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修繕積立金とは?
東京の渋谷区代々木にて不動産業を営んでおります、(株)スマートプロパティーズ代表の渡邉と申します。
会社名は長いので『スマプロ』と覚えてください!
さて、本日の議題は【修繕積立金】についてです。マンションを購入する際、購入価格やローン以外に考慮すべき重要な費用の一つです。名前を聞いたことはあっても、具体的な内容や使い道について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?今回は、修繕積立金についてわかりやすく解説します。マイホーム購入後の家計に関わる重要な部分ですので、ぜひ理解を深めていただければ幸いです。
なお、戸建てには修繕積立金の設定はありません。
修繕積立金の概要
修繕積立金とは、言葉通りマンションを修繕するための資金で、マンションの住人全員で事前に少しずつ積み立てていきます。修繕箇所はエレベーター、外壁、屋上、防水設備などの共有部分です。街中で足場が組まれネットで覆われた建物を一度は見たことがあると思いますが、あれは外壁の修繕工事をしています。
ご覧の通り、かなり大掛かりな工事ですので、時間も費用もかかります。このような修繕を大規模修繕と呼びます。大規模修繕は安全上必ず行う必要があるので、管理組合によって長期修繕計画が組まれ、この計画に則り管理・運営を行っていきます。計画期間は国交省のガイドラインでは30年以上を目安とされています。修繕積立金も計画時に決定されます。
気になる金額ですが、㎡単価で計算します。単価はマンションの規模や設備、築年数によって異なるため、一律で決まっていません。以下の金額を参考にしていただければ幸いです。
大規模マンション(総戸数100戸以上):月額200~350円/㎡
中規模マンション(総戸数50〜100戸): 月額200〜400円/㎡
小規模マンション(総戸数10戸以下):月額400~600円/㎡
※あくまで目安なので、物件の設備状況等によって異なります。
大規模修繕の実施の目安は、国交省の定めるガイドラインでは❝1回目は築後12~15年❞、❝2回目以降は12年程度❞の周期と定められています。もし、現在検討している物件が2010年~2013年に建てられたマンションの場合は、1回目の大規模修繕が実施されているかもしれません。実施状況や積立金の累積金額は管理組合の議事録から確認が可能です。
修繕積立金額は安い方がいい?
修繕積立金はランニングコスト(固定費)なので、できれば安い方が嬉しいですよね?であれば、修繕積立金が安い物件を選べばいい!と思うかもしれませんが、それは大きな間違いと言えます。
理由としては、修繕積立金が安いと❝適切な大規模修繕ができない❞リスクと、❝追加徴収❞のリスクが考えられるからです。
十分な積立金がないと、建物や設備の劣化を適切なタイミングで修繕できません。工事が不十分であるが故に、外壁のひび割れや屋上の防水工事が遅れることで、❝雨漏りや建物の構造劣化❞が進行し、想定外の補修が必要になる可能性があります。当然、不十分な工事を行う訳にもいかないので、工事前に追加で修繕費を徴収される可能性が高く、想定外の出費はさらに家計を圧迫することになります。
また、修繕が行き届かないと建物の外観や機能が劣化し、マンション全体の資産価値が下がるリスクがあります。そうなると、売却する際に購入希望者から見て魅力が低下し、❝売却価格が下がる❞可能性があります。
修繕積立金額は値上がりしない?
全うな長期修繕計画に基づいて管理されているマンションであれば、修繕積立金が新築時から一度も値上がりしないことは、非常に考えにくいです。理由はいくつあげられますが、シンプルに築年数の経過による老朽化は避けられず、修繕の範囲や内容が広がるからです。
次に考えられる要因はインフレです。不動産オーナーにとってインフレは嬉しいことですが、人件費や資材の物価も上がり、結果的に長期修繕計画時よりも工事費も上がるからです。
もう一つの要因は、金額の初期設定が低い場合です。新築マンションでは販売促進のために修繕積立金が低く設定されている場合があります。そのため、築年数が進むごとに積立額を増やす❝段階増額方式❞が採用されることがあります。この方式では将来的に大幅な増額が必要となるため、入居者にとって負担が大きくなることがありますので、初期から適切な積立額が設定されていることが理想的と言えます。
修繕積立金は、マンションを長く快適に住み続けるために欠かせない費用です。将来的に予想外の出費を避けるためにも、購入時にしっかりと金額や計画を確認することが大切です。これからマイホームを購入される方は、修繕積立金を「将来への安心を積み立てるお金」として考え、納得したうえで物件選びを進めていただけたらと思います!