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おぼろげな夜の話

先日、夜道を家族で歩いて帰宅していた時のこと。

夫が二男をバギーでおして先を行き、自宅前の曲がり角を先に曲がっていった。

私は長男と歩をあわせてゆっくり歩いていたので、その差はだいぶあった。

長男は夫が見えなくなると、

「(お父さん)行っちゃったね。見えなくなった。」

と。

それを聞いて私は、

「(お父さんが見えなくて気になるなら)先に行ってもいいよ。」

とこたえた。

そしたら長男は、

「(お母さんを)ひとりにはさせないよ。」

と。

歩をあわせていたのは、私じゃなくてこの子の方だったのかもしれない。

私が守っているつもりで、まるごと愛してくれるのはこの子の方がもしれない。

私はただ、

「ありがとう。」

と答えた。

必死で守ってきたつもりだけど、守られているのは私の方かもしれない。

胸いっぱいになった。

まぁるい月が、ぼんやり雲に隠れるおぼろげな夜の話。

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smile_tamaki
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