会社の近くへ肉を食べに行く　～とあるOLの乳がん日記【139】

１３９．

次の日は、なんとなく、お昼に肉が食べたいような気がした。

食べ物は相変わらず、甘いものとか、食べるラー油とか、そういうもの以外は、ほとんど味がしないので、いまいち食べている感じがしていなかったけれど、今なら前よりも、食べられる気がしたので、お肉を食べに行こうと思った。

でも、じゃあどこに行こう？と思って、思いついたのが、会社のぎりぎりランチ圏内にある焼肉のチェーン店だった。
安くて美味しいので、出社した日で今日は肉を食べるぞ、という日は、ときどきお店までダッシュで行って帰って、食べていた。

なのでさっそく、病院からそのお店までの道筋を検索した。
でもさすがに遠くて、歩いていこうと思うと、ちょっと大変そうだった。

歩かないのも物足りないので、最寄り駅の２駅前で降りて、そこから歩こうと思った。昔、会社の人とみんなでダイエットをしたとき、１、２駅歩くというのは結構やっていたし、道もなんとなくわかるから、まあ大丈夫かなと思った。

一応、スマホの地図アプリの目的地にそのお店を打ち込んで、見ながら歩いた。
最初は知っている道だったけれど、途中から私の知っている道じゃなくなった。

地図のアプリは、あらゆるいろんな小道を使って最短ルートで行かせようとするので、案の定迷った。
だんだん本当に、私の知っているお店に向かっているのか心配になるくらい、知っている景色と違かった。
でも、１時間ちょいで、無事に目的地の焼き肉屋さんに着いた。

店内を見ると、混雑するちょっと前に来れたみたいだった。
一人です、とお店の人に伝えて会社のランチで来るときと同じように、この日もカウンター席の端っこに座って、いつも食べていたランチセットを頼んだ。

いつもご飯は半分にしてもらっているので、今回もそうした。味がするような、しないような、美味しいような気がした。
会社に普通に行っているときみたいに、焼き肉屋さんでランチをとることができたので、ふと、私は他の人から見たら、どういうふうに見えるだろうと思った。
私のように、帽子を被っている人はあまり見かけないから、やっぱり少し変かなと思ったりした。でも、たぶんきっと、自意識過剰だと思った。

食べ終わったあとは、駅のほうまで歩いて行った。
私の会社は駅の近くのビルなので、遠くから眺めた。
それから、お昼時だったから、会社の人に会いませんようにと思って、帰路についた。