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「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」urbanさんの書籍を読み終えて

はじめに

こんにちは。好きなオールドレンズの特性はハイライトの滲み、すみす/smithです。ついに待望の!!我が師匠(自称)鈴木啓太/urbanさんの新書が発売されました!!!

思いが募り過ぎてTwitterでは到底足りないので、久しぶりにnoteを書いてみようかなと。読書感想文です。

正直感動するレベルの著書となっています。もはや「解説付きの写真集」。作例、解説ともに高次元で本当に素晴らしい本です。その魅力が少しでも伝わるように、私の全文章力を持って解説していきたいと思います。確実に長文になります。ぜひ最後までお付き合いください。それではれっつごー!!!!

α7Ⅱ+summilix35mm2nd

前作「ポートレートのためのオールドレンズ入門」との違い

まずは前作、「ポートレートのためのオールドレンズ入門」との違いについて。こちらは2021年2月に発売された、オールドレンズの作例集です。広角から望遠まで、50本ものレンズを作例・解説付きでまとめたものでした。(これも素晴らしかった・・・)

オールドレンズは「星の数ほど」というと言いすぎかもしれませんが、数百では収まりきらない数があり、また、その特性も多種多様であり、滲みやぐるぐるボケ、ゴースト、フレア・・・などきりがありません。

初心者の方はどのレンズを買えばいいか迷うことでしょう。その中で、メジャーで安いレンズからLeicaなど高級レンズまで、ポートレートに使えるレンズの特性と歴史について解説した、「入門」と言う名にふさわしい著書でした。

今回の新書は、本数こそ20本ですが、内容が段違いに濃いです。その内容について、感想を交えながら深堀り解説していきます。

α7Ⅲ+summilux35mm2nd

内容

もはや解説付きの写真集

まず写真上手。(笑)作例が素敵すぎて、完全に写真集。作例は大切で、「こんな写真を撮れるようになりたい」と思えなければ意味がありません。紙質もマットながら発色が良く、写真も大きいため、写真集に解説がついている感じで見応えがあります。ただし、この本のすごいところは、ここだけではありません。

オールドレンズを使い始めて直面する問題点について

普通、オールドレンズの本は絞り開放、逆光の写真が多く使用されています。これは、フレアやゴーストなどオールドレンズの癖がわかりやすいためです。基本的にオールドレンズを使用する人は、この現行レンズでは表現できない癖を求めているため、これはこれでいいでしょう。

しかし、実際にオールドレンズを使用してみると思うことがあります。それは、「思ってたんとちがう」ということ。

虹色ゴーストが出ると思っていたら出ない、フレアが出すぎてファインダーが真っ白。あんまり滲まないなど・・・

これは、

  • 作例と季節や時間帯、屋内・屋外、気象条件など光の条件が違う

  • レンズの状態や個体差

  • ボディの性能の違い

以上の理由が考えられます。

オールドレンズは、コーティングが発達していない時代に作られたものが多く、光に敏感です。少し条件が変わっただけで、大きく描写が変化するので、それが魅力でもあり難しいところでもあります。

つまり、本の作例と違う光線条件であれば、描写も大きく異る場合があるということです。

本作のすごいところ

前置きが長くなってしましました。なぜこんな話をしたかと言うと、この本が上記の問題点を打破する突破口になってくれるからです。

それは、「順行、逆光、遮光などの光線条件ごとの作例を掲載してくれている」ということ。こんな本はみたことがない。

例えば私の愛用レンズ、summilux35mm。順光や遮光ではハイライトが滲み、逆光ではフレアやゴーストが咲き乱れます。

LeicaM10+summilux35mm2nd(f1.4 逆光)

また、曇りの日は薄っすらと全体が滲みます。

LeicaM10+summilux35mm2nd(f1.4 順光、やや雲あり)

絞ると滲みは消えてはっきり。

LeicaM10+summilux35mm2nd(曇り、f4くらい)

このような違いについて本書では解説されており、特にどのような条件が最もレンズの魅力を発揮できるか、実例を交えて理解できます。「具体的にどうすればいいか」という部分が明確なため実践しやすいと感じました。

ちなみに、私はこのsummilux35mmを使用していて、やたら立体感が出る距離や絞りがあるなーと漠然と思っていましたが、それが明文化されておりなるほど!と気付きがありました。

LeicaM10+summilux35mm2nd 傘の立体感。

あと細かいですが、価格や特徴、マウント等をまとめたレンズ一覧が最初に。意外とこういったページないんですよね。特に初心者はマウント等分かりにくいし、価格で選ぶことも多いので、さすが分かってらっしゃる!と思いました。

オールドレンズで撮った写真の現像について

オールドレンズは比較的コントラストが低くなりやすく、フレアやゴーストを入れると更にその傾向は強くなります。そのため、イメージ通りの写真に持っていくためには、raw現像が欠かせません。現行レンズと比べて結構大きく数値を動かす必要があるため、現像が迷子になりやすいです。

撮って出しraw LeicaM10は白飛びしやすいため、極力白飛びを避けて撮影
現像済 透明感と光を意識 ゴーストが顔にかからず、かつフレアがあっても表情がわかるよう調整

本書では、オールドレンズを使用したraw現像について、ワークフローからそれぞれの項目の説明と、補正前後の比較を細かく写真付きで解説されています。そのため、「どこをどのようにいじることでこうなる」という部分が明確になります。現像が迷子になりやすいオールドレンズの写真の現像において、これは一つの指標になると思います。

更に!!フィルム風現像についても解説されています!しかも大好きなのに廃盤になってしまったPRO400H!!!そして永遠のスタンダードFUJICOLOR100!とGOLD200!ありがとうそしてありがとう・・・!

よくある「なんとなくフィルムっぽい、エモい感じ」みたいな浅い感じではなく、フィルムの特性を知り尽くしたurbanさんの解説ですよ・・・!日本のカメラ屋さん(現像してくれるお店)の現像の機械や店ごとの特性まで把握していらっしゃしますからね?かなりナチュラルに寄せていて驚きました・・・!そう、これだよこれ・・・!という感じ。

おわりに

オールドレンズ好きでなくても買い

思いが溢れてなかなかの長文になってしまいました。とにかく少しでも本書の魅力が伝われば嬉しいです。オールドレンズ好きやurbanさんのファンはもちろん、オールドレンズをこれから始めたい方、現行レンズを使用していてフィルム風現像について知りたい方など、多岐にわたっておすすめできる1冊となっております。ぜひ購入してようこそ楽しいオールドレンズ沼へ!

本書はこちら!

前作はこちら!

urbanさんの素敵なホームページはこちら!




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