海ホタルをもっと研究しよう!
海ホタルについて知ろう!
Q : 海ホタルって何なの?
A:海ホタルは、エビやカニの仲間(甲殻類)で、2mmくらいの小さな夜行性の生物だよ!
地域によっては北だと小さく、南の沖縄だと5~6mmもあるよ!
米粒のような形をしている個体が多いんだけど、米粒よりももっと小さくて、ゴマ粒よりもさらに小さいんだ!
海ホタルは、プランクトンや原生動物の夜光虫とは違って、二枚貝のような甲羅の殻で体を覆ってるよ!
言わば 海のミジンコのような感じかな!?そして最大の特徴は、刺激を与えると光る物質を出すってことなんだ!
Q : 海ホタルは何で光るの?
A:正確にはまだ明らかになっていないけど、敵に襲われた時に目を晦まさせたり、脅かすためとか、タコやイカの墨のように光に気を取らさせて逃げるためとか、オス・メス間の相手の気を引く交尾活動だとか、エサや危険を共有する為の光による交信だとか、色んな仮説はあるんだけど、何かしらの刺激を与えられると光るんだよ!
実際に夜のビーチを観察していると、大きなゴンズイ玉が水底を通り過ぎる時に、そこにいる海ホタルがその時だけピカピカと青く点滅したり、餌付け時に数匹が光り出すと急にたくさん集まって来たりという現象は普通に見られるので、どの説が正しいとかというよりも、実際には複合的にどの説も正しいと言えると思うよ。
最近の研究では、体内の酸素を燃焼させるためではないかと言っている研究者もいるよ。
酸化は生き物にとって毒なんだけど、まだ高等に進化していない生物は 自らの機能で酸素を排出できないので、発光物質によって体外で酸化させているという説なんだ。実に合理的な仮説で説得力があるので、酸素排出の原理を多岐に応用しているということなんだろうね。実に興味深いね。
Q : 海ホタルはどうやって光るの?
A:海ホタルは体の中にルシフェリンという発光物質とルシフェラーゼという発光を促す発光酵素をそれぞれの袋に持っていて、それらを口の下のそれぞれ重なり並んでいる管から放出するんだ。
2つの物質が放出された時に、そこに酸素が混ざると化学反応を起こして光るんだよ!
だから水底よりも波打ち際の方が良く光って見えるんだよ。
浅瀬を歩くと水底で光ったりするのも、そのせいなんだ。
Chocoコラム①
そもそもなんで光るようになったかというと、小さな甲殻類である海ホタルの仲間「貝形虫」は、約2億6700万年前(ペルム紀)には発光能力を獲得してたと研究発表されているよ!
もっと昔、約5億4000万年前の古生代 カンブリア紀には物凄く多様な生物が大発生したんだけど、その時にはウミサボテンやウミエラなどの原始的な刺胞動物が、自らの発光能力を身に着けていたことが判ってるんだ!
ルシフェリンの発光物質は体の外から取り入れるけど、ルシフェラーゼという発光酵素は自分の体の中から作りだすので遺伝子構造を持っているんだよ。
だから発見される化石からそれを抽出出来れば、海ホタルのルーツも解明されることになるよ!
海ホタルについてもっと知ろう!
Q : 海ホタルはどうやって増えるの?
A:海ホタルは、卵胎生なので、メスが一度に40個ほどの卵を殻内に産んで、清掃肢を動かし酸素を送りながら育ててるんだよ。
そして殻の中でハッチアウト(孵化)させてから海中へと放出するんだ。だから生息域が限定されるんだよ。
因みにね、実は日本にいる海ホタルは遺伝子的には5グループから成り、本州四国九州の海ホタルは同じ遺伝子集団なんだよ。
Q : 海ホタルはどれくらい生きるの?
A:半年から1年は生きていると言われているよ。そして5~6回の脱皮をして成長して行くんだ。
ただし飼育などで観察し続けても、個体の同定が難しいので、1個体がどれくらい生き続けれているのかを知るのは難しく、今のところは正確には不明なんだ。
海ホタルが活発に動けれるのは、水温が約10℃以上で、35℃以上だと死滅してしまうんだよ。
だから越冬できるかどうかは、その地域により異なっていて、東北だと1mmほどしか大きく成らず、西日本だと2ー3m、沖縄だと5mmくらいにまで成長するよ。
エサが豊富だからか、越冬しているかは確認はされていないけどね。
(※ 越冬=文字通り、寒い冬を生き残って次の年も生き続けてること)
因みに実験的飼育ではオスは越冬できずに死滅しちゃうけど、メスは越冬して次の繁殖時期まで生息することができるんだよ。
Q : 海ホタルは何を食べるの?
A:海ホタルは自然な海洋環境では、主に死んだ魚などを食べているんだよ。
血液や鉄分の匂いに敏感で集まって来て、特には うま味成分のイノシン酸を嗅ぎ分けて好んで食べてる凄くグルメさんなんだ。
タンパク質であれば何でも食べるんだけど、自然の世界の中では、自然にいる生物の死骸が主食の大事なスカベンジャー(腐肉食動物)さんなんだよ。
だからきれいな海が保たれているんだよ。「豊かできれいな海のバロメーター」と呼ばれる理由がよく分るね。
Q : 海ホタルの天敵は何?
A:余り観察がされていなくて不明なことが多いんだけど、ハゼの体内が光ったりしていることから、小型底生魚が捕食している可能性が指摘されてるよ。
他にもカニ類やチドリなどの小型鳥類が捕食している可能性も考えられるね。あと、エサが少ない時は、海ホタル同士の共食いをすることもあるんだよ。
Chocoコラム②
海ホタルはね 自ら光らせることができるんだけど、キンメモドキという魚は、海ホタルを食べて その発光物質と発光酵素まで体内に取り込んで溜めて濃縮させて、お腹を光らせることが出来るんだよ。
発光物質というのは海ホタルも食することで体外から取り入れるんだけど、発光酵素というのはそれぞれの発光生物に固有の遺伝子を持ったタンパク質で、海ホタルは海ホタル固有の発光酵素を持っているんだよ。
だからそれぞれの生物種の発光物質と 別の生物種の発光酵素は混ぜても光る(酸化)ことはないんだ。
ところがキンメモドキは自分で発光酵素を作れないので、海ホタルの発光酵素を自分の体内に採り入れて濃縮させ、発光に使ってるんだよ。実に興味深いね!
海ホタルを見に行こう!
Q : 海ホタルはどこで見れるの?
A:海ホタルは、基本的には温暖~熱帯の砂浜であれば生息している可能性が高いよ。
暖かく、潮の流れがあり、魚などの海洋生物が豊かで、隠れるための砂浜があるなどの環境条件が整っていれば、生息しているよ。
したがって、岩場などよりも、防波堤などで囲われていたり、大波に洗われにくく、かつ しっかりと外洋からの潮が入り込み、干満の影響がある砂浜は可能性が高いよ。
ただし繁殖の仕組み(孵化後の放出)上 余り広がることがないので、特定の場所に生息していることが多いよ。
有名どころだと、環境条件が抜群の瀬戸内海沿岸域。東は千葉・館山はメッカだよ。北は佐渡島でも見れるよ。記録上は東北でも出てるけど、1mmと小さいんだ。
逆に沖縄など温かい海の島では、5~6mmと非常に大きな海ホタルが見られるんだ。ただし餌付けは、色んな魚や生物が来過ぎてしまうので、難しいよ。
※ 大型船や船舶が頻繁に通過するエリアの砂浜は、要注意だよ!暗闇の中、航行してた船舶が消えた頃に、遅れて音もなく1~2mの大きな引き波が突然押し寄せて来たりするのでとても危険だよ!!!
それと 日中でもそうなんだけど、長い砂浜では「リップ・カレント(離岸流)」に気を付けようね。浜に押し寄せる海流で岸沿いに流され、それが突如 沖合に突き放すような強い流れになってるよ。
もしもカレントにつかまった時は流れを横切るように垂直に逃げると良いよ。昼間だったらそのまま流されれば 沖で流れが止まり助けてもらえるけど、夜間は暗闇で見付からないから 絶対に 流れがある海岸では 夜は海に入らないようにね!!!
絶対に子供たちだけで見に行かないで、両親など保護者と一緒に見に行くようにしようね!!!約束だよ!!!
Q : 海ホタルはいつ見れるの?
A:海ホタルが観察しやすいのは、水温が上がって来る梅雨の6月くらいから、西風が強く成る前の10月頭くらいだよ。
春先の2~3月や11月でも見ることは出来るけど、春は水が冷たいし、秋は波が強く成り、観察するには適していないかな!?
海ホタルが見れる時間は、活動をするのが日没後1時間くらいたった暗く成ってからで、大体20時半くらいから発光したりと動き始め、深夜は活発に活動しているよ。
海ホタルをつかまえてみよう!
Q : 海ホタルはどうやって捕まえるの?
A:海ホタルは2~3mm程と小さいので、餌付け用の仕掛けを作って集めるんだ。
ペットボトルやプラスティックの容器に5mmほどの穴を上部にいくつも開け、流されないように細いロープでしっかりと結び付け、その先を棒や石で固定するんだ。
容器の中には浮かないように重りの石か何かと エサを入れて海水で満たしてから、波打ち際から少し離れた砂底に仕掛けを設置するよ。
海ホタルが活動するのは凡そ20時半頃からだから、それに合わせて設置して、15~20分すると捕獲できるよ。
※ もしガラス瓶を使う時は、割れないように細心の注意を払ってね!岩や石がひとつもない砂浜でも中の魚での骨で割れることもあるから危ないよ。もし割れた時は ガラスの破片は必ず全て回収しようね。
Q : エサは何をやれば良いの?
A:タンパク質であればお肉や神釜・ソーセージなど何でも食べるんだけど、自然の海の生物だから 出来る限り地元でとれた魚や魚のアラを使おうね。
魚のアラを扱う時は、鰓や背中のトゲや尖った骨に気を付けて刺さらないようにしようね。
捕獲出来た後のエサは、そのまま海に捨てたら危ないので、必ず家に持って帰って処分しようね!
海ホタルを飼ってみよう!
Q : どうやったら飼えるの?
A:海ホタルは、容易に飼うことも出来るよ。
水槽やビンの底に砂を敷いて 新鮮な海水を満たし、エアポンプを取り付けて常に空気を送ってあげようね。
そしてその中に集めた海ホタルを放してあげ、夜には少しずつ魚のアラなどのエサを入れてあげようね。
入れ過ぎたら水質が悪化して海水が腐りやすいから気を付けて、1週間に1度くらいは新鮮な海水に入れ替えてあげよう!
Q : どれくらいの期間飼えるの?
A:卵から半年で海ホタルは成体になるので、水温が暖かければ、1年中飼育できるよ。
毎週海水を変えたり、エサを頻繁に与えないといけないから、どれだけ続けれるかに掛かってるかな!?
海ホタルを観察しよう!
Q : どうやって観察するの?
A:集めた海ホタルを観察するには、細かい網やメッシュ状の洗濯用品などで濾しとって置き、小さ目の透明な容器やビンなどにきれいな海水を入れ、そこに放してあげようね。
そうするとライトで照らしたり、虫めがねで観察しやすいよ。
Q : どうやってスケッチするの?
A:細かいところを観察するには、網に掛かっている時に虫めがねで観察したり、写真を撮って拡大すると良く見えるよ。
スライドに採って顕微鏡で視ると、物凄く細かいところまで観察できるよ。
※ 観察し終わったら、元の海に返してあげようね。
海ホタルから何が学べるだろう?
(環境 ー 生態研究)
Q : 海ホタルは「水質のバロメータ」って呼ばれてるのはなんで?
A:生息域の海が豊かで健康であれば、当然魚の死骸も発生する訳だけど、それらを海ホタルが捕食するので水質がきれいに保たれているんだよ。
海水の栄養が下水放流などで多過ぎればそれを食べるプランクトンの夜光虫などが異常発生し、その死骸が赤潮となって現れるんだよ。
夜光虫からは海水が豊富であることは判るけど、夜光虫は水質を改善はしてくれないんだよね。
地形地質的な環境が整っていても、農薬などが多く保留されていると、生物濃縮が起きるので海ホタルにとっては棲みにくい環境だよね。
豊富な海ではそのエリアの海洋生物の死骸を海ホタルが掃除してくれるので、海ホタルの生息域を調査することで その海域が健康であるかどうかも知ることが出来るんだよ。
Q : 海ホタルは地域によって大きさが違うみたいだけど、同じ種類じゃないの?
A:海ホタルは水温によって成長具合が異なるんだけど、他にも人類よりもはるか昔から地球に誕生し生息し続け、また放卵でなく孵化後放出なので、その生息域は余り広がらないんだよ。
だからそれぞれの地域の海ホタルの遺伝子を調べれば、古代の地形や海流の変化なども解明出来るかも知れないね。