めいし

SMEC通信2月号

 人にはそれぞれの土曜日の朝がある。前日に飲みすぎて眠っている人。眠れずに朝を迎えた人。鼻歌を歌いながら部屋を掃除する人。お気に入りのカフェで読書する人。友だちとランチに行く人。資格試験の勉強をする人。仕事に向かう人。そして、それぞれの土曜日のひとつに、SMECで過ごすことを選ぶ人たちがいる。どんな土曜日であろうが、土曜日の朝日は皆を優しく照らしている。

 スターバックスが「サードプレイス」という概念を掲げている。家でもなく職場でもない「第3の場所」という意味だ。この言葉を知ったのは2011年だった。この時期に東日本大震災が起こり、昨日までの暮らしが一瞬で終わることを知った。また、コワーキング・スペースやシェアハウスの存在を知り、新しい働き方や暮らし方があることを知った。時代の転換期であり、自分の価値観にも大きく影響した年だった。サードプレイス。直観的に「いいな」と思った。当時英語を話す場所を作ろうとしていた僕たちは、「英語を話せる人たちのサードプレイス」になったらいいなという思いから毎週土曜日だけ開催するSMECが誕生した。

 あれから5年が経つ。あの頃と比べると、比較にならない程SMECのようなコミュニティが存在する。Meetupで調べると、Language exchangeやインターナショナルパーティーのグループがあり、自分が興味があるグループに簡単に参加できる時代だ。そこには新しい人たちとの出会いもある。参加者にとってはとても良いことだ。一方、主催者としては、「世はまさに戦国時代」。つまり、生き残らなければならない。

 時代は常に変化していく。それに合わせて人々の暮らしも変わっていく。人間関係のあり方も当然変わる。だからSMECを含め、今あるコミュニティも変化する必要がある。コミュニティも生き物だ。いずれくるこの変化の波に乗ることができなければ、そのコミュニティは過去にあったものとなり生き残れない。では一体、今来てくれている人たちと一緒にこれから先にいくには何が必要なのか。こんなことを最近考えている。

 SMECより集客力があり、規模も大きいグループはたくさんある。そことSMECが違う所は何か。それは、勘違いかもしれないが「メッセージ」があるかないかではないだろうか。

 だいたいは、「外国人と友だちを作ろう」とか「みんなでお酒を飲んでワイワイしよう」みたいな告知文句だ。(SMECでも使ってしまっているが) しかし、ではな「なぜ友だちを作るのか」や「ワイワイやる理由」を踏み込んで語っている所はかなり少ない。なぜなら語る必要がないからだ。そんなこと語らなくても、人は往来する。参加する人のほとんども、深く語られなくたって、サッと情報を取って興味があって予定も空いてたら参加するのが普通だろう。

 では、SMECはどうか。SMECは最初から資本力もネットワークもなく、ただあったのはやる気だけだった。だから来てくれた人になぜSMECを作ったのかを伝えてきた。現場で伝えたし、ホームページにもデカデカとその時その時に伝えたい事を書いていた。

 もっと上手に集客する方法はあるのは承知だが、初めて来る人にはSMECの想いを知って来て欲しかった。そうしないと、消費されて終わる気がしたからだ。根拠はないが下手なメッセージでも、人の心に触れた時、その人を繋ぎとめる力があると信じている。 しかし現実とは残酷なもので、飽きたら人はいなくなってしまう。だからこそ今のSMECにいる人たちが、これまでメッセージしてきたことに共感してくれて残ってくれているならこんなに嬉しいことはない。メッセージを伝えているから生き残れるわけではないが、その都度SMECが考えていることを来てくれている人たちと共有した上で先に進んで行きたい。だから今もこうして、やる必要がないメッセージを伝えようとしている。

 SMECとは「日々の生活の延長にある祝祭空間」だと考えている。毎週土曜日にしかSMECはオープンしない。その一週間の間に、人は良いも悪いも経験する。仕事で。友人関係で。恋愛で。その話を聞いてもらったり、会話してリアクションしてもらうことで、人は救われる。面白かったら笑い合う。相手が落ち込んでいたら励ましてあげる。友人として当たり前のことを当たり前にし合う場所。土曜日が終われば、またそれぞれの日常に戻るが、翌週に再会する。人との継続的な出会い、そしてユートピア的土曜日の生活を祝う、という意味で祝祭空間なのだ。とは言っても、SMECの使い方は自由だ。使いたいように使ってくれればいいが、SMECの本質を頭の片隅にでも置いてくれればと思う。

 まもなく大阪でのSMEC開催が近づいているこの時期に、改めてSMECのことを考えてみた。毎週SMECでは、人が交流してその時限りの物語が生まれている。物語というか、ドキュメンタリーと言ってもいい。その物語の集合がSMECを形成している。今年から「今週のハッシュタグ」という企画をFacebookとInstagramでやっているが、それはただ単にノリでやっているわけではなく、その週の交流から生まれた物語の一片を残しておこうというちゃんとした企画だ。胸を張って言えるが、今のところ誰からも期待されていない。これも別にやる必要はないかもしれないが、物語を紡ぐために必要だと思うからやっている。SMECで生まれる物語が土曜日の朝を照らすのだ。

 長々と書き連ねましたが、ぜひ今後のSMECの物語を一緒に描きましょう。時にツマラナイ時もあるかもしれませんが、一生懸命土曜日の朝を楽しんでもらえるように頑張りますので、大目にみてやってください。

 では、今週のご参加お待ちしております。


※すべてSMECの出巻亭玉子の個人的所感です。他のスタッフの意見をあわせた総意ではないのでご考慮ください。

▼SMEC Osaka▼

https://www.meetup.com/ja-JP/SMEC-Saturday-Morning-English-Club/events/236769842/


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