さよならフルサイズ(と、新しい機材の話) ※作例33枚
なんやかんや2012年から手元に1台は持っていた「フルサイズ一眼レフ(もしくはフルサイズミラーレス一眼)」を手放しました。
最後まで活躍してくれていたのはキヤノンのEOS RP。
フルサイズにしては小型・軽量で、その機動力の高さを生かし、気軽に持ち出せるフルサイズとして重宝していました。
ただ、いくら小さいとはいえ、それは「*フルサイズとして」の注釈付き。
手持ちの機材にはAPS-Cやマイクロフォーサーズがあり、レンズも含めたトータルの小ささ・軽さでいえば、フルサイズに勝ち目はありません。
引っ越しが重なり、さらには仕事で長期間カメラにさわれない日が続くことが多くなり、それならばバリバリ使い倒してくれる誰かにまわさねば、と売却を決意しました。
もちろん、趣味のポートレート撮影ではフルサイズにしか出せない空気感、立体感があるのも肌で感じています。
が、本当にそれを必要とする機会があるならば、今後はレンタルで済まそうと思います。
最近はネットで申し込めば数日で家にカメラが送られてくる時代ですもんね。
さて、ここから先は手放した機材との思い出をだらだらと書き、ついでに作例を貼り付けていきます。
先にお断りをしておくと、この文章を打っているとき、私は酒に酔っています。ついつい話が長くなりますし、そもそも写真貼りすぎです。多すぎです。
なので、以下の目次も適宜活用しつつ、見たいところだけ見ていただければ幸いです。
手放したのは以下の機材。
EOS RP
まずは冒頭でも登場いただいたEOS RP。
キヤノンのフルサイズはEOS 5D Mark II→EOS 6D →EOS 6D Mark IIと使ってきて、このEOS RPで4台目でした。
使い始めた当初は控えめすぎるシャッター音に慣れず、一眼レフに戻りたいなどとも思ったりしました。
でも、このカメラが積んでいた顔認識AFが便利すぎて、気づけばすっかりミラーレス派に…。
もちろん、いま売られている現行機種ではもっと進化していると思います。
小ささが売りのEOS RPですが、結局のところそのまま使うには小さすぎて持ちづらい…ということで、エクステンショングリップをつけて使っていました。
上の画像、カメラの底の部分にくっついている金色の部品がそれです。
本末転倒感がぬぐえませんが、このグリップのあるなしで持ちやすさは圧倒的に変わってきます。
ただ、純正でこのグリップが商品化されていること自体、このカメラが小さすぎて持ちにくいという証明になっているような気がします。
次買うならもうちょっと大きいカメラにしよう…。
EF35mm F2 IS USM
EOS RPを売却したことで、キヤノンのフルサイズは手元からなくなりました。
これまでEFレンズの単焦点をいくつか持っていて、EOS RPを手に入れてからもマウントアダプターを介して使っていました。
カメラ本体がないのですから、これらのレンズたちにも一旦我が部屋からご退場願うこととなりました。
EFレンズ群は発売期間が長いことから、中古市場にも豊富に出回っています。
いざとなれば(それなりの金を積んで)また入手できるだろうと踏んで、しばしのお別れです。
1本目はEF35mm F2 IS USM。
35mmと準広角の画角でありながら、手ブレ補正機構(IS)を搭載しています。
いまとなってはカメラボディに手ブレ補正を積むのが当たり前になっていますが、このレンズが発売された2012年当時、キヤノンのカメラにボディ内手ブレ補正を持つEFマウントのカメラはありませんでした。
単焦点ならではのキレとそれなりの軽さ、そしてIS搭載によって夜間も安心という使いやすさもあり、レンズ1本で出かけるときに重宝したレンズです。
35mmはどちらかといえば広角寄りのレンズとされることが多いですが、個人的にはいわゆる「標準レンズ」の称号を与えてもいいんじゃないかと思います。
カメラ界隈では一般的に、50mmが標準レンズだと言われることが多いです。
でも、誰かと一緒に出かけていて、記念写真を撮ったり、ごはんの写真を撮ったり。そういうとき、50mmだと少し視野が狭く感じます。
その点35mmであれば、人と場所を一緒に入れ込んだり、手元にあるお皿の全体を収めたり、そういったことがしやすい。
いまここに貼っ付けるためにこのレンズで撮った写真を見返していると、案外と歪曲がありますね。
以下の2枚、写真の周辺は、ぐにゃっと樽型になっています。
じゃあ歪むから悪いレンズ、歪まないから良いレンズ、とはいかないのが写真のおもしろいところではあるのですが。
とはいえ、やっぱり「ぴしっと」「まっすぐ」向きなレンズではない気もします。
たとえば以下の2枚。
こういうかっちり直線で描くような構図は、このレンズの得意とするところではないのかなぁと、なんとなく思います。
使いこなせていない撮り手の未熟ゆえ、とも言えますが。
どちらかというと、常に片手にふらふらと持ち歩き、あっいいなと思う瞬間を手持ちで(傾いてようがブレてようが)切り取る。
それが35mmの楽しみ方として合っているんじゃないか、というのが持論です。
あらためて見返しても、いいレンズですなぁ。
EFレンズにしては発売が最近ということもあり、現代レンズらしくキレがいいです。
F2という明るさも、アップショットできっちりボケを作る際に助かる。
なんだか手放したのが惜しくなってきました。
が、レンズだけ持っていても写真は撮れません。
涙を拭いて次の機材紹介にうつります。
EF85mm F1.8 USM
このEF85mm F1.8 USMは、実は2本目。
もともと持っていた1本目が絞り羽根の動作不良で使えなくなったのですが、そのタイミングが大事な撮影の直前。
どうしようもなかったので慌ててもう1本買い足しました。
なお、壊れた1本目はキヤノンに送り修理してもらい、ぴかぴかになった状態でマップカメラへと横流ししました。
直さず捨てたほうが安上がりだったけど、レンズは資産ですからね。愛あるユーザーに使ってもらいたいものです。
さて作例ですが、どうやらポートレート以外ではほとんど使っていなかったみたいです。
その割に使用頻度が高いとは、どんだけ女の子撮るの好きやねん…と。
85mm、中望遠などといわれる画角は、見たいものをぐっと目を凝らして見るイメージに近いです。
35mmのときの「目についたものをぱぱっと撮る」感覚とはちがい、狙ったものを能動的に切り取るというか、ねちっこく凝視する、みたいな感じでしょうか。
あとから撮った写真を見返すと、自分が興味をひかれたものや仕草が浮き彫りになります。
逆に、狙いがないカットだとすごい散漫になります。
このEF85mm F1.8 USMの発売は1992年。
実に30年以上前に設計されたレンズです。
当然デジタルカメラで使うことなど想定されておらず、はっきり言ってしまえば描写は甘々。
開放では特にぽやぽやとしていて、上述したEF35mmと比べたりすると歴然たる差があります。
さらに特徴的なのが、パープルフリンジ。
逆光では紫色の縁取りがばばばぁっと、それはそれは盛大に出現します。
上の2枚はLightroomでフリンジ除去をかけたものですが、それでも消えない紫色が、モデルさんの髪の毛や影なんかに見えていますね。
まぁ、これもEF35mmの歪曲と同じく、フリンジが出るから悪いレンズ、とも言えないのが写真のおもしろいところです。
ほんとうに女の子ばっかりでごめんなさい。
他の写真なかったのかよと自分でも思いますが、なかったです(断言)。
SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM
このシグマの50mm F1.4 EX DG HSMもまた、人生で2本買っています。
1本目を買ったのは、2012年。
EOS 5D Mark IIを手に入れてフルサイズデビューをした当時大学生の自分が、おともに選んだレンズがこのシグマの50mmでした。
APS-Cの一眼レフからグレードアップした自分にとって、「とにかくボケボケの写真が撮りたい!」という気持ちを抑えきれなかったみたいです。
随分と重用していたものの、ある日カメラバッグから落下させパリンと。
しばらくはEF50mm F1.8 STMなどでしのいでいたものの、やっぱりあの写りをもう一度味わいたいと2022年に買い戻しました。
ちなみに、現在のシグマのラインナップでは、単焦点の50mmはArtラインというグレードに属しています。Artラインのレンズたちは、惜しみなく光学技術を使い、携帯性を犠牲にしてまでも画質を追究するという贅沢な製品群です。
そのArtレンズの評判のおかげで、前身にあたる50mm F1.4 EX DG HSM(Artラインを冠していないので、非Artなどと呼ばれる)は安値で中古市場に投げ出されています。
作例を見ていいレンズだと思ったら、ぜひ手に入れてみてください。
なお、AFは遅いし精度も微妙です。でもロマンはある。「フルサイズ」という甘美な響きに幻惑された大学生のころの思い出がよみがえります…。
やっぱり標準レンズとして考えると、50mmというのは少々狭い気がします。
じっと一点を見つめている。少なくともぼーっと視界の全体像を入れ込む画角には思えません。
そういえば、最近はスマホ(だいたい28mm相当くらいが普通だとか)の影響で、慣れ親しむ写真の画角がどんどんワイド寄りになっているなんて話も聞きますね。
知らず知らず、そうした時流の影響を受けているのかもしれません。
みんな大好き日の丸構図。
被写体との距離に関わらずF1.4でボケを作れるので、寄りでも引きでも「単焦点感」を出すことができます。
そのマルチな活躍を鑑みれば、確かに「標準レンズ」と言えるのかも。
上の3枚は1本目の50mmで撮ったもの。つまり、10年くらい前の写真です(お恥ずかしい)。
現像の具合もありますが、強めのコントラストと発色の濃さがこのレンズの特徴です。
なんというか、重いガラスの中を光が通ったんだぞ、という写りをします。
言い表すのが難しいのですが、確かに他のレンズとは一味ちがうというか…。
さて、3本のレンズで撮った写真を振り返りましたが、あらためて思うのは35mmのユーティリティープレーヤーぶりですね。
50mmや85mmには出せない機動性、という感じがします。
個人的にはもうちょっとだけボケに欲を出した40mmが最適解で、フィルムカメラではこちらの40mmレンズが定番と化しています↓
そして今気づきましたが、フルサイズミラーレスを手放した今、このレンズを本来の画角で撮れるデジタルカメラがなくなってしまいました。どうしたものか…。
おまけ:今後の機材繰り
さて、フルサイズミラーレスを手放したとはいえ、フルサイズのカメラ自体は手元に残っています。
そう、フィルムカメラですね。
父方の祖父からもらったNikon New FM2。
母方の祖父からもらったMinolta Hi-matic E。
カメラ好きだった2人のおじいちゃんの志は、きちんと受け継いでおります。(Hi-maticについているレンズも40mm。やっぱりこの画角ですな)
その他にも、個人的ビジュアルランキング1位のNikon FG-20さん。
さらに、絞り優先オートで1/4000シャッターが切れるハイスペックNikon FE2さん。
とかとか、なんやかんやフィルムカメラは手放せずにいます。
デジタルでは、この2台。
EOS M6 Mark IIと、LUMIX GH6が控えています。
フルサイズを手放したとはいえ、APS-Cとマイクロフォーサーズで一通りの撮影はこなせます。
画質の面では、特に高感度の撮影でフルサイズに分があったのは確かです。
ただし、LightroomにAIを使ったノイズ除去の機能が追加されてからは、正直マイクロフォーサーズでもそれなりの写真が撮れるようになった…というのも、今回の断捨離の大きな動機になりました。
そして、新しい機材を買いました。
DJI OSMO Action 4です。
手持ちのGoProを手放して、代わりにこのOSMO Action 4を購入しました。
正直、画質ではGoProが完全に勝っています。特に静止画。
センサーの画素数が違うので当たり前ですが、GoProで撮ったRAW画像はかなり美しい。
ミラーレスで撮った写真に混ぜても、ぱっと見わからないほどです。
が、GoProはとにかく動作が不安定。
15分に1回くらいは画面が固まり、バッテリーを引っこ抜かないかぎり電源が落ちないという症状が出ていました。
これでは安心して使えないので、OSMO Action 4に乗り換えました。
ただ、GoProは近いうちに新モデルの発表が控えているとの情報もあります。
動作の安定性さえ改善されればGoProに戻れるよう、バッテリーやアクセサリー類はそのまま所持しています。
すごい勢いで書きなぐっていたらすっかり深夜になってしまいました。
機材を手放すという行為は、何度経験しても寂しいものです。
過去にその機材で撮った写真を見返すと、「やっぱりいいレンズだから手放したくないなぁ」と思い、かと思えば「全然使いこなせてなくて申し訳ないから、次の人に使ってもらおう」とも思い。
でも、こうして定期的に機材を見直して防湿庫にすき間を作ってあげないと、次なる未知の機材を迎え入れる心づもりができない…ではなく、買ったけど使い倒せなかった機材たちとの別れを通して、自分に合った機材を厳選していけたらいいなと思っています。
「これだけあればいい」
そういう機材とともに人生を送れるようになるのが、私の願いです。
あと、「あなただけいればいい」というパートナーにも早くめぐり会いたいものです。
もしその人に「カメラなんて金かかるだけだから全部捨てろ」って言われたらどうしよう。杞憂。
2023.8.14