ネコ→猫→ネズミ
読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─
先日までは猫が主役のおはなしを読んでいたが、今回はマイケル・ホーイ 著/雨沢泰 訳『ネズミの時計屋さんハーマックスの恋と冒険(1)“月の樹”の魔法』を読んだ。
タイトルを目にした時、ふと「ねずみくんのチョッキ」シリーズのかわいいねずみくんの姿が浮かんでどんな内容なのか気になったのと、カバーの絵がきれいだったのが決めてだった。
時計屋を営むネズミ ハーマックス・タンタモクが巻き込まれた事件の顛末。最後に待っている奇跡が良かった。
ところでこのお話、読んでいる間中、各章がすごく短いのが不思議だったのだが、あとがきを読んで納得。もともとは、作者が、仕事で遠方にいる配偶者に向けてメールで記した読み物だったとか。それが、周囲の人に好評で、自費出版に至り、やがて書店員の後押しや口コミで人気が広がり、世界的な刊行物になったと。
そんな、たくさんの人たちの後押しに支えられた一冊。
続刊二冊もストックしてあるので、しばらくはネズミの時計屋さんの冒険を楽しもうと思う。
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