優しさについて、長い間考えていた。①
私の人生の目標は「強くて優しい人になる」こと。
忘れもしない小学4年生のとき、人を傷つけてしまったと強く自覚した経験がある。大好きで尊敬していた友達にも「変わったね」と言われた。
気づいたときにはもう遅かったから、胃に穴が空いたし毛髪も抜け落ちた。
私はその人のことも自分のことも守れなかった。
だから、どうしても変わりたかった。
強く優しい人に。
そう言って泣きつく私に、母はそっと語りかけ、抱きしめてくれた。
「大丈夫、必ず自分が望んだ自分になれる」
本当に強く望んでいるなら努力を惜しむことはなく、自ずと結果もついてくるのだと。
あの頃の私から見たら現在の私は、きっと随分と大人に見えるだろうし、強くなったと思うだろう。
しかしそれゆえ、以前のような純粋な心や真っ直ぐな感性は損なわれたように感じる。
成長したと同時に、ある側面では劣化していたのかもしれない。
それが大人になること、強くなることであるというのなら、本当に優しさと強さは両立し得るのだろうか。本当の優しさとはいったい何だろうか。
私はこのようにして、優しさについて長い間考えてきた。