オリンピックの「感染対策」バイアス
現在、COVID-19の第11波が日本を襲っている。一方で、パリでは現在オリンピックが開催されているが、観客を見てみると満員のスタジアムで大声を出しており、マスクを着けている人も見当たらない。このことから、「海外は平常に戻っているのに日本だけ騒ぐな」と言う人もいるが、ちょっと待ってほしい。米国のメジャーリーグやカタールのワールドカップ、WBC、ラグビーワールドカップなどでも同じようなことを言う人がいたが、スポーツ大会の観客を海外の感染対策の指標とすることは正しいのか。そもそもスタジアム内では観客が密になっており、COVID-19に限らず感染症のリスクは高い場所である。COVID-19の感染対策をしっかり行っている人はスタジアムに行こうとは考えないので、必然的にスタジアムにいる人は感染対策への意識が低い人が多いことになる。つまり、スタジアムでは誰もマスクを着けていない、と言ってもそういう人が集まっているからだ、としか答えようがない。現に日本でも、プロ野球中継を見てみるとマスクを着けている人の割合は駅や公道上と比べると非常に少ない。2022年のワールドカップの頃は、日本では殆どの人がマスクを着用していたが、カタールでの日本人観客は誰もマスクを着けていないということで「やっぱり日本人のマスクは同調圧力だった!」「日本に帰るとまたマスクを着けるのか?」という人がいたが、そもそも彼らは日本でマスクを着けていたのか。マスクを着けずにマスク必須の店舗に入ろうとしてトラブルを起こしていたような人が、わざわざパンデミックの最中に海外旅行してワールドカップを観戦していたのではないか。
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