【弁護士が解説】スタートアップの株主総会の実務とスケジュール smartround活用法も紹介
こんにちは、弁護士の五十嵐です。普段はスタートアップ専門の弁護士として活動しているのですが、smartroundを一ファンとして推していたら、この度コラムを執筆する運びとなりました!!
このコラムでは、スタートアップの株主総会を効率化する「株主総会smartround」を活用した株主総会のスケジュールについて、私がスタートアップ内部のコーポレート担当として普段行っているやり方や、法律上注意すべき点などを併せてお伝えします。
スタートアップのバックオフィスを担当されるみなさまのお役に立てていただければ幸いです。
注意事項
STEP0:開催の決定
株主総会には①定時株主総会と②①以外の株主総会(いわゆる臨時株主総会)があります。また、これらとは別に会社法には③種類株主総会が定められています。
したがっていわゆる「株主総会」には大きく3つの種類があります。
定時株主総会であれば、開催の日時が大まかに決まっていますので、バックオフィス側からアナウンスを出すことも多いです。
それ以外の場合は資金調達やストック・オプション発行などのイベントに関連して開催が決まります。
STEP1:全体のスケジューリング
1-1 スケジュールの仮決め
株主総会は、定時株主総会にせよ、臨時株主総会にせよ、この時期までに開催しなければいけないという日が存在していると思います。
例えば、定時株主総会であれば多くの会社において、定款上事業年度終了から3ヶ月以内に開催する必要があると定められています。
実際には税務申告や投資家への決算書提出との兼ね合いで決算から2ヶ月以内に開催する会社が多いでしょう。
このように、まずは「絶対に株主総会を終わらせておかなければいけない締切」を確認し、株主総会招集通知発送日や、株主が社内決裁に必要とする期間などを逆算し、全体のスケジュールを決定します。
思考過程としては以下のような順番です。
①株主総会開催日時を決める
絶対に株主総会を終わらせておかなければならないデッドラインとなる日を確認。定款の定め、投資契約、税理士さんの税務申告のスケジュールなどをチェックする。
その日またはその日以前の日で、役員全員が出席できそうな日時を確認し、その日時を株主総会開催日時として仮決めする。
②株主総会招集通知発送日を決める
①で決めた株主総会開催日から招集通知発送期限に間に合うよう逆算し、株主総会招集通知発送日を仮決めする。招集通知発送期限は定款を確認(多くの場合は中7日)。
場合によっては株主の内部決裁にかかる時間も考慮して招集通知発送日を期限よりも少し早めに設定することも検討する。
③取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日時を決める
②で決めた株主総会招集通知発送日または②の日以前の日で、役員全員が出席できそうな日時を確認し、その日時を取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日時として仮決めする。
④(取締役会設置会社の場合)取締役会招集通知発送日を決める
③で決めた取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日から招集通知発送期限に間に合うよう逆算し、取締役会招集通知発送日を仮決めする。
招集通知発送期限は定款を確認。定款に定めのない場合は1週間(会368条1項)。取締役全員の同意がある場合には省略可(会368条2項)。
⑤ドキュメントの準備の締切日を決める
取締役会議事録案、株主総会招集通知案及び参考書類案並びに株主総会議事録案の準備にかかる時間を考慮し、ドキュメントの準備の締切日を定める。
1-2 役員全員との日程確認・調整
上記のようにスケジュールを仮で定めたら、このような日程で問題がないか役員全員に再度確認します。
会社法上、役員には取締役会への出席義務があり、また株主総会についても事実上出席義務があります。そのため、取締役会と株主総会の日は出席できるようにスケジュールを空けておいていただく必要があります。
「その日時は空いていない」と役員に言われてしまったら仮決めしてあったスケジュールを適宜変更します。招集通知の発送日などを最短の日程で組んでいた場合にはどんどん前倒ししていくことになります。
役員全員との日程の再確認を経てスケジュールが定まったら、(1)取締役会の日時と(2)株主総会の日時を役員全員に周知し、スケジュールを空けておくようお願いしておきましょう。
株主総会開催までの期間は、株主や社内メンバーのスケジュールによって異なりますが、準備も考えると最短でも10日ほど、長い場合は2ヶ月ほどかかります。自社に合った期間を見極めてスケジュールを決めていきましょう。
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