しにくい
「メガダッシュモーター」「ハイピュリアの羽」→「モーター」「羽」
モーターも羽もアイコン見れば理解できるので短縮(「ハイピュリアの」の発音に約30Fかかる)。走者がフレーム単位で削ってんだから解説も頑張る。
◆一方で、インパクトが強く覚えやすい言葉はアクセントに
→「チート認定」「常世ダイレクト」など
RiJ期間中は濃い視聴体験でどんどん記憶が上書きされていくので、ある程度印象に残したかった
◆素材の味を活かす
真ボス戦のBGMサビは喋らない。R4の学び。
「最高のBGM」と「今解説したい内容」どっちが視聴者にとって嬉しいかは都度天秤にかけてみる。
突然黙ってBGM鑑賞タイムに入るのは効果的だが、そのためには直前まで喋り続けて急に黙ることでメリハリをつけるのが大事あとオンラインだったら休憩・給水タイムにもできるよ
おわりに
このツイートだけで一生分報われたわ!!
トレンド入りありがとう〜ー!!!!!!!!!
— 𝐬𝐚𝐞𝐛𝐚𝐬𝐡𝐢 /*ᵍᵃᵐᵉᵈᵉᵛ (@saebashi) August 12, 2023
このゲーム作ってよかった〜〜!
次回作も頑張るぞい
#常世ノ塔 #RTAinJapan pic.twitter.com/UXcs7hvcdC
走者ねこさんにもただただ感謝!
不思議RTAフェスに続いて喋らせてくれて嬉しかったです。
ありがとうございました!!
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