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抗がん剤の副作用で、髪の毛が抜ける ~とあるOLの乳がん日記【88】

88.

なんとなく、自分だけは大丈夫なんじゃないだろうかとか、そういうことを思ってしまってたけれど、全然そんなことはなくて、抗がん剤の投与から約3週間後、ついに髪の毛がごそっと抜け始めた。

ここ最近、手櫛で髪の毛をすくと、抜けてくるなとは思っていたけれど、ああほんとに抜けるんだなと思った。

脱毛に備えて必要なものは、事前にネットで調べて準備していて、例えばそれは落ちた髪の毛をコロコロしてとるやつを1セットとか、抜けた髪の毛をキャッチする不織布の帽子とか、脱毛した人用のシャンプーとかだった。
ちょっと前に買ったまま、放置しっぱなしだったので、すぐに使えるように身近に置いておいた。

抜けるような状態になってからは、髪の毛を洗うのがおそるおそるで、今日はまだ大丈夫、まだ平気、とか思っていたのに、突然、シャワーで髪の毛を濡らして、触っていたら、ずるり、と抜けて、濡れた髪の毛の塊が手に残った。

構わずにその状態で一気に髪の毛を洗ったら、排水溝がすごいことになったので、片づけた。
お風呂を上がって、鏡を見たら、ただでさえ濡れてぺったんこになるから、みすぼらしい感じになっていて、これはもう、ウィッグなしじゃ外を歩けないなと思った。

お風呂から出て、新聞紙をひいて、髪の毛を乾かすとぱらぱらと落ちるので、とりあえず落ちなくなるまで、そうしていようと思った。

ネットの日記やSNSで、髪の毛が抜けたときは悲しくて泣いてしまったという記述を見かけていたので、私もそうなるのかなと思っていたけれど、ぱらぱらと落ちて、新聞紙の上に積みあがっていく髪の毛が、なんだか面白いような気がして、しばらくずっとそうしていた。

でも、とりあえず落ちるのが止まったので、溜まった髪の毛をぼーっと眺めていた。
悲しいとか、そういう感情はそのときはそんなにないような気がした。

溜まった髪の毛を眺めながら、座っていたら、TVを見ていた姉が私に気づいて、抜けたんだね、と言って、髪の毛を新聞紙ごと片付けてくれた。
気を遣ってくれたのかなと思った。

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