#9 初めてアジア人差別を目の当たりにした日

今日はお昼からピクニックに出かけるため、そこに持っていく用のケーキをルームメイトのアマンダと朝から作り始めた。

アマンダがケーキ作りが得意でほとんどアマンダにやってもらったからかもしれないが、思っていたよりも簡単で、すごく上手く作ることができた。

天気も良く絶好のピクニック日和だとウキウキで身支度をして出かけた。

ヒュッゲ初体験

ダウンタウンの近くにある大きな公園で、私のバディーとルームメイト、韓国人の交換留学生、日本人の交換留学生の合計5人でピクニックをした。

土曜日だからか、ダウンタウンや公園でお昼からビールを飲んでいる人が沢山いたり、家族で出かけている人がいたりして、すごく混雑していた。

みんなで手料理を持ち寄って食べようと言っていたので、みんな自分で作った料理を広げて食べた。
キッシュやパンケーキ、韓国のおにぎり?など手料理のクオリティーがとても高く、どれもすごくおいしかった。

午後に公園で、友達とただ湖や動物を眺めながらぼーっとする時間、これがヒュッゲかあと体感することができた。
とてもピースフルな健康的な午後だった。

アジア人差別の現実

3時間ほど公園でゆっくりして眠くなってきたので解散することになった。

みんな家路に着こうとダウンタウンを歩いていると、私の前を歩いていた日本人の友人とアマンダのところにボールが突然飛んできて、日本人の友人の背中に当たった。

私とバディーと韓国人の友人は後ろを歩いていたので、どこから誰が投げたのかはっきりと分かった。
ボールを投げたのは、現地の人っぽい大学生くらいの男の子7人の団体のうちの一人だった。

ボールが友人に当たった直後にその男の子は「Sorry!」と言ったので私はただのアクシデントだったのかと思った。
しかし、後ろを歩いていた私たちがその団体の横を通り過ぎる時、彼らは大笑いしながら、「…corona〜」みたいなことを言っていて、バディーが「it's so stupid」と呟いて、初めて、「あ、今のはアジア人差別だったんだ」と気がついた。

彼らは、故意的に、わざと、友人にボールを当てたのだ。
彼女が、アジア人だからという理由で。

私は、デンマークに来て初めてアジア人差別を目の当たりにしたので、隣で歩いていた韓国人の友人に、今までデンマークで差別を受けたことがあるかと尋ねた。
すると、彼女は「何回もある」と答えた。

彼女が別の韓国の友人と道を歩いていたら、すれ違いざまに「Do you have corona?」と言われたことがあるらしい。

私自身はデンマークに来て一度もアジア人差別を経験したことが(まだ)ないので、目の前でそれが起きたこと、韓国の友人がそれに対してあまり驚いていないことにとても驚いた。

どこかで「デンマークは世界一幸せな国と呼ばれるくらいなんだから、差別なんて絶対に起きない国だ」と美化してしまっていたのかもしれないが、それくらい期待していただけに、今日の出来事はとても悲しかった。

「差別される」こと、人種によって自分に対する態度が変わることがこんなにも心が沈んで、マイノリティ感を感じて、「ここに自分の居場所はない」ように感じてしまうんだと身をもって感じた。

今日差別をしてきた人たちに対して何も言い返したりはしなかったし、心の中で「最低だ」とか「気にすることない」とか自分に何度言い聞かせても、差別を受けた側はどうしてもその「ヘイト」に呑み込まれそうになってしまう。

今まで感じたことのない心が鉛にみたいに重くなる感覚に動揺を隠せなかった。

あれだけ世界的に「BLM」や「Asian Hate」が大きなムーブメントになってもなお、アジア人差別はまだまだあるということ、コロナによってそれが深刻になっているということ、そして、「世界一幸せな国」と呼ばれるここデンマークでもアジア人差別は割と頻繁にあるということがとても悲しかった。

「私たちは何もしてないのになんでボールを当てられたんだろう」
「私たちはなんでヘイトを向けられているんだろう」
「私たちはなんで見た目で勝手に判断されて、悲しくならなきゃいけないんだろう」

そんな「なんで」で頭がいっぱいになった1日だった。

今日のシェアハピ5

①アマンダとケーキを作って成功した
②公園でピクニックをした
③みんなが作ってくれた料理が美味しかった
④初めてヒュッゲを体験した
⑤デンマークのリアルを知ることができた

今日は感情がジェットコースターみたいに、急上昇して急降下した1日だった。

明日は少しでも良い1日になりますように。


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