#小説
夜にしがみついて(1998〜1999)
ちょっと前、クリープハイプの「ナイトオンザプラネット」がラジオでよくかかっていた。
映画の主題歌だったが、特定の年齢の人間は、心の奥底にしまっていたものを、ぎゅっと掴まれてしまったのではないだろうか。
2022年の私は「エモ」がしんどいと思っていた。
今の私の生活。仕事、子供、受験、家事(最低限の)。
子供のスケジュール管理が大変で、仕事でミスることすらある。心も体も余裕がないから、そこにエ
【随筆】STAY GOLDを忘れない
パーソナルスペースなんてクソくらえ。どこを見渡しても肉の壁。
そして大量の汗と唾液の体液コラボレーション。
おまけに狂ったような叫び声と轟音。
「なぜ、そんなすぐ跳べる!?」と丸ゴリもビックリの狂ったように飛び跳ねるたくさんの桜木花道とヤンキーたち。
そんな箱詰めされた人々。
神輿とは違いマグロか人間魚雷か、はたまた神を気取っているのか分からないが、どこからか現れる彼らを半ば強制的に持ち上
ショートショート『密の味』
この先の世界のことをぼんやりと考えていたら、こんな物語になりました。
立錐の余地もない、という状態を久しぶりに見た。狭い空間に集まっているのは、全部で二百二十四名。みんなステージに眼を向け、欲望を剥き出しにしている。私は唾棄したくなる気持ちを抑えながら、彼らを観察した。
ステージの照明が一斉に消えると、期待の籠もった歓声があがる。その後にスポットライトがひとつ灯って、中央に立つ男を照らしだし