【メキシコシティー】
【メキシコシティー】
まず、とにかくでかい。
メキシコシティーに着いた初日、僕は友人を会う約束をしていた。
ホテルに着いて少し落ち着いてから向かうつもりだ。
さて、少し休んだしそろそろ向かうか。
彼らが送ってくれた住所への行き方を調べる。
ん?
ちょっと待って、一時間半?
そんなに時間がかかるのか?
そんなに遠いのか?
しかも、すんなりいって一時間半だろう?
土地勘もなく言葉も通じない場所で、そんなにすんなりいくとは思えない。
まあ、最低でも二時間はかかるな。
今は夜の8時。
向こうに着くのは夜の10時か。
そもそも二時間で着くかどうかも分からない。
大体その後、帰って来れるのか?
終電、終バスなどの予定はいっさい分からない。
結局その日はあきらめて、別の日に出直す事にした。
これが初日にくらったメキシコシティーの大きさだ。
同じ街だと思って完全になめていた。
遠くても一時間くらいだろうと思っていた。
実は昔はメキシコシティー自体はそんなに大きくなかったらしい。
その周りには沢山の小さな街に囲まれていた。
でもある日、その囲んでいる街も全て丸ごとメキシコシティーにしてしまったらしい。
それによって、とんでもなく大きな街になってしまった。
そして今日も初見の旅人たちを驚かせているんだ。
前にも書いたけど、メキシコは思っていたほど危険な感じではなかった。
初日は友人に会えなかったので、街の中心あたりをウロウロしていた。
時間は日付の変わる深夜0時になろうとしている。
特に危険な事もなく、普通に歩いていた。
あったとすれば一人おかしな人がいて、通行している人達にぶつかりながら歩いていた。
おかしな人はどこにでもいるもんだが、ここのおかしな人は随分アグレッシブだな。
とか、思ったくらいだった。
でも実はその日は、僕はただ運が良かっただけらしい。
別の日に僕が友人と別れて深夜に歩いて帰ろうとすると、絶対に歩かせてくれない。
タクシーに乗って帰るか、今日は家に泊まっていけと言う。
しかもその人だけではなくて、他の誰と一緒にいてもそう言うのだ。
実はこの街は通りの一本一本、ブロックの一つ一つによって様子が違うらしい。
こっちの通りは安全でも、一つ隣りの通りは危険だったり。
ここのブロックには警官が沢山いるのに、すぐ隣りのブロックには全くいなかったり。
帰り道を伝えると、だいたい皆んな「ん〜、この通りはあまり好きじゃないな」みたいに言う。
そんなの地元の人じゃないと絶対に分からない。
あの日、僕はたまたま安全な道だけをウロウロしていたらしい。
神さま、ありがとう。