【連載】ずうずうしい日記 vol.7ワークショップとカツサンド
《前回までのあらすじ》
番外編、と銘打ってvol.6にして自己紹介をした新人プロマネ津田。最近はなかなかアタマを使う仕事が多いようだが、果たして…
《前回記事はこちら》
こんにちは、津田ひかるです。
気づけばあっという間に年度末。実は4月からクリエイティブチームに新卒がジョインします。いよいよ"新人PM"津田も先輩になってしまうということです。ひぃ~!
クリエイティブチームの平均年齢もぐぐっと下がります。いつまでも甘えていたい気持ちもありますが、それを遥かに上回るたのしみとよろこびでいっぱいです。
ミッション:全社員対象、オンラインWSを成功させよ
ただいま絶賛進行中のプロジェクトで、クライアントさんの新CIおよびタグラインの作成の依頼を受けました。弊社がお手伝いするにあたり、その会社が何を大切にしていて、核となる価値はどこにあるのか。それを理解したうえで今後目指すべき方向性と表現方法を検討する必要があります。
そこでわたしたちはクライアントさんが抱える130名余りの全社員を対象に、オンラインWSを決行することにしました。
130名対象のWS、しかもオンライン。これがなかなかハードなのです。
リアルでの開催なら、主催者側も参加者側も臨機応変に対応できる部分が多く、その柔軟さを含んだままWSを設計することができます。ですがオンラインだとそうはいきません。"臨機応変"を許さず、細やかで複雑な設計を組み立てる必要があります。これが実に地道。その上ファシリテーターの人数も多く必要。新卒カイワイ採用の逆面接で経験したのでわかります。これは嵐の予感…。
裏ミッション:クライアントとの信頼関係を構築せよ
ハヤシさん(写真左)と二人三脚のこのPJ。
いままでの担当案件とは少し毛色の違うこのPJは、わたしにとっては少しチャレンジングです。わたしの不安要素は大きく2つ。
ひとつは、誰もが手軽に使えるオンラインツールが少ないこと。
新卒カイワイに参加する学生こそコロナ禍でのオンライン化の流れに柔軟に対応していたものの、組織によって使用されているツールや使い方もさまざま。今回のクライアントさんに限らず、まだまだ同じ企業の中であっても全社員の方が確実に使用できるオンラインツールがない場合も少なくありません。その場合、なんらか初めてのツールを使用してもらわざるを得ない状況で、どうサポートできるかがミソです。
もうひとつは、担当者の方々(以下事務局)と信頼関係を築けるか。
今回のクライアントさんは、きっちりしっかり真面目な方が多く、気遣いと気配りの行き届いたコミュニケーションをとる方ばかり。社内でも無鉄砲キャラとして名を馳せるわたしのようなキャラクターが(そしてこの髪色が!笑)反感を買ってしまわないよう気を付けつつ、どう関係性をつくっていけるかがわたしの不安要素であり、WSにおけるポイントでした。
想定外、を想定して先回りせよ!
ファシリテーターはスマイルズとクライアントさんから数名ずつをシフト制で組んだのですが、ここでも課題がありました。これまでは"リアルWS"が中心のお手伝いだったので、"オンラインWS"を開催開催・参加したことのあるひとが、まだまだ少ない状況だったのです。説明をしても実際の状況を想像することすら難しいのに、ファシリテーターとしてのインストールをするのはもっとハードルが高い!説明や練習をする時間は設けましたが、わかるとできるは違うはず。どんな問題が起こるかはわからないけど、「想定外」も考えて行動しなくては…!
当初スマイルズとクライアントさんのファシリテーターはそれぞれ会社から参加する予定でしたが、わたしは急遽ひとりクライアントさんのオフィスに行って参加することにしました。想定外は必ず起こる。オンラインWSとはいえ事務局が物理的に近い環境にいることが、トラブルに最も強いことを新卒採用の際に身をもって感じていたからこその判断です。
先方に「急で申し訳ないのですがWS当日、お伺いしてもよいですか?」とメールを送りました。するとWS前日「あしたのお昼はカツサンドです」というなんともチャーミングで嬉しい返信が。先方の細やかなお気遣いには、素直に甘えさせていただいてばかりです。しかも大好物~!ごちそうさまでした♡
スキマ時間インタビューを逃さない
人付き合いにおいて基本のキではありますが、やはりちょっとおしゃべりをするようなスキマ時間があるのとないのとでは大違い。これは先方に赴いたことで得た大きな副産物でした。
少しのスキマ時間で相手の人柄を読み取ること、その上で自己開示を行い安心感をつくりだすこと、これはその後のコミュニケーションの質を大きく変えると実感しました。スキマ時間ができたらチャンス。気になる話題を振ってみたり、あえて何の脈略もないことを聞いてみたり。
これはハヤシさんから学んだことでもあります。ハヤシさんは、ときどき雑談を個人や社内メンバーのチャットで送ってきてくれます。そのユーモアでなんとなく緊張がほぐれたり、チームの目線が合ったりするのが明確にわかったから、真似をしようと心掛けました。
チームメイト・バランス
今回PJメンバーとして一緒にいたハヤシさんは、とっても頭の回転が速いクレバーなひと。とにかくレスが早い!!驚くべき対応スピードです。
そのうえ先手先手で、相手の必要なものを用意する。ハヤシさんがつくる資料はやさしいのです。
そんなスピードスター・ハヤシさんと組むにあたり、わたしは完全に事務局側のサポートに回ることにしました。あまりの俊敏さに圧倒されている方が居れば、激しく共感、そしてフォロー。むずかしいですよね、情報量多くて混乱しますよね、と言いながら、足並みが揃うまで寄り添う。自分の立ち回りを変えられる選択肢をたくさん持つことができれば、社内のだれと組んでも、どんなクライアントさんが来ても、うまく進められるのかもしれません。
「いつもと違う」を価値にする
企業をクライアントとしたとき、WSの受けては通常業務で忙しい中に時間を割いていることがほとんどです。参加への温度感や目的の理解も、部署や役割、立場など、人それぞれ。
そんな中でWS全体のファシリや司会進行をわたしがするなら、相手にとっての「いつもの感じ」とは違う空気をつくりたいと思いました。しっかりとした会社だからこそ、あえて少し軽やかな口調を選んでみる。あえて空気を読まずに切り込んでみる。「いつもと違う」新鮮さで興味関心を生み、相手の関与を高めることを意識しました。
ついに完遂!
WS当日は、急遽参加できない方がいたり、通信環境が悪くて落ちてしまう方がいたり、大幅に遅れるチームや大幅に巻いてしまうチームがいたり、小さなトラブルはありましたが事務局メンバーで力を合わせ、カバーすることができました。めでたしめでたし。
帰りがけに「ひかるさん、わたしたちの会社にはいないカジュアルさだけど決して嫌な感じはしないし、その明るさに救われてるよね、ってみんなで話していたの。オフィスまで来てくれてよかった!」と言っていただけたことがうれしくて!どや顔で中目黒のオフィスに戻りました。
まだまだハヤシさんのようなスピード感と思いやりに満ちた先手を打てるようになるまで、道のりは長いですがまずは第一歩。ハヤシさん、これからもたくさん吸収させていただきます!
今日の学び
「ひかるさん」と下の名前で急に呼ばれるとうれしい。
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▼クリエイティブチームのお仕事について
▼この記事を書いた人
津田ひかる(つだ・ひかる)|プロジェクトマネージャー
1996年、兵庫県生まれ、パキスタン・ベトナム育ちの一人っ子。慶應義塾大学環境情報学部で社会学・コミュニケーションデザインを学び、卒業。2019年株式会社スープストックトーキョーに新卒入社し、アトレ恵比寿店での経験を経て2020年クリエイティブ本部へ異動。現在はプロジェクトマネージャーとして、主に外部案件のプロデュースやコンサル、企画を担当。