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住宅ローンは固定か変動か?後編

渋谷区の不動産屋【スマートプロパティーズ】代表の渡邉と申します。
会社名は長いので『スマプロ』と覚えてください!

さて、本日も昨日に引き続き【住宅ローンは固定か変動か?】についてお話したいと思います。
マイホーム購入をするうえで避けては通れない課題ですので、不動産Youtuberとして最も影響力のある【不動産Gメン滝島】さんと、住宅ローン比較サービスの【モゲチェックの塩澤】さんの対談動画を参考に理解を深めていきましょう!
なお、本編は2部制の後編ですので、前編がまだの方はこちらからご確認いただけたらと思います↓↓


塩澤さん:ペアローンは離婚リスクをヘッジ&金利上昇後は借り換えも検討


塩澤さんは、住宅ローンにおいて変動金利が有利であるとの見解を示されています。その根拠は、住宅ローンの利息支払いの約半分が最初の10年間に集中することにあります。住宅ローンは元本の減少が初期には少なく、利払いが多く発生する仕組みであるため、初期10年間を低金利で通過できることが重要です。

現在、変動金利と固定金利の差は約1.4~1.5%であり、この差を埋めるには日銀が政策金利を6回引き上げる必要があります。しかし、現在の経済情勢では、短期間での6回以上の利上げや高金利の長期継続は考えにくいため、変動金利が有利であるとの結論に至っています。

また、*¹モゲチェックのユーザーにおいても、変動金利を選ぶ割合に大きな変化は見られません。たとえ変動金利が0.25%上昇した場合でも、固定金利との差は依然として約1.4%あり、10年間でこの差が逆転するとは考えにくいためです。加えて、モゲチェックの利用者の大半は借入金額の年収倍率が5倍以下で、無理のない借り入れを選択しています。

一方で、現在の不動産価格の高騰により、*²ペアローンを選択する利用者も増えています。ただし、ペアローンにはリスクも伴います。例えば、病気や育児、介護、さらには離婚など、家計が一馬力に戻るリスクを考慮する必要があります。塩澤さんもマイホーム購入時にペアローンを選択されましたが、資産性のある物件を選ぶことの重要性を強調されています。理由は、万が一の際に残債割れを避け、スムーズな手続きができるようにするためです。

さらに、金利上昇が起きた場合、借り換えを検討すべきとの意見も述べられています。理由は、金融機関は新規顧客を獲得するために低金利を維持し、既存顧客の金利を引き上げる傾向があるためです。借り換えによって金利を引き下げることが可能であり、変動金利と固定金利との差額を資産運用に回すことで、さらなるメリットを得られる可能性があります。

例えば、3500万円を固定金利1.8%と変動金利0.3%で借りた場合、月々の返済額には約2万円の差が生じます。この差額をNISAなどの投資に回すことで、無税で資産を増やすことが可能です。ただし、借り換えには手数料(一般的に借入金額の2.2%)が発生するため、金利差が0.3%以上である場合に借り換えを検討するのが目安とされています。

ネット銀行は競争が激しいため、金利を無闇に引き上げることが難しいとされています。一方で、メガバンクは預金額が多いため、住宅ローンの金利を下げても影響が少ないとされています。そのため、ネット銀行の金利が急激に上昇する可能性は低いと考えられます。



滝島さん:夏目漱石でさえ、借家だった。


滝島さんは、住宅ローンにおける変動金利と固定金利の選択についての見解を述べられています。滝島さんによると、不動産業界では、金融商品とは異なりリスクを伝える義務がないため、物件価格の値下がりリスクを購入者に説明しない場合が多いと指摘されています。

特に、タワーマンションの販売価格は近年大きく高騰しており、賃貸利回りが1%台になるケースも珍しくありません。そのため、万が一の際に「人に貸して収益を得る」という選択肢が取れない可能性が高まっています。さらに、物件価格が高すぎることで買い手が見つからないリスクもあり、結果としてタワーマンションは非常に高リスクな資産になるとされています。

確かに、うまくいけば「晴海フラッグ」のように転売益で1億円近くを得られるケースもあるため、そのような利益を期待して購入したいと考える人の気持ちは理解できると述べています。しかし、滝島さんはこのような行為は投資というより「ギャンブル」に近いものであり、十分な理解がないまま購入するのは危険であると警鐘を鳴らしています。

滝島さんによれば、住宅ローンを利用する際に変動金利を選ぶ人は依然として多いそうです。借入額の倍率については人それぞれですが、金利上昇リスクについては必ず説明しているとのことです。ただし、貯金があることを理由に借入可能額の上限までローンを組む人もいれば、無理のない範囲で借り入れを抑える人もいます。特に都内や近郊の物件では、購入価格が非常に高額であるため、年収倍率が5倍では購入が難しいケースが増えており、6倍や7倍の借入を選択する人も多いとのことです。滝島さんが活動している渋谷区本町周辺では、非常に狭い土地でも価格が1億円を超えることがあり、これが現状の一因となっています。

また、シングルで住宅を購入するのが難しいことから、ペアローンを利用するケースが多いといいます。ペアローンには、住宅ローン控除が2人分受けられるというメリットがありますが、一方で離婚リスクを伴う点にも注意が必要です。現在、3組に1組の夫婦が離婚する時代であるため、自分たちは大丈夫だと考えるのは危険かもしれないと述べられています。

滝島さんは海外不動産の取引経験もあり、海外の住宅ローン金利が6%前後であることに触れながら、日本の住宅ローン金利が0%台であることを「非常に低い」と表現されています。さらに、世界のインフレ率が3~4%であるのに対し、日本の金利は事実上ゼロ金利やマイナス金利に近い状況にあると説明されています。このような低金利環境を考慮した上で、「金利2%の上昇に耐えられないようであれば、そもそも家を購入する資格がない」との考えを示されています。滝島さんは、かの夏目漱石でさえ借家に住んでいたことを例に挙げ、住宅購入を慎重に考えるべきだと強調しています。


まとめ

有識者の見解はいかがでしたでしょうか?
私も金利上昇についての考えは塩澤さんと同じであり、急激な利上げは事実上不可能であると考えています。そもそも金利を上げるということは、経済成長率を抑制することを意味します。一般的に、金利を1%引き上げると経済成長率は0.5%~1%低下するとされています。
現在、物価が急騰している主な原因としては、新型コロナウイルスのパンデミックによる紙幣の増刷、サプライチェーンの混乱、そしてロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の急騰が挙げられます。これらは外的要因による影響が大きいといえます。
日本は平成の30年間にわたる経済の停滞によって賃金がほとんど上昇していません。その結果、マイナス金利政策が採用され、世界でも際立って金利が低い国となっています。この状況で、金利をいきなり世界基準まで引き上げようとすれば、賃金が上がっていない=経済が回復していない状況で、さらに経済成長率を抑制することになり、経済に大きな歪みをもたらしてしまう可能性があります。金利は本日トランプ氏がアメリカ大統領に就任したことを受け、23日~24日の政策会合で引き上げられる可能性が高いと見られます。ただし、利上げ幅は0.25%ずつの緩やかなペースになると予想されます。このような慎重な利上げは、急激な金利上昇による市場への影響を最小限に抑えることを目的としていると考えられます。
あと、夏目漱石が借家だったのは意外でした(笑)
実際の対談内容にはユニークな例え話しが豊富で、よりわかりやすく楽しめる内容となっておりますので、YouTubeもぜひチェックしてみてください!


*¹モゲチェック:塩澤さんがCOOを勤める「株式MFS」が運営する住宅ローン比較サービス。スマホから手軽に複数校の金利チェック~仮申し込みまで可能。
*²ペアローン:夫婦や親子など2人以上が共同で住宅ローンを組む仕組み。契約者がお互いの連帯保証を担う。

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