入院中の独り言

そして1人になった

２週間病室を共にした向かいのベッドの女性が退院した
私がリハビリに行っている間に
とうとう5人部屋で1人になった

リハビリから帰ると、廊下で
看護師さんがベッドを清掃していた
あー、退院されたんだ

部屋に入ると、食卓の上に
一緒で楽しかった、ありがとうの
置手紙とアイスコーヒーが
置かれていた

なんだか、有り難さと淋しさで
涙が出た
きちんとサヨナラしたかった

彼女はタクシードライバーだそうで
4人の男子を女手一つで育て上げた
たくましい女性だ

私が病室を移った当初は3人だったが
先週初めお一人退院し2人になったら
こちらが聞いた訳でもないのに
色々とご自分のことを話してくれた

私の周りにはいないタイプの女性で
おそらく私より15は若そうだけど
そのバイタリティに
同じ女性としてリスペクトする

入院となると、カーテンを締切
会話もしない昨今
カーテンをオープンにし
生い立ちから現在に至るまでの
人の人生を垣間見ることができ
入院も悪くないなと思えた
２週間だった

おっと、夕方になって人が入ってきた
挨拶は軽くしたものの
カーテンはシャシャッと閉じられた
重苦しい空気が流れ始める