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迷惑をかけるとは

【札幌LGBTQ映画祭2024】
今年は第二部に参加してきました。

「世界は僕らに気づかない」
「変わるまで生きる」

毎年、色々な気づきをいただくのですが今回も本当に今の日本を考えさせられることとなりました。

■「迷惑」の概念
私は保育園で働いていたことがありますが、新しく子どもが入園するとき、保護者の方から「うちの子にはこういうところがあるので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」といった挨拶をよく受けることがありました。
少し違ったことをするだけで「迷惑」と見なされるのです。

■日本の「迷惑」に対する概念と教育
日本では「違い」は「迷惑」や「間違い」とされがちです。
2018年にベネッセ教育総合研究所が発表した「幼児期の家庭教育国際調査」によると、日本、中国、インドネシア、フィンランドの幼児を持つ母親を対象にした調査で、子どもの将来に何を期待するかという質問に対し、日本の母親の46.1%が「他人に迷惑をかけない人」と回答しました。
他の3か国は10~20%台であり、日本は突出して高かったのです。
親が自分の幼い子どもに託す夢として「他人に迷惑をかけない人」というのは、なんとも寂しいものではないでしょうか。
「迷惑をかけないように」と他人の目ばかりを気にして育てるなんて悲しい!
そもそも「迷惑だ」とは、冷たい言葉だと私は感じます。
「迷惑をかけてはいけない」と考えるのではなく、「人は迷惑をかけながら生きるものだから、お互い様なんだ」と優しく考えるほうがいいのではないでしょうか。
多様性を尊重する社会に欠かせないのは、「自分を大切に思うこと」と同じように「他人を大切に思うこと」です。
なぜなら、自分の尊さに気づかないと、地位や学歴、容姿などの目に見えるもので自分より劣る人を見つけ出し、優越感を持つことでしか自分の価値を見いだせなくなるからです。
本当に自分を大切にしてほしいなと思います。
目指すのは、「自分の存在が100%許され、歓迎されている」と信じられる社会です。そのような社会であれば、人は誰もが自分らしく、100%の力を発揮できると思うからです。
「男らしく」や「女らしく」ではなく、「自分らしく」生きることができるように、「誰かの迷惑になるかしら」なんて思わずに、自分らしく生きてほしいと思います。
「人の迷惑にならないように」という縛りの中で生きることは、とても疲れることなのではないでしょうか。

■夢を持つことの重要性
迷惑をかけないように。
このように考えると、夢を持つことすら難しくなってしまいませんか。
「人に迷惑をかけちゃいけない」という考え方は確かに日本人らしいものですが、「人と違うことをしないように」と無理やり縛りつけてしまう、少し怖い言葉でもあるのではないでしょうか。
人を傷つけるなどは論外ですが、多少の迷惑をかけたとしても夢を持って生き生きと自分の人生を生きることの方が「生きること」に対して、真摯な姿勢なのではないかと私は思うのですが。
皆さんはどう思いますか?
一度、考えてみていただけたら幸いです。
そして、多様性を尊重することについて、もっともっと皆んなで考える機会が持てたらいいなと思いました。

映画祭では、上映後のトークイベントで参加者との意見交換もあり、充実した時間を過ごすことができました。
なるべさ!Allyの皆さん、今年も素晴らしい映画祭をありがとうございました。


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