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そこに本がいた。【小さなしあわせをくれる本】

 私たち「チームひだまり」は、コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する連続講座「企画でメシを食っていく」(通称企画メシ)から生まれたプロジェクト。日常の中の小さなしあわせに目を向けて、このnoteを綴っています。

 これからテーマを決めて「小さなしあわせエッセイ」を綴っていきたいと思います。最初のテーマは「小さなしあわせをくれる本」。本好きが集まるチームひだまり。自己紹介の時には好きな本や作家について伝えました。
 今回は、メンバー・しょこの「小さなしあわせをくれる本」について。

本屋さんが好き

 幼稚園生のころ、将来の夢について「まだわからない」と書いた生真面目すぎる子どもだった私ですが、いつのころからか「本屋さんになりたい」と思うようになりました。本屋さんになったら、いっぱい本を読めると思っていたのです。小学生のころは図書室に通い詰めて、「日本の昔話」「日本の神話」「世界の神話」などを片端から読み、図書カードにスタンプを集めていました。新刊を買ってもらうのを楽しみにしていた児童書のシリーズもあります。

 大人になって、ふとまた本屋さんを夢見たことがあります。イギリスに住む友人を訪ねたときに、ロンドンのポートベローという街で開かれるアンティークマーケットに出かけました。そこで見つけたのが、「Books for Cooks」という名の本屋さん。料理本だけを集めた店で、奥にはカフェがあります。私もこんな本屋さんを作りたい、私だったら旅の本を集めた本屋さんにしたい、やっぱりカフェも併設したいよね、などと考えました。

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 でも、ものすごく不器用な私に、カフェの運営は難しそうです(問題はそれだけではありませんが)。それに掃除も苦手だし。誰か一緒にやってくれる人がいたらいいなあ。悩みを抱えている人に本を選んでくれる本屋さんも面白そう、などと妄想を膨らませました。

 今はインターネットで簡単に注文できるし、便利な電子書籍もあるけれど、やっぱり本屋さんはいいものです。店内に満ちる新しい本のにおいも好き。平積みされた話題の本や特設コーナー、店員さんのPOP、背表紙と目が合うことも。本屋さんには、本との偶然の出合いがあります。

本がそばにいてくれた

 このnoteで、チームのメンバーでお互いにインタビューし合う企画をしました。私を担当してくれたのは、くれちゃん。オンラインで話す日、ちょっと緊張していました。だいぶ年の離れた私たち。私の話を聞いて面白いだろうか。そんな不安がありましたが、くれちゃんは熱心に耳を傾けてくれました。

 質問に答えながら幼いころを振り返り、話が中学時代に差し掛かったときのこと。「中学生のころは学校になじめなくて、いい思い出がないんだよね」と話した私に、「でもその中でも、何かよいことがあったでしょう?」と尋ねられ、甦ってきた記憶がありました。吉本ばななさんや辻仁成さんなど好きな作家ができたことや、友だちと本を貸し借りしたこと。今は無くなってしまったけれど、学校の近くにあった本屋さんに、放課後に立ち寄ったことも思い出しました。

 ちょっと辛かった日々にも、本がそばにいてくれた。そう思うと、暗黒時代だと思っていた過去が、少し明るく見えてきました。これは、阿部広太郎さんの本「それ、勝手な決めつけかもよ?」の中にある「過去の解釈」に通じます。

過去の出来事を変えることはできない。
けれど、その捉え方や意味は更新できる。

 くれちゃん、過去を解釈し直すきっかけをありがとう。

旅の気分を味わう本

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 旅が好きな私ですが、移動が制限される中で、しばらく旅には出られそうにないと思っていました。そこで昨年は、読みかけだった村上春樹さんの紀行文集『ラオスにいったい何があるというんですか?』を引っ張り出し、久しぶりに『遠い太鼓』を手に取り、『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』も読み返しました。『遠い太鼓』はギリシャを旅したときに友人に教えてもらった本。村上さんがギリシャやイタリアに滞在したときのことが書かれています。

 昨年の夏は少し体調を崩してしまい、村上さんの新刊をベッドでゴロゴロしながら読みました。ラジオ番組「村上RADIO」で過去の著作の話題を聞き、また読み返したくなっています。今行きたい場所は、今年オープンしたばかりの「村上春樹ライブラリー」です。

新しい世界をひらく本

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 「企画メシ」に参加して、企画生(受講生のことをこう呼びます)の皆さんに、おすすめの本をたくさん教えてもらえたのはうれしい出来事でした。読むのが遅い上に、好きな作家ばかり読んでいる私には、未知の作家や分野の本がいっぱい。あれも読みたい、これも読みたい、と思いながら、まだ積読にも至っていません。忘れてしまいそうなので、すすめられた本のリストを作りました。

 企画メシ第5回の講師は、出版社「ライツ社」代表の大塚啓志郎さんでした。講義前に届いた大塚さんからのメッセージは、ライツ社さんの本に挟まれたしおりやWebサイトにも掲載されている言葉でした。

本とは、凍りついたこころを解かす光です。

 この言葉を目にした時、ちょっと涙が滲みそうになったのを覚えています。私の人生に、いつも本は寄り添ってくれていました。

 くれちゃんに続き、私の話を丁寧に聞いてくれた人たちがいます。企画生のユニット「図書係 山と川」のお二人です。なんと1時間近くもの間、インタビューが続き、驚きました。これをもとに、1冊の本を選んでくれるというのです。

 ライターという仕事柄、人の話を聞くことは多いものの、聞いてもらう機会はあまりないので、新鮮でした。他のみなさんに申し訳なく、気恥ずかしくもありましたが、話を聞いてもらえるのはうれしいものだと思いました。誰かに本を選んでもらうという経験はあまりないので、どんな本が届くのか、いまから楽しみです。

 そういえば一時期、友だちの誕生日に写真集や詩集を贈ったり、結婚祝いに料理本を贈ったりしていました。手放してしまった本もあるけれど、いろいろな本との思い出が甦ります。

 いつもそばにいてくれた本たち。懐かしい本との再会も、新しい本との出会いも楽しみです。

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 よかったら、あなたの見つけた小さなしあわせについても、「#小さなしあわせみっけ」をつけて、教えてください🍀

※企画生のみなさんで、「小さなしあわせをくれる本」のエッセイを書いてくださる方、募集します!「ひだまりチーム」までご連絡ください。


文:しょこ
写真:しょこ、Mihoko
Special Thanks:まっきー

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