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【第23話】「Nikon Z fc」の好評を祝しニッコールレンズの話をしよう!Web写真展

スクリーンショット 2021-07-01 18.02.05

(写真はニコン公式サイトより)

最近、昭和ブームだと聞いた。

言われてみれば、TwitterなどSNSで昭和を感じさせる建物や飲み屋街、路地裏の写真を頻繁に見かける。

しかも、若い女性が好んで”昭和”を撮影しているのを見ると、いまとなっては昭和はむしろ新鮮でロマンを感じさせる時代なのかもしれないと思ったりもする。

その昭和を象徴するアイテムのひとつがフィルムカメラである。

当時、プロカメラマンに愛されたニコンが、クラシカルなミラーレスカメラ「Z fc」を発売した。「Z fc」は多くのカメラファンに人気だった「FM2」をベースにデザインされた。

1982年、Nikon FM2は軽量コンパクトなだけでなく世界初の速度1/4000秒シャッターを搭載して登場した。プロ機Nikon F3が13万9000円だったのに対し、Nikon FM2は6万3000円。ほぼ半額だった。

その当時、私の後輩が「F3を買うお金がない」と言って、このFM2を購入し、素晴らしい写真を撮っていた。重さはF3の715gに対し、FM2は540g。携帯性も良かった。

私はF3を購入し歯を食いしばってローンを返済しているのに、後輩は安価なFM2だから経済的負担も少ない。もちろん描き出される写真に差などあるはずもない。ちょっと複雑な気分だった。

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(上記写真は、Nikon F3 + Ai NIKKOR 50㎜ f1.4で撮影)

その後、フィルムカメラはAF時代に突入するわけだが、それでもMFのFM2はプロアマ問わず、多くのカメラファンに支持された。

バブル崩壊後の1993年になっても、トップとボトムカバーをチタン外装にした「Nikon New FM2/T」が登場。「FM2」という言葉に、さまざまな記憶がよみがえった人も多いと思う。

Z fcは、よく練られたモデルだと感じた。

ボディの厚みは「FM2」とほぼ同じ。材質もマグネシウム合金を使用している。ダイヤルはアルミ削りだしで、天面表示は全て刻印という具合だ。精緻な作り込みなので、古くからのニコンファンも「じゃない感」のないプロダクトだと感じる。

ただ、この機種は若い人たちがメインターゲットかもしれない。

公式ホームページの冒頭は若い女性が撮影している画像だ。液晶モニターは自撮りも可能なバリアングル、エルメス風の上品な色合いのカラーバリエーションも準備されている。

価格は10万円台に抑えられ、少し頑張れば買える価格帯だ。ちなみにDfは2013年の発売当初、約25万円である。

この「Z fc」が売れて、ニコンには復活してほしいと思う。

私は決してニコン信者ではないが、ニコンやペンタックスのような劣勢が伝えられているメーカーが元気になれば、一部メーカーの高額商品が跋扈することも減ってくるだろう。何よりも日本にとって数少ない世界トップのプロダクト・カメラが活気付く。

で、私はZマウントの前に、いまはFマウントを研究中だ。

私のニコン史はマニュアルレンズ(MF)時代でストップしている。Nikon F3で仕事をしていたが、その後、現場を離れてしまったので、MFのAi NIKKORしか知らない。

このため、最近、歴史を遡(さかのぼ)るようにFマウント機材を購入し始めた。先月、ようやくD850に辿り着いたが、その経緯は前回記したので、ご関心のある方は参照してほしい。

Fマウントレンズを学ぶ上で、母艦カメラはDfにしようか、それともD850か迷ったが、次の3点でD850に決めた。

①現行機種の購入によってニコンを応援できる
②プロ機D5と同一のセンサー・画像処理エンジンなので性能・機能は十分
③オールドレンズから最新のNIKKORレンズまで幅広く使用できる

この判断は間違いなかった。私が1980年代に使っていたAi NIKKORをはじめ、最新のステッピングモーターを搭載したAF-Pレンズまで撮影に使用できている。

しかも、その表現力は素晴らしい。D850とニッコールレンズたちの描写をご覧いただきたい。いずれも安価なレンズで撮影した。

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 50mm f/1.8 G)

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 85mm f/1.8 G)

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 85mm f/1.8 G)

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(上記写真は、D850 + AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR)

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(上記写真は、D850 + Ai AF NIKKOR 35mm f/2 D)

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR)

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR)

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(上記写真は、D850 + AF-S NIKKOR 50mm f/1.8 G)

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(上記写真は、D850 + AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR)

上記の写真は、どれも、いわゆる”撒き餌レンズ”や”安価な便利ズーム”と呼ばれるものを使用した。なぜなら、初心者が最初に手にするような安価なレンズには、そのメーカーの魂が反映されていると考えるからだ。

その意味で、NIKKORレンズの特徴は安価なレンズでも描写力が高い点だと感じた。

私のFマウント学習は始まったばかりだが、未知の過去を知る事は常に新鮮で楽しいものだ。ただ、私の学習は、まだ穴がある。

それはオートフォーカス(AF)時代のフィルムカメラを知らないし、その時代に誕生した銘玉の味もまだ未経験だ。

次回は、その話をしたいと思う。

これまでライカの歴史をたどったりもした。ライカはコストもまた桁違いだったが、ニッコール史の勉強はコストも安い。1万円前後で素晴らしいレンズに出会うことができる。何より日本カメラの近現代史を辿るようなロマンと面白さがある。

昭和レトロの詰まったNikon Zfcが登場した、この機に、ちょい古ニッコールの世界も覗いてみては如何だろうか。キレキレ・カリカリの近代レンズとはまた一味違う写真表現が見つかるかもしれない。

最後に、最近、お気に入りのフィルム写真を掲載して、今回は失礼したい。

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(「昭和色の山手線」 目黒駅周辺から「Nikon F3 + Ai NIKKOR 50㎜ f1.4」で撮影)

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