縁切りのお参りに行ってみる ~とあるOLの乳がん日記【91】
91.
そういえば、会社にはさりげなくウィッグを被って出社をするようになっていたけれど、後輩の子や、上長に聞いてみたら、全然気づかなかったと言われた。
個人作業の多い仕事なので、他の人にそんなに注意を払っていないというのも、あると思うけれど、髪を切ってからの、ウィッグへの移行が自然にできてよかったと思った。
2回目の抗がん剤が明日に迫っていて、世の中はちょっとずつ春めいてきた。
そうしたら後輩の子が、お昼に外で食べませんか、と声をかけてくれた。
珍しいことなので、どうしたんだろうとよく聞いてみると、会社の近くに神社があって、そこに縁切りで有名なスポットがあるということだった。
後輩の子は、最近とても縁を切りたいことがあって、そのお参りのついでに、神社の境内で桜を見ながらお昼を食べる予定だった。
それを聞いて私も、明日は2回目の抗がん剤だし、神様にお参りしておこうと思って、便乗させてもらうことにした。
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そんなに食欲はなかったけれど、コンビニでおにぎりとサンドウィッチを買って、神社に着いた。
そんなに寒くなくて、良い陽気で、桜を撮りに来た人がいたり、子供と一緒に来ている若いお母さんだったり、私たちの他にもちらほら、人がいた。
境内に座るところがあったので、そこに2人並んで座って、もぐもぐとご飯を食べた。
後輩の子は、境内でご飯を食べると、そのご飯が力をくれるんですよ、と言って、それを聞いたらなんだか力をもらえた気がして、嬉しくなった。
あとで知ったけれど、彼女なりに私を応援してくれていたんじゃないかと思ったし、彼女が縁を切りたいものが、迷惑をかけている私じゃありませんようにと、ちょっとだけドキドキしたりした。
ご飯が食べ終わってから、後輩の子はきょろきょろと境内を見回して、あそこでお参りしましょう、と言った。
よくわかってなくて、とりあえず一緒に並んで、明日の抗がん剤が辛いものではありませんように、とかお祈りをした。
終わって、よし、とか思っていたら、今のが縁切りで有名なスポットなんですよ、と後輩の子が教えてくれたので、あ、間違えた、と思った。
今のお願いだと、辛くない抗がん剤と縁が切れてしまうと思ったので、慌てて、さっきのはナシでお願いしますと、お祈りしなおした。
ただでさえ心が弱っているので、心配になって、大丈夫かな?と後輩の子に聞いてみたら、神様は心が広いから大丈夫ですよと言ってくれて、そうだよなと思った。
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