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SMEC Magazine4月―焼けるなら絶対焼いとけ!

 「新地」とは大阪の「北新地」のことを指すが、神戸在住の僕にとってはどうしても「新開地」にリンクしてしまう。北新地。新開地。普段の生活でどちらの街も行くことはないが、どちらの街も少し背筋を正して歩く感じの街だ。ちなみに、背筋を正そうとする理由は多少異なるが、ここでは言及しない。大人な街である。飲食店に関して言えば、昭和〇〇年から続いている老舗、最近出来たオシャレな店が乱立して、そこには人間としての旨みがある粋な人が居る。自分の生活圏外の街に行くことは、それ自体が冒険であり、つまり移動だ。目当てのお店に行くまでの道中のネオン。お店。香り。人。全て刺激である。その刺激に興奮しながら、美味い飯を食べ腹と心を満たす。お客さんの心を満たすことを忘れないこの精神は、やはり昔ながらの店があることから察するに小商い精神が街に流れているからなのか?

 そんなことを考えながら、北新地で何を食べていたのかというと、やはり「焼肉」になってしまう。それは、もう仕方のないことだ。毎週SMEC Osaka終わりの5時過ぎから、福島にある焼肉屋さんに行き、食べ終わってから店主に次に行くお店を聞いて次週そのお店に肉を焼きに行く。先月のSMEC Magazineに書いたが、飽きることなく続けている。しかし、飽きることなく続けた結果、エンゲル係数なるものが、3月は真っ赤かを超えて真っ黒焦げになったことは自明だ。しかしそれは、もう仕方のないことだ。「仕方ない。」こうやって人間は己の愚行を正当化していく。肉の前では、圧倒的に無力なのだ。どれほど社会的に富や名声があろうとなかろうと、肉を焼いて食べ、その美味しさに昇天する以外の行動は一切として許されない。肉こそが絶対。

 ある日の土曜日。福島の焼肉屋さんは間違いないお店を数店みつけいて、さて次はどうする?となり、やはりエリアを拡大していくしかないということで、北新地に向かった。さながらアメリカの領土拡大における「フロンティア精神」だ。2つのお店が候補として挙がり、夕方に予約の電話をしたがどちらの店も満席。ならば、先に席が空いたという電話がある方のお店に行こうとフラフラ歩いて時間を潰していたら、候補の内の1店舗から電話が掛かってきた!そして、このお店の方から先に連絡があったことが、その後の焼肉屋さん巡りの幅をドラマチックに広げることになり、結果僕たちのお腹周りもペシミスティックに広げることになる。

 クラブや飲食店が連なるいかにも北新地な通りを歩いて、とある路地に入るとそのお店に着く。向かい側にはそのお店の本店がある。つまり僕たちが行ったのは、2号店ということになる。本店と2号店。これが真逆の店構え。本店は、歴史を感じるL字型カウンターのみ。肉の部位も少数精鋭。一方の2号店は、去年オープンしたばかり。内装も北新地っぽい重厚な高級感が漂っている。メニューも本店よりもラインナップがある。で、肝心の味は・・・

 と、そんなことは他のグルメライターに任しておく。SMECがやることは、美味しい飲食店の詳細な情報やデータ、評価をガイドブック的に共有して終わりではない。ではどうするのか?カルビを食べながら考えた。

 新しく来る人、たまに来る人、よく来る人が混じることがSMECの「味」なわけだが、ありがたいことに多くの人が集まると当然「好み」が出てくる。SMEC自体は、オープンな場所なので異なる好みを持つ人同士が交流する。家の間取りで言えば、リビングルームに当たる。しかし家には家族のメンバーのプライベートな部屋があり、各々の部屋では自分の好み、つまり趣味を過ごせる空間としての機能がある。各部屋は独立しており、他の家族が自分の部屋に踏み込んでくることはない。姉の好みで構成された部屋に弟は進んで入らない。姉が部屋に入れるのは、同じ趣味を共有した友だちくらいだろう。(オカンは踏み込んでくる。)家という概念から、SMECの集まりを見たときに、リビングルームの活気は常に盛り上げていかなければならないのと同時に、そろそろ「部屋作り」も必要ではないか?好みが合う参加者同士が声を掛け合ってSMECの外で集まってくれるのはどんどんやって頂きたい。その一方で、それに頼ってばかりいるのも友人関係作りの放棄なわけで、SMECが旗振り役となり、好みで集まれる機会をひとつあってもいい。では、一体何の好みで集まるか?答えは、目の前、口の中。つまり肉。上でも言った通り、それは、もう仕方のないことだ。

 神戸と大阪の2か所で開催している今、場所をまたがって美味しいものを「味わえる」人たちと肉を焼いて食べていく。とてもシンプル。店の情報を共有するだけではなく、ちゃんと食べてご馳走様するまでの一連の行為を遂行していく集団。まったく英語関係ないように思えたが、肉や美味しいもの好きな人は外国の人にもいるのだから、むしろ英語が逆に必要になってくる。英語と肉は、世界共通。

 一応英会話カフェなので、英語のことをひとつ。"aficionado"という単語がある。"someone who is very interested in and enthusiastic about a particular subject."、熱烈な愛好家とでも訳そうか。SMECにいる肉に対して、食べることに関してほとばしるほどの熱量を持って人生を生きている人がどれほどいるかは知らないが、そのレベルに達さなくても、食に好奇心があり、味わっていく精神を持った人たちと食を楽しむ。「食」というテーマでザックリいくとあまりにも多岐に渡りその中で好みが枝分かれしていくので、ここは選択と集中で「焼肉」一本。和牛。タレ。白ご飯。トング。そして
"Wagyu Aficionado"な仲間。この全てが揃う集団。
それが


 Saturday Meat Eating Club

 つまりSMEC!!

 これが言いたかった。詳細詰めて近いうちに第1回やりますよ。お肉大好きな方、どうぞSaturday Meat Eating Clubご期待ください。と同時に、Saturday Morning English Clubもご参加ください。ここを楽しめるからの肉。#焼けるなら絶対焼いとけ

4月もSMECをよろしくお願いします。


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