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問いを深めるための特別講義「コミュニティ」×「コミュニティナース」 Social Mirai Design(3期)第5回

2021年9月5日(日)9時~12時

前回に続き、受講者同士「前回から、自分に起きたこと」、「自分の問いへの探求・アクションの状況は?」についてチェックインして、頭をリフレッシュしてからのスタート。

今回の特別講義のゲストは、コミュニティナースとして活動されている矢田明子(やた あきこ)さん。
14年前から活動し始めた彼女が、どんなきっかけでコミュニティナースに出会い、どんなことをしてきたのか、実体験をもとにお話いただきました!

矢田明子さんのプロフィール

【コミュニティナースとは】(会社webサイトより)
『人とつながり、まちを元気にする』
コミュニティナースは、職業や資格ではなく実践のあり方であり、「コミュニティナーシング」という看護の実践からヒントを得たコンセプトです。
地域の人の暮らしの身近な存在として『毎日の嬉しいや楽しい』を一緒につくり、『心と身体の健康と安心』を実現します。その人ならではの専門性を活かしながら、地域の人や異なる専門性を持った人とともに中長期な視点で自由で多様なケアを実践します。
詳細:Community Nurse Company 株式会社「コミュニティナースとは」 

矢田さん27歳、父親が癌で急死

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島根県出雲市、商店街で和菓子屋を営む娘として生まれ育った矢田さん。
自営業で毎日忙しく働く父親や近所の人たちを子どもの頃から見てきたと言います。
そんな彼らは、組織勤めの会社員とちがい、健康診断受診が任意なので多忙なことを理由に疎かにしがちだったそう…。

いよいよ体調が悪化し始め、やっと病院に行った時には、すでに遅しの状態。全身に癌が転移しており、あっという間に亡くなったんだと話します。

これが、矢田さんにとって大きな転機となります。

お父さまが入院していたときの病院内でこんなことがあったと言います。

矢田さん
「健康探求家(看護師)たちが、プロの視点からいろんなアドバイスをしてくれたんですよ。
 『冷やすより温めたほうが楽になるかもしれませんよ』『食べたら肩が痛くなるかもしれないから意識しておいて』とか…探求した知恵を教えてくれたんです」

そんな会話を聞いて、矢田さんは不思議に感じながらこう思ったそう。
「死ぬ間際で言われるよりも、もっと早く良い関係性の中や商店街の中で情報が広まってたら、お父さんだってもう少し長生きしていたかもしれないでしょー!!」と・・・。

その結果、コミュニティナースを生み出そう!!ではなく・・・
病院内にいる健康探求家がやっている知識を自分の中にいれて、地域に馴染む形にしよう!!と考え、看護大学を受験することとなります。

貴重な経験をした、ヤクルトレディ時代

初年度の大学受験は落ちるも、自分でお金を貯めて再度挑戦し、無事に入学。お金を稼ぐためにやったのが”ヤクルトレディ

このときの経験が、のちにとても活きているんだと続けます。

ヤクルトレディとは、個人宅を1件1件まわってヤクルトをおすすめする、いわゆる「ヤクルトの押し売り 笑(本人談)」
もちろん、断られることも多かったが矢田さんが実践したことは
・ヤクルトを売りつける ✘
・良い関係をつくること 〇

商店街のみんなに健康になってほしい!!(ヤクルト買ってほしい)という想いはありつつも、
まずは時間をかけて”良い関係をつくること”だけに集中していたと言います。

「その結果、『ねーちゃん、いつも頑張ってな~。今日は買うよ!!まとめてパックで』みたいになってきたんですよ!当たり前だけど、ベースに良い関係が築けていたら、私の話にも耳を傾けてくれるようになったんですよね」


表面的に困ってない人に、自分がなにかを働きかけるには
”ベースに関係をつくる”
これが非常に大事だということが、あらためてよく分かったんだと話します。

大学の看護学科へ入学

ヤクルトレディ時代の経験から、矢田さんには秘めた想いがありました。
「看護学科で覚えた知識を商店街ですぐに使いたい!」ということ。
しかし、現実は病院や施設での練習ばかりで、まちでの練習は皆無だっとことに気づく・・・ 笑
(看護学科は、病気の人の世話が主になるため)
そんな現実を知りつつも、まちにいる健康な人に長生きしてもらうべく、同級生5人と一緒に地域で健康知識を広める活動をしていきました。

まちの人からは温かく受け入れてもらい応援もされた一方で、大学からは呼び出しをくらいます。
「入学して1ヵ月も経たず知識もない看護師が失敗して、万が一なにかあったらどうするの!」と怒られたと言います。

ここで簡単に引き下がらない矢田さんの粘り強さと悪知恵が働きます。

”看護師”という言葉を安易に使わない方がいいな。ということでした。
看護師という言葉には資格として定義があっったため、それに囚われずに活動するため、
”コミュニティナーシング”という、概念や定義が確定していない言葉をみつけて、社会実験として活動を始めていきます。

大学とコミュニティナースを両立していく中で、あらたな課題にも直面したと続けます。
・どうやったら円滑に地域で活動するか
・どうやったらお金になるか

地域公民館の趣味活動に参加させてもらうも、なんかイメージと違う・・・
高齢者しか来ないという現実に直面・・・
もう少し若くて働き盛りの人と接点をもちたいのにな~と悩んでいたところに、まちの人からこんなことを言われました。

「配達の途中に、〇〇の喫茶店に必ず寄って世間話しよるよ!そこにいた方が断然会えるよ!」
という助言がきっかけで、矢田さんは喫茶店でアルバイトをすることに!!
(お金も稼げるしラッキーじゃん 笑!!)

大発見ともいえるこのコミュニティナースの活動を、5人の同級生も楽しくやっていたと言います。
しかし、卒業と同時に彼女たちはコミュニティナースの道ではなく、病院への就職を決断。やりたいのはコミュニティナース。だけどお金にならないから、という理由でした。

看護学科卒業後は、創業支援の職へ

看護学科卒業して、就いた仕事は創業支援。130件ほど手がけたそう。
看護と無縁のようですが、明確な理由があったと言います。
「稼ぎ方のバリエーションが学べるから」

そして、矢田さん自身が訪問看護事業を立ち上げました。
各自宅に訪問する道すがらでコミュニティナースができるかも!?という想いも抱きながら始めたが・・・もろく崩れたと言います。

「訪問看護を四六時中やらないと、事業として回らない。結果、コミュニティナースはできなかった」と。

どうやって訪問看護をしながら、コミュニティナースとして接点をつくるか…!?
現在も試行錯誤しながら挑戦を続けていらっしゃいます。

CNC(コミュニティナースカンパニー)設立

矢田さんの活動を知った人や共感した人たちが、全国から島根に訪れてきます。その数、250人/年間。
みんなが聞きたいことは、主に2つだったと言います。
①どうやってコミュニティナースをやっているの?(=やりかた)
②どうやって食べてるんですか?(=稼ぎかた)

毎回同じことを話すこと、250回!!
「それなら、まとめて講座にしちゃえばいいんじゃね!?」
素晴らしく熱い想いをもった人たちに共有し、各人がその地域で活動すれば日本にとってもよいだろうな~。

そう考えた結果、今から4年前にCommunity Nurse Companyを設立することになります。

コミュニティナースカンパニー

コミュニティナースプロジェクトを開催

「コミュニティナースとして稼いで生計をたてたい!」と思う人は多いけれど、まだまだ難しいのが現実なのだと、矢田さんは続けます。
みんなが稼げるような仕組みがないか模索中に、地域の自治体や企業さんとの出会いがありました。
「活動予算も捻出するから一緒にタッグ組んでやろう!!」と声かけてもらい、いろんな活動を実践していったそうです。

タッグを組むときに大切にしていることがあるんだと矢田さんは話します。
・必ず相手のニーズを聴くこと
・担当者だけじゃなく、上司と一緒に進める
・今じゃないと判断されたら、いったんなし、機が来るまで焦らない
・双方にメリットをもたらす

プロジェクトの開催事例

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「すべての郵便局を健康ステーションに!!」と題して島根県雲南市で展開中。
詳細:一人の郵便局局長の思いから始まった、郵便局での健康増進活動

高齢者が頻繁に足をはこぶ場所で”おせっかい会議”を開催!!
直接対話をすることで出てくるアイディアを少しずつ形にしているのだそう。
・ビアガーデンを開いたり
・壁に子どもたちと絵を描いたり
・手芸の展示をおこなったり
それと同時に、コミュニティナース研修生の実践の場として使わせてもらったりしている。


さまざまなプロジェクトを実践していく中での課題もあると矢田さんは続けます。
「今まで50個くらいやってきたけど、事業パターンがすべて異なるんですよ…!当たり前ですけどね 笑。どうやったら素敵なコミュニティナースたちが活躍できる仕組みがつくれるだろうか…?」

稼ぐための市場と仕組みは私たち(会社)が用意するべきだという想いで、現在さまざまな角度から情報収集されているとのこと。

これからの時代は、100地域あれば100通り!
コミュニティナースとして働く人が、一定のベーシックインカムを手に入れながら活躍できるような仕組みをテクノロジーを融合させてつくれないかと邁進中です。

画面越しからでも伝わる矢田さんのパワフルさと実体験談に引き込まれて、あっという間の時間でした!!
参加者からも絶えず笑いが起きていたり頷く姿がみられて、共感できる部分が多かったのかなという印象でした。
SMD2021年も、残すところ2回となりました。
参加者ひとり一人が、自分のたてた問いを探求するため、引き続きサポートしていきます!

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