心が現在に居ない

視界には薄灰色の膜が張られていて、この世界の音も締めきった窓の外からうっすら聞こえる雨音くらいぼんやりしている。

常に世界から断絶されている感覚がある。現実世界よりも心の中を優先して生きていて、心を見ている間は世界の様子なんて気にも留めない。

私の動きが他人から見ると不器用に見えるのも、実際ケアレスミスが多いのも、多くの皆と違ってその場に居ないからだと思う。肉体が記憶した習慣だけを繰り返している魂の抜けた人形、みたいな感じ。ただ、メンタルの影響は肉体も受けてしまうから、完全に切り離されているわけでもないのが辛い。

普通みんな将来を考えて現在の行動を決めていくのだろうけど、なかなかそういう感覚を持てずにここまで生きてきてしまった。
この世に対しての誠意が極端に足りないことは自分で理解している。
生きることの現実感を持てず、現在という時間軸に馴染めず、自分はどういう人間でどう生きるのが正解なのか、ある分野についてどう思うか、そんなことを考え続けてどんどん時間を消費してゆく。

こういう性格の人は一定数いるし、それが悪いことだとは思わない。文章や絵で心を表現するのが比較的得意なのは、この性格のお陰だろうから。

ただ、生きるのには向いていない。

生きるというのは、現在を大切にしなきゃいけないから。

生きたければ、欠点を補うしかない。どれだけ長所を伸ばそうと、欠点がどうにかならないことには生きる難しさを感じずにはいられないと思う。

私はもう少しマシになれるんだろうか。


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