ペティスおめでとう(イライラ)
堀口と一緒に失神しそうになった皆さん元気ですか?私はもうダメです。
堀口恭司vs.セルジオ・ペティス
堀口の敗因はペティスのMMAボクシング。
ペティスの作戦は恐らく、フルラウンド順突きで圧力をかけ続け、堀口に投げられたら下から極めにいく。
ペティスは堀口の出入りを丁寧に順突きで潰す気だったのだと思う。
堀口最大の武器である出入りを封じるには、間合いの外に出さない事が大事。出入りに応じるとなるとつい、「入り」に焦点を当てたくなるが、「出」こそ封じなければいけない。
堀口がどれほど早くても、安全なら追いかけるのは簡単。間合いの外に出るには金網を回るだけでなく、相手に圧力をかけなければいけない。
離れたら当然手が届かないので、虚を見せて相手を躊躇わせる必要がある。相手が無反応なら実に切り替え、反応したら裏をかく。
ペティスは堀口の虚実に、小さく丁寧に反応することによって応じた。これなら反応しても裏をかかれないので、堀口に簡単に追いつける。
これは序盤は上手くいかなかったが、ラウンドを追う毎に成功率はあがった。
堀口は序盤で既にセコンドから「近い」「離れろ」と再三指示が飛んでいた。堀口もなぜ距離を取れないか、わかってなかったかも知れない。
ペティスが「出」を封じる為に圧力をかけ続ければ、防御の為に距離を取ることはできなくなる。堀口が繰り返し、両手刈りや内無双を成功させたのは、ペティスが遠くに離れられないように圧力をかけ続けたから。
中距離でも堀口は、押し気味の順突きや、脹脛蹴りもかなり成功させた。
ペティスは本来、堀口の組みを下からの極めで対応するつもりだった。だが、堀口の寝技の位置取りは案外良く、ペティスはかなり消耗してしまった。
寝ても立っても殴られ、待てば蹴られる厳しい時間を過ごしつつも、ペティスは折れずに堀口へ圧力をかけ続けていた。
ペティスはMMAボクシングの技術がかなり高く、堀口の左の鉤突きや、右の直突きを、後半ほど芯を外すことに成功していた。堀口は拳頭を立てて当てる事ができず、手首や小指側を当ててしまっていた。
堀口はペティスの順突きを外す事に成功し続け、右を被せる機を捉えていたので、自分の打撃がペティスの芯に届いていない事を気にしていなかった。
ペティスは堀口の突きを失敗させ始め、堀口の組みも失敗させていた。
スタッツによれば、堀口は組みを七回しかけ、三回失敗している。失敗した三回とも4Rだ。
4R時点でペティスは堀口の打と投をともに見切っていた。
最後の攻防も、ペティスは堀口の内無双のフリから左鉤突きを内側によけ、逆にペティスが堀口の脇を掬い、組みを仕掛けた。
堀口がそれを嫌がって離れたところを蹴りから裏拳(手刀?)で仕留めた。
ペティスは尻上がりに対応し、堀口は持久力を注ぎ込んで、早いうちにポイントで引き離そうとしていた。どちらの構想もある程度は成功した。
堀口は自身が思うほど距離が取れないままRを重ね、そのツケを払った。
堀口は中距離でもかなり上手く戦えたが、それが故に自らが危険な位置に居る事を忘れてしまったのではないか。
ペティスは低い確率をものにしたが、油断でも偶然でもなかった。
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