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日本人である私が、ベトナム人向けアプリのUIUXデザインをするために気をつけていること

こんにちは、ベトナムが大好きなデザイナーの三上蒼太(@sota_mikami)です。
ベトナム現地のスタートアップfreecracyにてUIUX designerをしています。

日本人でありながら、ベトナム人向けアプリケーションのデザインを担当しています。しかも社内にUIUXデザイナーは僕一人です。
正直、客観視すると「ベトナム人向けアプリならベトナム人のデザイナーがすれば良いじゃん」とも思います。ベトナム人のことはベトナム人の方がよくわかっていますので。
ただこのハンデを克服してやりたいので、freecracyでデザインをするためにいくつか意識していることがあります。今回はそれをまとめます。足りない視点もあるかも知れません、その場合は優しくご指摘いただけますと幸いです🙇‍♂️


事業を理解する

そもそも論ですが、きちんと事業を理解することです。
なぜこれをするのか、どんな人がユーザーなのか、そのユーザーはどんな課題を抱えているのか、現時点でユーザーはどんな代替策をとっているのか。

このプロダクトはユーザーからみてどういう点で新しいのか、マジックモーメントは何なのか、ユーザーからみてどういうサービスだと認識されたいのか、このプロダクトがユーザーから愛される理由は何か、このプロダクトをユーザーが使い続ける理由は何か。

この事業が成長するためにはどんな要素が必要なのか、どんな成長サイクルを描いていくのか、事業が成長した時には社会や市場はどう変わるのか。

どんなプロダクトのデザインであれ事業理解は重要なことだと認識していますが、やはりまずはこれを徹底しようとしました。(というかこれがないとデザインしようにもできないです)
そのために、ピッチデックや事業計画書などといった既存資料を読み込み、わからないところは質問、あるいはこちらから「こういう認識で合ってますか?」と擦りあわせを行うようにしています。


市場特性を理解する

freecracy社でデザインしているプロダクトは、いわゆるHR領域のサービスで、特にシードラウンドである現時点ではベトナムの転職マーケットに注力しています。

日越の転職マーケットではどういう違いがあるのか、規模は、強いプレイヤーは誰か、スタートアップにはどのようなプレイヤーがいるのか。将来予想はどのようなものか。

採用担当者の働き方は?採用担当者の考えていることは?採用担当者の苦悩は?それは日本とどう違う?なぜ違う?業界の常識はどう違う?

「ベトナムの先を行っている」とされるタイと比較するとどうだろう。そもそも転職マーケットという文脈では本当に先を行っているのか?他の国は?

こういった点を、ユーザーヒアリングをしながら、HR畑出身のベトナム人スタッフから話を聞きながら、ベトナムで採用経験のある人から話を聞きながら、理解を深めていっています。

あとは、日本の採用媒体・ツールをもっと触った経験があると良いはずだと思っています。僕が運用した経験があるのはWantedlyのみで、他のツールをもっと触ってみたいです。
現時点では、各種ツールの公式HPやGoogle画像検索などでなんとか雰囲気を汲み取ろうとしていますが..


代表者(発案者)のことを理解する

このプロダクトは、代表(@kazuki71202013)の原体験からスタートしているサービスであり、代表の強い思想が込められています。
ゆえにもっと代表のことを知って、憑依するかのごとく僕自身も話せるようにならなければ、目指すところには到達できないだろうと思っています。

だからとりあえずたくさんご飯に行きます。世間話や下世話な話もしますw


ユーザーヒアリングを行う、インサイトを抽出する

「市場特性を理解する」の項目でも触れましたが、やはりユーザーの声を聞くことは超大事でしょう。なぜユーザーはそれを求めるのか、なぜそれを好まないのか、なぜなぜの深掘りです。

社員全員で「ユーザーヒアリング→インサイト抽出→共有」をできる機会がありました。

(めちゃくちゃよかった。定期的にしたい)

また、ここで得られた視点が、後述の競合分析や流行っているアプリのリサーチなどから得られる知見についての説得力・納得感が増す材料にもなりました。


競合分析をする

これまた「市場特性を理解する」と関係しますが、業界のプレイヤーを知ることも外せません。
彼らのビジネスモデル、強み、プロダクト成長の歴史、推察する主要KPIなどを学びました。

自社プロダクトのポジショニングを確認したり、魅せ方を考える材料になります。

(ベトナムのHR系サービスを教えて欲しいとメンバーに呼びかけたときの神返答がこちら)


現地で流行っているアプリのリサーチと分析をする

ベトナム人にはどのようなインターフェイスがウケるのか、どのような体験が一般的なのかを知るために行っています。
日本製アプリあるいはグローバルプロダクトに慣れている僕ですが、ベトナム人にきちんと受け入れられるためのルールや共通項を見つけ出そうとしています。そのためにもちろん日常的にもベトナム製アプリを使いながら、時折以下のようにリサーチしています。




現時点での仮説ですが、ベトナム人向けアプリでは、
・大量の情報量を見せる。そしてその中から選択するのを楽しませる工夫
・独特な"イケてる感"
・マイクロインタラクションに工夫
このあたりが大事なのでは?と考察しています。

より考察を深めていくとともに、どんどん自社プロダクトに反映させていきたいです。

現地UIUXデザイナさんの情報発信にアンテナを貼る

これが現在難航中です。

日本ではnoteやSpeaker Deckなどを中心に、とにかくデザイナーさんの知見を公開し、共有する文化ができています。
これをベトナムにも期待し、ベトナム人向けプロダクトを作っているデザイナーさんを特定し、ブログなど探しまくりました。

ただ結果として、これはほとんど見つかりませんでした。

(ベトナムでブログ文化が育っていないのは、こういう理由だからだそう)

社内のベトナム人スタッフに聞いても、「ノウハウがあるなら、それは売るものだ」と言っていました。ベトナムでは現地デザイナーさんの知見を獲得するのは容易ではなさそうです。
リアルな繋がりを作るなど、もう少し試行錯誤してみようと思います。

まとめ

このようなことを意識しながら、日本人ながらにベトナム人向けアプリのデザインに取り組んでいます。
正解はわかりません。とにかく現地のあらゆることに関心をもって、当事者の価値観を理解しようとしています。それによって、「ベトナム人UIUXデザイナー」との差を少しでも埋めたいです。

ただ、きっと、本当に大切なことは日本で学んだことと大きくは変わらないはずです。基本に忠実に、きちんとユーザーのこと事業のことを理解して、ユーザーに提供したい体験を定義して、それが実現できるUIに落とし込む。
UXの5段階モデルに基づいて、一貫したプロダクト設計を行うことです。

さらに、僕は日本人であり日本のアプリに慣れています。日本のアプリを使えます。ベトナムとは違った日本のHRサービスやツールを使うことができます。そしてなにより、日本にはデザイナーの方々のナレッジ共有文化があります。
日本人だからこその、これらの環境を僕の強みとしながら、「ベトナム人UIUXデザイナーさん」との差を埋める努力をしながら、良いプロダクト作りに励んでいきたいです。

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さいごに
3月23日〜4月1日まで、一時帰国して都内におり、うち平日は比較的暇をしています。

freecracyに興味を持っていただいた方、東南アジアのスタートアップや採用事情に関心のある方、あるいはデザイナーの方、
もしよろしければお茶誘っていただけますと嬉しいです🙌


読んでいただきありがとうございます!サポートは次回の執筆に役立てさせていただきます。 普段はTwitterでつぶやいています 👉https://twitter.com/sota_mikami