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なぜsmartroundは無料で使えてしまうのか?その思想と戦略の解説

こんにちは。スマートラウンド代表の砂川です。皆さんいつもsmartroundをご愛顧くださり、誠にありがとうございます。お陰様でsmartroundは、4,100社以上のスタートアップ、65社以上の投資家等にご利用いただけるようになりました。今後とも引き続きチーム一丸となって弊社ミッションである「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」を実現できるよう、邁進していきます。

さて最近、よくスタートアップの方から「なぜsmartroundは無料で使えるのか」とか「なにかトリックがあるのではないか」といったご質問を多くいただくようになってきました。類似サービスが月額数万円という価格設定になっていたり、リリース当初に比べて機能が充実してきたことから「にわかには信じがたい」という反応に繋がっているのだと思います。

そこで今日は、スマートラウンドの価格体系と、その背景にある弊社の思想や戦略についてご説明させて頂きたいと思います。

smartroundの価格体系

まず最初にsmartroundの価格体系ですが、スタートアップの皆様にご利用いただく場合、フリープラン、スタンダードプラン、プロフェッショナルプランの三つのプランがあり、それぞれ、無料、月額3,000円(税別)、1万円(税別)という「定価」があります。

その上で、スタートアップのご利用者様がsmartround上で、弊社のパートナー企業と「つながる」と、スタンダープランが無料に、プロフェッショナルプランが5,000円に割り引かれる、という特典が自動適用されるという仕組みとなっています。(※編注:料金・割引率は2023年の執筆時のものです。検討時は最新の料金プランをご確認ください。)

多くのスタートアップの方々が「無料で使えてしまっている」とお感じになるのは、そもそもフリープランをご利用されている方々に加え、パートナー割引でスタンダードプランを無料でご利用されている方々も多数いらっしゃるためだと思います。

現在、VCやCVCをはじめとした投資家や、弁護士・司法書士・公認会計士・税理士といった士業法人、またスタートアップに各種サービスを提供されている企業を含め、現在230社以上という非常に多くの、スタートアップエコシステムの中心的な企業様に、パートナーとなっていただいています(ありがとうございます)。

そして、ほとんどのスタートアップが、弊社パートナーとsmartroundでつながっているため、結果的にsmartroundのスタンダードプランを無料でご利用いただけてしまう、という状態となっているのです。

なお、パートナー割引は後からでも自動適用されますので、最初は有料でご利用されていた方が、ある日smartround上でパートナーとつながった結果、突然無料化された、ということもよく起こります(それも不気味がられる理由のひとつかもしれません)。

スマートラウンドの思想

ではなぜこんな価格設定になっているのかと疑問に思われるかもしれません。答えはとても単純で、スマートラウンドが「スタートアップを支援したいという思いがとても強い会社だから」です。これは私自身が二度起業し、その苦労をよく知っているからでもあります。

繰り返しになりますが、弊社のミッションは「スタートアップが可能性を最大限に発揮できる世界をつくる」というものです。弊社は、今後の経済成長や社会課題の解決は、イノベーションによってのみ実現することができ、スタートアップはその主たる担い手だと考えています。

ただ、実際にスタートアップが経済成長や社会課題の解決を実現するためには、スタートアップの数を増やして裾野を広げ、その生存率を上げることが必要です。

誤解していただきたくないのは、弊社はナイーブにみんなユニコーンになれる、と思っている訳ではありません。むしろ多産多死であるが故に、その数を増やさないといけないと考えています。数が増えれば当然ながら「凄いスタートアップ」が生まれる確率が高くなります。

また生存率を上げるというのも、無駄に生き永らえる、いわゆる「リビングデッド」を増やしたいという意味ではありません。そうではなく、将来有望なスタートアップがハマりがちな落とし穴をなくし、事業とは関係のない問題で破綻するケースを根絶したいと思っているのです。

そのために弊社ができることは何か。それがパートナー特典によるスタンダードプランの無料化だったのです。

smartroundは、スタートアップが避けては通れない書類の作成と投資家への共有、事務的な手続きを効率化するサービスです。こうした事務作業は慣れている人であれば自分で確実にこなすことも可能かもしれません。でもあいにくスタートアップの経営者に「慣れた人」はあまりおらず、たとえ慣れていたとしても専門家ではないので「効率的に」行うことは難しいでしょう。

smartroundでは、ユーザーからのフィードバックによってサービスをどんどん進化させ、専門家ではなくてもスタートアップが事務作業を確実・迅速に行えるようになりました。これが「スタートアップの生存率を上げる」ための弊社なりの支援に他なりません。

また、多くの先輩スタートアップがsmartroundを利用して確実に成長している「実績に裏付けされた安心感」が、起業をためらっていた人たちに勇気を与え、最初の一歩を踏み出す循環につながる。これが「スタートアップの裾野を広げる」ための弊社の取り組みなのです。

さらに、弊社では自社だけでスタートアップ振興ができるとは考えていません。なので「全方位外交」を行っています。これは、ある特定の企業とエクスクルーシブ(排他的)に提携関係を持つことは避け、できるだけ多くの企業と協業しエコシステムの底上げを図り「一部ではなく、全てのスタートアップ」を支援したいという思想に立脚しています。

業務提携をすると「このサービスを併用するとこんなメリットがあります」とか「このサービスは他社では使えません」とかいう制限がスタートアップにかかることがあります。そうした取り組みは、育成すべきスタートアップをないがしろにし自己都合を優先した「悪手」であると弊社では考えています。それでは自社のシェア拡大につながるかもしれませんが、スタートアップ市場は成長しません。

弊社のパートナーになっていただいてる企業様の陣容をご覧いただければ、弊社の考えを理解していただけると思います。一般的に競合といわれている企業様に分け隔てなくパートナーになっていただいていますし、さらに言えば弊社と一部サービスが競合する(あるいは可能性のある)企業様にもパートナーになっていただいています。

パートナーの大切な取引先であるスタートアップは、弊社にとっても大切なユーザーであると考え、パートナー割引を適用させていただいているのです。なお、スタートアップは、以下の条件を満たす限りパートナー割引の対象となりつづけます。

・スタートアップが1社以上のパートナーとsmartround上でつながっていること
・そのつながっているパートナーがパートナーであること(解約してないこと)

スマートラウンドの戦略

無料施策は弊社の3つの戦略とも合致しています。フリーミアム、ネットワーク効果最大化、競合優位性の構築の3つです。

以下、ひとつずつご説明させていただきます。

1.フリーミアム

ご存知のとおりフリーミアムは、特にセルフサービス系のSaaSに多く見られる戦略です。

フリーミアムとは
基本的なサービスを無料プランで提供し、より便利な機能を上位の有料プランで提供することで、収益を得るビジネスモデル

弊社でもこのフリーミアムを、少しだけカスタマイズして運用しています。

smartroundは一般的なSaaSと違い、ユーザーであるスタートアップのステージがダイナミックに変化していくという特徴があります。急成長することが唯一の共通項であるスタートアップは、創業・シード、アーリー、ミドル、レイター、上場と年単位、月単位で事業や組織が変化していきます。

弊社では、こうした急成長するスタートアップと並走することで自社も成長を目指す「ユーザー・レッド・グロース」を標榜しているのです。

創業・シード期のスタートアップは、資金がないのが当然なので利用料をいただかず、そうした企業がうまく成長して、シリーズAラウンドを実施し少し資金に余裕ができたら少しだけ利用料をいただき、さらに成長して上場したら潤沢な資金から(ご納得いただいた上で)より多くの利用料をいただく、というモデルを実現しようと考えているのです。

計画通りに急成長できないスタートアップも多くいます。そうしたスタートアップからは全く利用料をいただかずに終わるかもしれません。

それでもいいと弊社は考えています。再起して起業するとき、smartroundを最初に思い出してもらえたら本望です。

2.ネットワーク効果最大化

スタートアップの成長にはネットワーク効果(ネットワーク外部性)を生かすことが欠かせないと言われるほど重要な戦略です。

ネットワーク効果とは
ユーザーが増えれば増えるほど、そのサービスのインフラとしての価値が高まること

smartroundの場合はスタートアップと投資家の2種類のユーザーが存在するため、間接的ネットワーク効果という部類に入ります。

smartroundは、スタートアップと投資家の関係性を株式や新株予約権という媒介を通じて定義し、それらのユーザー同士の適切なコミュニケーションを効率化・円滑化することを目指しています。

この時、スタートアップから見れば「全ての投資家がsmartroundを利用してくれると嬉しい」となりますし、同様に投資家から見ても「全てのスタートアップがsmartroundを利用していると助かる」わけです。

このユーザーのご要望をより早く実現するためにsmartroundでは、ユーザーがフリクションレスで他の潜在ユーザーをsmartroundにご招待いただけるよう改善を重ねております。そしてそのフリクションレスの前提条件がサービスの無料化なのです。

LINEがそうであるように、Facebookがそうであるように、smartroundもネットワーク効果最大化を実現するためには基本的な機能は無料で使えるようにすることが必須だと考えています。

3.競合優位性

前述したようにsmartroundはスタートアップと投資家の両方にご利用いただくことを前提とした日本では唯一のサービスとなっています。とはいえ、必ずしも両側からご利用料をいただく必要はありません。

例えばAppStoreの場合、AppleはiPhoneユーザーとアプリデベロッパーの両方から利用料をとっているわけではなく、建て付けとしては、あくまでもアプリデベロッパーからプラットフォームの利用料を徴収しています。

smartroundも同様に、現時点では投資家からのご利用料を主な収益源としてビジネスを設計しています。そうすることで、上記のフリーミアムやネットワーク効果最大化を実現でき、さらにはスタートアップと投資家の両側にサービスを提供していない競合に対して、価格優位性を実現できるからです。

スタートアップだけにサービスを提供している会社は、例え機能的に近いサービスを提供していたとしても、それを無料にしつづけることはできません。当たり前ですが、収入がないとサステイナブルではないからです。

smartroundがスタートアップに一部サービスを無料で提供し続けているのは、こうしたサービス展開方法の戦略的な違いに起因します。

終わりに

以上、smartroundが無料で使えてしまう理由を思想と戦略を含め赤裸々に書きました。
他にも疑問点がある方は遠慮なくサービスページ右下のチャットまでご質問をお寄せください。ご納得いただけるまでご説明したいと思います(そしてご納得いただけましたら、ぜひsmartroundをご利用ください)。

また弊社では、こうしたビジネスモデルに立脚した事業開発活動を牽引いただく、新しいCOOを絶賛大募集しています。

我こそはと思われる方は、ぜひ以下までご連絡ください!

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdZohQE7f4wLhkSXfUhXbUM2tJoH0XCrM9T7o-X9P5WWyb4Og/viewform

COOの募集について、詳しくはこちらでお話ししています。

引き続きsmartroundをよろしくお願いします。