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【第21話】ペンタックスの森は新発見だらけだった!私のカメラ遍歴と写真③

ソニー、フジフイルム、そしてライカと、私のカメラシステムは完成した。もうカメラもレンズも要らない。

と思った矢先、足を踏み入れてしまった森があった。ペンタの森である。

そもそも、フィルムカメラで仕事していた時代、ニコンF3を使い倒していたので、30数年ぶりにカメラを再開した際、「デジタル一眼レフも同じようなものだろう」と見向きもしなかった。

そうはいっても一度きりの人生。「試しにデジイチも経験してみようか」とヤフオクを見たら、レンズ付きで1万円以下、しかも使えそうな個体が投げ売り状態だった。

しかし、キヤノンやニコンのデジイチを選ぶのでは月並みだ。ちょっと遊び心のある機種はないだろうか・・・

ペンタ森への誘惑機「K100D Super」

そのとき目に止まったのが、シャッター回数がまだ8000回ほどのキットレンズ付きPENTAX「K100D Super」だった。価格は8900円だった。

ペンタックスは最も関心のなかったメーカーだ。しかし、なぜか、心に残った。

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私の心を引いたポイントは次の3点。

①いまはなきCCDセンサー
②ボディ内手振れ補正搭載
③ボディ重量570g

私は2011年に発売されたライカM9-Pが愛機だ。おそらく一生手放すことはないと思う。

M9-Pの機能は最近のデジタルカメラに著しく劣るが、CMOSセンサーではなくコダック社のCCDセンサーを採用している。そのためか、狂ったような発色や絵作りが魅力で、M9-P独特の世界観がある。

2007年発売のPENTAX K100D Superは、ソニー製のCCDセンサーを採用していた。600万画素に過ぎないカメラだが、ソニー製のCCDはどんな描写なのか、一度見てみたいという衝動に駆られた。

なんせレンズもついて「K100D Super」は約9000円なのだ。ダメモトの購入だった。

もうひとつ興味をそそられたポイントは、2007年発売のエントリー機にもかかわらず、3.5段分のボディ内手振れ補正が搭載されていたことだった。

ペンタックスは、最近話題のK-3Ⅲや、フルサイズK-1Ⅱをはじめ、ほぼ全ての機種にボディ内手振れ補正を搭載している。2007年当時からボディ内手ぶれ補正というのには驚いた。

この点はレンズ側に手振れ補正を入れているキヤノンやニコンとは大きく異なるペンタックスの魅力だと感じた。

次の写真は「K100D Super」が届いてすぐに撮影したもの。これがわずか600万画素しかない、14年前のエントリー機の描写である。

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(写真はPENTAX K100D Super + SMC DA 18-55mm F3.5-5.6 ALで撮影)

ペンタックスの魅力が凝縮された「PENTAX KP」

PENTAX K100D Superは、久しぶりに一眼レフで撮影する心地よさを思い出させてくれた。そして私のペンタックス機研究が本格化した。

いろいろな機種を調べているうちに、ペンタックスといえども、機種によっては、突然、ファインダーがブラックアウトする「黒死病」や連射が止まらなくなる「パタパタ病」が発症するものがあることも知った。

そのうえで、安心安全な機種として、次に選んだのが2017年に発売された「PENTAX KP」だった。これはスペックもさることながら、小型軽量でクラシカルなデザインが素晴らしかった。

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私はスナップに最適なデジタル一眼レフのベストカメラに選出した。そのときのブログ記事が以下の通りだ。

詳しいスペックはブログ記事に譲るが、色作りの素晴らしさ、高感度耐性の優秀さ、AFも必要十分、カメラにとって大切な要素を過不足なく盛り込んだ機種だった。

このカメラは2017年2月発売時の市場価格が12万円台。最近発売されたK-3Ⅲのほぼ半値。まさにリコーペンタックスの良心だと感じた。

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(写真はPENTAX KPで撮影)

残念ながら、KPは、今年初め、生産が終了した。メーカーはKPの存在が25万円台で売り出した新機種K-3Ⅲの販売戦略上、妨げになると考えたのかもしれない。

私はキットレンズ(SMC DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL IF DC WR)つきの中古を7万円ほどで購入したが、コストパフォーマンスに優れた魅力的なカメラだった。

ペンタックス最高画質のフルサイズ「K-1 Mark Ⅱ」

「K100D Super」にしても、先程の「KP」にしても、センサーサイズはAPS-Cである。

私はフルサイズ信奉者ではないが、やはりフルサイズを試してみたくなっていた。なぜなら、ペンタックスがフィルムカメラ時代に誕生させたフルサイズ用の銘玉を買い揃えていたからだ。

かの有名なLimitedシリーズ・3姉妹である。

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(写真左から、SMC FA31mm F1.8 Limited、SMC FA 43mmF1.9 Limited、SMC FA 77mm F1.8 AL Limited )

鏡筒はアルミ削り出し、あえて収差を残した味わいのある描写・・・ライカ愛好者の私から見ても、Limitedレンズのデザインと質感はライカと戦える数少ない国産レンズだと感じている。

フルサイズ用のLimitedレンズはやはりフルサイズ機。レンズ隅々の収差が楽しめる。私は導かれるようにK-1Ⅱを手にしていた。K-1Ⅱもまたペンタ部の形状がシャープで、KP同様、クラシカルだった。

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K-1Ⅱに「SMC FA 43mmF1.9 Limited」を取り付けた姿も素晴らしい。クラシカルなカメラをさらにブラッシュアップするレンズでもある。

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K-1Ⅱは有効3640万画素、高画素機の部類だ。しかし、5軸のボディ内手振れ補正を搭載しているため、高画素機特有の微ブレを心配する必要もない。

しかも、撮影感度はISO100~819200まで可能で、暗所性能に優れている。6400や10000程度に上げてもノイズは気にならない。そしてLimitedレンズが本来のフルサイズで楽しめるのである。

まさに、ペンタの森の核心に到達した気分だった。

肝心の描写力だが、色乗りの良さ、色味の心地良さはもちろん、フルサイズ&高画素だけあって画質にゆとりを感じた。

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(上記写真は、K-1 Mark Ⅱで撮影)

この高性能なフルサイズ一眼レフがペンタックスだと新品で20万円前後、中古だと15万円前後で買えてしまうのである。ちなみに、私は13万円台で中古を手に入れた。

最後に、今年4月に登場したPENTAXのAPS-C機「K-3 MarkⅢ」にも触れておきたい。

25万円台という高価格で登場したが、熱狂的な支持者ペンキシアンが待望していたこともあり、発売時の4月はカメラ量販店の販売ランキングではミラーレスを抑えてトップに躍り出た。

さすがに欲しい人たちに行き渡ったのか、最近はトップ10から圏外に去ったが、それでも久しぶりに一眼レフ機を愛好し支持する人たちは少なくないことを印象付けた。人気薄になった頃、私も購入したいと考えている機種である。

時代がミラーレスに大きく移行している現在、ペンタックスは一眼レフ専業を宣言した。これが経営に与える影響云々という話題も目にするが、カメラ好きとしては多様性が大切だと思う。

ミラーレスに強い企業もあれば、一眼レフの伝統を守ろうとする企業があってもいいではないか。「頑張れ、ペンタックス」である。

追伸:次回は「私のカメラ遍歴」最終回。30数年前、仕事で初めて使ったカメラはNikon F3。これで写真撮影のイロハを学んだ。そのニコンが経営難とも伝えられている。では、趣味用に、私はどのニコン機を選んだのか、お伝えしたい。


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