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【連載】ずうずうしい日記 vol.9反省と置き土産

《前回までのあらすじ》
PTBMにて、明太パスタ屋の自称看板娘としてひと汗かいた新人プロマネ津田。いつもへらへらとしているが、時には挫折もあったようで…。

《前回記事はこちら》

ミッション:都内某地に、新業態をつくれ!

こんにちは、津田ひかるです。
暑い暑い夏を経て、またひとつ年を重ねました。いよいよ「新人PM」と名乗れる限界を感じ始めています…。

さて最近のスマイルズは、新卒カイワイ採用2022 -辛辛辛- を開始しました。津田も採用担当2年目となり、トウガラシマークの帽子をつくったり、巨大ガチャを回したりしています。(笑)

ああ

そんななか舞い込んできたのは、某メーカーさんからの案件。

昨今の情勢の影響を受けて、従来とは違う、新しいビジネスモデルにチャレンジしたいという内容でした。こちらはディレクター、ヨシダさんと空間デザイン、マサさんの3人。

初動で期待を裏切る

案件が決まったら、まず相手の期待値を上回るスピードで企画を持っていくのがスマイルズの常套手段。期待は裏切るもの、というヨシダさんのパワープレイにより、初回の打ち合わせ「まずは全体のスケジュールを…」という心づもりでいる先方を早くも裏切りに行きます。クリエイティブ塾*を開催し、出たアイデアをもとにまとめた全9案の新業態をいきなり提案しました。初動から相手の期待を上回ることで、クライアントを含めたチーム全体の熱量があがるのを感じます。

現実に落とし込む

企画の内容が固まってきたら、現実的なスキームや座組を考える必要があります。スープストックトーキョーをはじめ、さまざまな自分事業をやってきたわたしたちは、業態開発がトクイ分野のひとつ。デザイン・企画はもちろん、事業収支の作成やオペレーションまでお手伝いすることができます。普段は事業者として立ち回っているからこそ、膨らませた妄想を、事業者視点でリアルに落とし込むところまで伴走できるわけです。わたしの1年間の現場経験がクリエイティブでも生きてくるのはこういう場面。

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ただ新規事業開発がトクイ、とは言ってもやはりそこにはいくつもの大きな壁が存在します。今回も例にもれず、大きな壁にあたってしまいました。

裏ミッション: "新規事業の壁" を崩せ!

企画もいい。実現可能性も高い。担当者も納得している。
でもそれだけでは実現できないのが新規事業開発の難しく、また悲しいトコロ…。PJが軌道に乗ってきたというときにクライアントの担当者さんから、一本の電話がかかってきました。

「実はこの度大きく経営方針が変わって、このご時世に新規事業にチャレンジするのはリスクが高すぎる、まずは既存事業の地盤を固めるべきだという流れになってしまいました…。」

これがいわゆる"新規事業の壁"  かぁ~!話には聞いていたけれど、いざこういう状況になるとツライ。担当者のかたの不安げな声に、わたしはまずはとにかく励まさなければ!」と思いました。

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今回の案件、事業者視点で見たら羨ましいほどいい条件、オペレーションも簡易、こんなにローリスクなチャレンジはありません。
こんな好条件が揃うのはこの不安定な時期だからこそ。時期を伺っても、今以上の好機はなかなかないかもしれません。やったことのないことをやるのだから、そりゃ必ず儲かりますよとは言えないけれど、そもそもいまのご時世 "必ず儲かるビジネス" なんてないから、今回の話が持ち上がったはずです。やりましょう!

と必死に応援しました。笑
でも担当者のかたは

「そうですよね。わかってはいるんですが、社内の流れがガラッと変わりすぎてしまって説得できないかもしれません。」

と残念そうに話していました。
なんてこと!一生活者としても、完成を心待ちにしていた身としては自分の無力さを痛感する瞬間でした。

去り際に置き土産を

持ち帰り、ヨシダさんに相談。
このままさようならは切なすぎる。今回は致し方なし、としても、どんなかたちであれなんとか次に繋げたい。先方がご報告に、と打ち合わせを調整いただいたタイミングで置き土産を用意することにしました。

タイトルは、「何かやったら、何か起こる」
新規事業はたいていの場合カイシャやソシキに現れる様々な壁によって実現されないけれど、ここでやるからこそ得られるものがある、そんな話をしました。

これ実は、担当者さんのもどかしさを代弁する意図を込めてつくっていて。チャレンジする気持ちは、カイシャやソシキに阻まれがち。だからこそ、その火が絶えないよう寄り添い、励まし、そして次の機会に備えるための言葉を詰め込んだ資料です。

お打合せ当日、この資料は印刷してお持ち帰りいただきました。
担当者のかたが持ち帰ってデスクに置いておけば、もしかしたら、表紙のタイトルに、カイシャのだれかがドキッとするかもしれない。そして仲間に加わってくれるかもしれない。そんな淡い期待を込めています。(笑)

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失敗を糧に

 "新規事業の壁" を超えられず新規事業開発案件が途絶えてしまったこの件で、わたしはPMとして自分の未熟さを痛感しました。企業が新規事業に取り組むときのよくある事例だからこそ、きっとこれからも同じ事案は発生する。わたしはこの反省を絶対に次に活かしたいと思っています。

帰りがけ、クライアントの担当者さんは
「絶対にこの企画、機会をうかがってもう一度チャレンジしたいと思っています。引き続きよろしくお願いします。」
と力強く仰っていました。わたしもまだ全然諦めていません。
必ずやリベンジしましょう、同じチームで!

今日の学び

時には未来を信じるしかない。


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▼クリエイティブチームのお仕事について

▼この記事を書いた人

横

津田ひかる(つだ・ひかる)|プロジェクトマネージャー
1996年、兵庫県生まれ、パキスタン・ベトナム育ちの一人っ子。慶應義塾大学環境情報学部で社会学・コミュニケーションデザインを学び、卒業。2019年株式会社スープストックトーキョーに新卒入社し、アトレ恵比寿店での経験を経て2020年クリエイティブ本部へ異動。現在はプロジェクトマネージャーとして、主に外部案件のプロデュースやコンサル、企画を担当。


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