常夜灯が満月に見えた話
昨日は大切な人と、大切な話をした日だった。トラブルがあったけど、話し合いを重ね、これまでの人生の振り返りや、自分というものについてまで話は及んだ。
この日は帰宅して疲れてしまって、まだ明るい時間帯、昼寝ならぬ夕寝をしていたが、金縛りにあい、うめきながら目を覚ます。隣で心配そうにしている大切な人に、私の心の緊張も少し解け、ふと浮かんだ言葉を、ぽつぽつとこぼしていた。何も言わないその人は、眠っているわけでもなく、ただ何かを考えて、それが言葉にできないように見えた。
外はだんだん暗くなり、常夜灯が微かに部屋を照らす。ここだけ時間がゆっくりと流れているようだった。私はただ、言葉を待っていた。言わなくていい、と伝えるのも、違う気がしていた。だから、じっと待っていた。少しずつ、少しずつ糸が緩んでいき、その人の言葉と、私の言葉が、交差していった。狭い部屋には冷房がよく効いて、涼しかった。だけど、心は、温かかった。そんな特別な空間の中で、私は、その人のことを、いかに大切に感じているのかを自覚した。そしてその時、部屋の常夜灯が、満月に見えたのだった。
私たちはまるで魔法にかけられた空間の中で、見えない何かを手探りで探し、その形をしっかりと確かめ、そして一緒に抱えていた。私はその人の心臓に手をあて、動いているのを確かめた後、私の心臓に手をあて、動いているのを確かめた。温かかった。私は、生きているのだと知った。私の心臓は、それをずっと知りながら、私の身体の中で私を支え、私を受け入れ続けてくれたのだと知った。私が私を許せなくとも、心臓は私を許し続けてくれたのだと知った。星のない夜空の下、ふたつの命が息をしていた。