抗がん剤を前に、ウィッグを買いに行く ~とあるOLの乳がん日記【75】
75.
次の日は姉とウィッグを選びに行った。
ちょうど両親が親戚の法事で午前中から出かけていたので、せっかくだからウィッグ屋さんで合流しようという話になった。
家で少しもたもたしていたせいで、予約時間ギリギリに到着した。
お店で、試着したいウィッグをいくつか選ぶと個室に案内してもらって、さっそくつけてもらった。
家族が、どれが似合うとか写真をとったりしながら色々意見をくれて、今の髪の長さと近いウィッグでより自然に見えるほうを、誕生日プレゼントということで親に買ってもらった。
なんか頭が大きく見える気がしたけど、髪の毛が抜けたらより自然に見えますよということで、そういえばそうかと思った。
あと、もう1つ、通院するときとかに気軽に使える、髪の毛付きの帽子というのも気になっていて、それも試着させてもらった。
それもなかなかよかったので、これとウィッグの手入れに使うシャンプーやブラシやウィッグスタンドなど必要なもの一通りと一緒に、誕生日プレゼントということで、姉に買ってもらった。
それから夏の間の対策として、冷感インナーキャップも。
自分で付けられるようにならないといけないので、練習もしつつ、最後にせっかくだから、ロングのパーマがかかったウィッグを体験させてもらった。あまり似合ってなかったけれど、こういう髪型も憧れというか、今までやったことのない髪型だったのでちょっと楽しかった。
次の日は会社だったけど、この日はいつもとちょっと違った。
会社の記念日で、午後から都内の会場に社員全員が移動して、記念の催しがされることになっていた。
しかも明日はいよいよ抗がん剤だったから、上長が終わったあと私の壮行会と称して、チーム全員で何か食べに行こうと店を予約してくれていた。
抗がん剤のスケジュールを決めたときは、会社の記念日のこととか全然頭から飛んでたけれど、前日に社内の色んな人と会えて、チームの人とご飯も行けて、なんてナイスなスケジュールなんだと思った。
午前中は、おそらく明日から勤怠が崩れるだろうから、色々不在の間の準備をして、あっという間に午後になった。
会場までは、みんな各自バラバラで行くことになっていたけど、いつも脱出ゲームで遊んでくれる人たちがある程度固まって行くと聞いて、便乗させてもらった。
脱出ゲームの金曜日ぶりだったので、バッサリ切った髪の毛を似合うと言ってもらえて、いい気分になった。