学園祭を生中継することについて考える
私は筑波大学の学園祭実行委員会の情報システム局で局長をしています。情報システム局では例年、実行委員会の公式企画として「学園祭生中継プロジェクト」を実施しています。この学園祭を生中継することについて、ある出来事をきっかけに考えさせられたので書き残したいと思います。
生中継を誰でもできるようになっていた
ゆかこんお家で見れたりしないかな
こんなツイートを私は筑波大学宿舎祭「やどかり祭」のゆかたコンテスト(ゆかコン)の会場でパフォーマンスを待っている時に見かけました。ゆかたコンテストでは浴衣を着たゆかコン嬢を中心としたパフォーマンスが行われます。
そのパフォーマンスを家で見れたりしないか、そんなツイートです。
パフォーマンスを見るためには当然、会場に行かなければなりません。行ったところで混雑している会場ですから目当てのパフォーマンスを見れるかもわかりません。私も会場にいなかったら同じことを思ったと思います。
私は昨年の筑波大学学園祭「雙峰祭」のステージの最前でパフォーマンスの生中継の撮影を担当したことを思い出しました。
そして私はゆかたコンテストのステージの最前にいました。
生中継をしている人は他にいないようでした。
私は生中継をしようと決めました。PeriscopeのアプリをiPhoneにインストールし、配信を開始するまでにかかった時間は5分もかかりませんでした。
録画を確認すると画質は悪いですが、雰囲気を楽しむには充分な配信を行うことができていました。手持ちで撮影していましたが、手ぶれ補正が効いているため、見るに耐えない映像ではありません。
この生中継をこんなにも手軽に、一人で行うことができることに驚きました。
学園祭生中継プロジェクトで感じた大変さ
昨年の学園祭生中継プロジェクトはメインステージをカメラ3台を切り替えながら生中継しました。
この生中継を実現するために、カメラマンをはじめ、映像を実況するアナウンサーや3台のカメラの映像を切り替えるスタッフ、生中継を行なっている部屋とステージ間の連絡を取るスタッフなど大人数を必要としました。
また、人員面以外にもビデオカメラ、ステージで撮影された映像を受信するサーバー、通信回線など設備面でも相応の準備をする必要がありました。
この生中継と私がiPhoneを使って一人で行った生中継の違いはなんなのかを考えてしまいました。
現代の学園祭生中継プロジェクトとは何か
学園祭生中継プロジェクトはスマートフォンが普及する前の、携帯電話が使われていた時代から行われてきました。
過去のプレスリリースを参照すると学園祭生中継プロジェクトはこのような歴史を辿ってきました。
2004年 生中継プロジェクト発足・ライブ配信実施
2005年 混雑認識サービス実施
2006年 移動生中継実施
2007年 にゃふにゃふ動画実施
2008年 ハイビジョン中継開始・リアルタイムミキシング実施
昨年度の学園祭生中継プロジェクトは移動中継、フルハイビジョン中継、リアルタイムミキシングを実施しています。
歴史を辿ってみると筑波大学の学園祭生中継プロジェクトはかなり先進的であったことがわかります。
学園祭生中継プロジェクトの歴史を考えると2018年に移動中継やフルハイビジョン配信はありきたり過ぎないかと思ってしまいます。
先述の通り、特別な機材がなくても「移動中継」はスマートフォンの普及によって当たり前になってしまいました。フルハイビジョン中継どころか4K中継はYouTube Liveで可能になっていますし、360°配信も対応しているプラットフォームが既にあります。
こんな時代に昨年度と同様の生中継で満足していいのか。
そして、誰でも生中継が可能になった今、学園祭実行委員会が生中継を実施する意義はあるのか。
そんなことを考えてしまいました。まだ答えは出ていません。