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⑨私が手術台の上で『みなさん、よろしくお願いしま〜〜す』と大きな声で言った日の前後のはなし=その⑨最終回

かれこれ2ヶ月近く長々と記してきた胆嚢摘出事件ですが、
今回を最終回といたします。



極めて不自由な退院後の生活スタート

1.寝返りは海老のようにお腹を抱え唸りながら
2.歯磨きの時はえずきには細心の注意が必要
3.くしゃみは家中に響く悲鳴と共に
4.咳はしたくない
5.アクビは歯を食いしばり我慢
6.横断歩道はそろりそろりと歩き渡っているうちに点滅が始まる
7.外出時は前後左右全方向からの些細なハプニングが常に恐怖
8.締め付けが辛くゆるゆるのワンピース以外着れない
9.下着はゆるゆるに買い替え
10.腹圧が掛かって痛く短時間しか座れない
11.食事は手術前の1/3程でお腹いっぱい
12.しばらくの間、お腹はずっと壊している状態(消化不良気味) 
etc.

1〜5カラダの真ん中の筋肉を断絶したことによる後遺症。
筋肉って本当に大切。
いまだに腹筋はお腹の筋肉がつることが多くほぼ出来ないまま。
6ゆっくりしか歩けな(傷が痛い)
7外敵との接触がとにかく怖い(傷が痛い)
12胆汁のタンクである胆嚢を摘出するまでは食事のたびに消化に必要な胆汁が胆嚢からドバ〜っと十二指腸へ排出されていましたが、肝臓で作られた胆汁は常時十二指腸に垂れ流されている状態になる為、体質によって術後しばらく消化不良を起こすことがあるそうで、私は軽くそういう体質だったよう。

上記の不自由もさる事ながら、
手術の時、例の金属のフックでガチッと引っ掛けられて広げられていた肋が痛くて痛くて、歩いてても、横になっていても、座っていても、肋に悪い病気があるのかも!?と本気で思っていたくらい、いつも痛くて摩っていました。

要するに、しばらく上半身がずっと痛かった。

退院後、2週間ぐらいの時にお米を研いで目の前に星がちらつきフラフラし、ハンバーグを捏ねた時には私はまだこういうことができない時期なのだな、と認識しました。
お茶碗を洗うのも脂汗、洗濯物を干す時にシワを伸ばせない。
満員電車には乗れない、急ブレーキも本当に怖かった。

ご飯を作り、洗濯物をする、服を着ること、歩くこと、立っていること、ご飯を食べること、深呼吸をすることさえ、その健康な肉体があってこそできることなのです。

健康な肉体大切。


教授先生と儀式


2016年7月22日
術後1ヶ月のタイミングで退院後初めての受診。
約2ヶ月前に、胆嚢がんかも知れない死にたくない、、、と、大袈裟に泣いてしまいそうな気持ちで初めて診察を受けた同じ診察室。

『病理検査の結果は良性でした。もう今日で全てが終わりです。今後の通院は必要もないし、気をつけることもないです。今まで通り生活してください』

最後に傷の様子をと。。
診察ベッドに横になる、術直後から巻いていたマジックテープで止める腹帯を巻き続け、腹部を過保護に育てていた私に教授は言いました。

「これは、もう外しましょう」

(やっぱり?笑)

このエピソードは最後に書くべき案件でした(笑)

短い言葉でお礼をお伝えし(恒例の半泣きで)

「最後に先生、握手してください」
(え?なんで?みたいなお顔にも怯まない)

そして、
私は私の命を預けた、
執刀してくれたのか?寝てたから目撃はしていないけど、
そんなことはもうどうでもいいんだと、
感謝の気持ち暑苦しく、
教授先生の柔らかい手と握手を交わしました。


“ありがとう、ありがとう、ありがとう”



最後に


私は4年前、胆嚢がんの可能性が否定できないとの検査結果が出て、
肝臓の一部、リンパ節も摘出する胆嚢がんに準じた開腹手術を行いました。
家族、友人、職場の方々・・・たくさんの方々の気持ちをいただき、協力をいただき、笑あり涙ありのエピソードと共に、後悔なく手術当日を一点の曇りなく迎えることができました。

術後の病理検査の結果、良性だったので、
今はあの日の恐怖の中にはいません。

この様な極めてプライベートな内容を公の場に記録したことに私以外の方には、何の意味もなかったかも知れません。
この場に書き記すために振り返り、いろいろなことを改めて考えたりできるいい時間になりました。

ありがとう。

もし、健康診断で所見が見つかって不安な中、あの日の私のように待合室でスマホ片手に何かしらを検索してココに出会ってくれたあなたの、
ほんの少しの何かになれば嬉しいです。

あなたの心と身体はひとつです。
怖いけど、いい意味で周りを巻き込み、少し面白がって、
後悔のない行動をしてもらいたいと思います。
あなたのために表現しましょう。
手術を受ける頃には自分が少し強くなったような気持ちになれます。
私は少し強くなったような気持ちで手術台に乗れました。

そして、手術台に乗ったら眠りにつくその前に
勇気を出して言ってください。
私がそうであったように、あなたの不安な気持ちが和らぎます。
あなたに命を託されたみなさんが、
いつもより、頑張ってくれるかも知れません。

「みなさん、よろしくお願いしま〜〜〜〜す」って。

健康第一主義で行こう。

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