ジノ・ヴァネリと夜を歩く(私的名盤『ナイトウォーカー』)
Nightwalk with "Gino Vannelli"
まずはじめに
はっきり言って、私は ”夜” が好きです!
中学校から深夜ラジオ等のために夜更かしを始め、朝の3時・4時頃まで、平気で起きていたのです。
あの家族が寝静まった後の、なんとも言えない静けさの中、一人起きてるのが好きなんですよね。
多分、他にもそういう趣向の人はいるはずで、私的にはそんな人を ”夜一族” と呼んでいます。
エドワード・ホッパーが夜の街を描いた絵画作品にシンパシーを感じちゃう人なんかは、夜一族に違いないと思います。
絵画は直接的な描写に近いのですが、映画や小説、そして音楽にも「夜」を感じさせるものがあって、そんな作品に目が無いのです。
そんな私が、夜一族のシンパシーを感じたアルバムが3枚あってですね。
1枚目がシャカタクの『ナイトバーズ』
2枚目がドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』
そして、最後の3枚目が
ジノ・ヴァネリの『ナイトウォーカー』 なんです。
ジノ・ヴァネリって、あまりヒット曲がないので、けっこうマイナーな存在かもしれませんが、カナダ出身のイタリア系シンガーソングライターです。
このカーリーヘアが時代を感じさせますね。
自分が聴いた80年前後のアルバムでは ”ソフトロック” や ”AOR” カテゴリーとされていましたが、ボサノヴァからフュージョン、プログレ、ジャズなど、カテゴリー分けの難しいシンガーです。
『ナイトウォーカー』は、ジノ・ヴァネリの7作目のアルバムで、前作だった6作目のアルバム『ブラザー・トゥ・ブラザー』に収録されている「I Just Wanna Stop」のスマッシュヒットを受けて、1981年にリリースされたものです。
「I Just Wanna Stop」
全米4位にランキングされたジノ・ヴァネリの代表曲です。
ジノ・ヴァネリの名盤というと、この曲の入った『ブラザー・トゥ・ブラザー』が挙げられることが多いんですが、夜一族としては、やっぱ『ナイトウォーカー』が好きなんです。
『ナイトウォーカー』
1981年なんで、『ナイトバーズ』や『ナイトフライ』の前年にリリースされているのですが、実は、自分が聴いたのは、もっと後なので、この順番に紹介しています。
正直に言うと、当時、ジノ・ヴァネリってアーティストのことは、全く知らなかったんです。
レンタルレコード店で違うアーティストのレコードを探してるうちに見つけて、『ナイトウォーカー』というタイトル、そして、ジャケットデザインに魅かれて借りて帰ったという…
分かってもらえると思うんですが、なんか、夜一族の匂いがぷんぷんしてたんですよね~
アルバムの一曲目が、タイトル曲の「Nightwalker」なんですが、レコードに針を落としてからも曲が始まる気配がないんですよね。
じっと聴いてると、何やら遠くに雑踏らしき音が聴こえてきて、静かに曲が始まっていくという..
「Nightwalker」
この出だしにすっかり引き込まれちゃったんです!
この曲だけで、私の勘は間違ってなかったと思いました。
そして、続いての2曲目が
「Seek And You Will Find」
2曲目も濃密な夜の気配で溢れてるんですよね~
う~ん、たまらない!!
もしや、このアルバムはかなりの当たりかもしれない!と予感させるものでした。
また、独特のセクシーな歌声が特徴ですから、やっぱりバラードが似合うんですよね~。
この『ナイトウォーカー』からは、バラード「Living Inside Myself」が全米6位にランキングされています。
「Living Inside Myself」
今、聴いても夜のお伴にピッタリなアルバムだと思います。
↑
なんだよ夜のお伴って!
+ + + + + +
実は、『ナイトウォーカー』の後、新曲?のPVは見た事あるんですが、あまり魅かれなかった記憶があって、そうこうしてるうちに、ジノ・ヴァネリって名前は聞かなくなっていくんですよね。
社会がレコードからCDへ移行していく中で、見なくなってしまったアーティストの一人です。
今回、その後の様子を調べてみると、まだまだ現役さんのようです。
もう70歳ぐらいだと思いますが、夜に沁み込んでいくような歌声はご健在のようで、アダルティな雰囲気は相変わらずでした!
「Gimme Back My Life」2019
(私的”夜の名盤”)
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