オチのついてる夢を見た

今日、人生で初めてオチのついた夢を見ました。

夢の話って「人に話すな」「面白くない」と言われがちですが、その大きな理由がオチがないことに起因していると思ってます。

ただ、今日は夢の内容が個人的に面白く、かつ人に話せるレベルに仕上がっていると思い、日記がわりに小説形式で書いておきます。


家出

今日見た夢が起きた瞬間から忘れられない。あの、真実が明らかになった時の衝撃とその後味の悪さには今も少し震えている。

その夢の内容の話をしよう。

それは私が高校生の時のことのようだった。父に理不尽なことを言われ、(その内容は忘れてしまった。論理的でない内容はすぐ忘れるから困る。)いつものように家出を決心するのであった。しかし、なぜかいつも見つかってしまうため、その日は財布も、携帯電話すら持たず、さらに居場所を悟らせないために山の中に逃げ込んだ。食料が心配だったが、とにかく逃げたい一心だった。本当に服だけ着たような状態だった。これでも見つかったなら、体にGPSでも埋め込まれているな、と他人事のように考えた。

山は木で覆われており、森の中に隠れれば少しは時間が稼げるかもしれない。家出とは衝動的にするものであり、特に逃げた先に何かを求めているわけではない。とにかく逃げたかった。

しかし山に入って半日程経ち、案の定食料がなく、腹が減ってきた。怒りも少し身を潜めてしまい、代わりに空腹が襲ってきた。

仕方なく街の方まで降りて行こうとするも、自分がどこからきたかすらわからなくなってしまった。どうやら迷子のようだ。

そうしてさらに半日歩いていると、空腹と疲れがどっと溢れ、少し木の根元で眠ることにした。そこから一度、あまりの空腹に夜中に目が覚めた気がするが、すぐに意識を失った。そして目が覚めることはなかった。

くっつけたコロッケ

唐突に目が覚めた。周りを見るとどうやらどこかの病院に寝ているようだ。

「成功じゃな」

声の方に目を向けると、ニコニコした白衣のおじいさんが立っていた。医者だろう。
おそらく山で気を失った後、通りかかった誰かに救助され、ここに運ばれたのだろう。その時医者の男の足元で物音が鳴った。

カサカサカサッ

医者の男の足元を一匹のネズミが走っていった。ネズミが跋扈している病院は嫌だなあ、と思っていると、

「また一匹逃げたか」と医者が言った。「実験用のマウスですか。」と尋ねると、まあそんなものだと軽く肯定された。

特に何か手続きも支払いもなく退院することになった。なぜか服は病衣のまま退院となった。来ていた服はどうなったのだろう。シャツはお気に入りだったのだが。汚れていたりして処分されたのだろうか。まあいいか。
「親御さんが迎えに来るから少し待っていなさい」と言われ、仕方なく病院の辺りを散策することにした。家出の原因である父に迎えに来られるのは正直癪だが仕方ない。病院を出て辺りを見渡すと、何かいい匂いがした。その時、自分がまだ大変空腹であることに気づいた。点滴などで栄養を補給したのだろうか、飢餓感はまだ治っていなかった。

ハッと気づくと私はお惣菜コーナーのコロッケを半分にし口に運んでいるところだった。まだ会計もしていないはずだ。まずいと思い、周りを見渡すと、もう遅いようだった。店員と思しき人がこちらに走って来る最中だった。

「何やっているんですか!」「すみません、どうしてもお腹が減ってしまって。まだ食べてはいないと思いますが、コロッケに手をつけてしまっています。本当に申し訳ないです。」我ながら情けない。お腹が空いて、万引きするとは。

「なるほど、隣の病院の患者さんですか」店員はどこか憐れむような表情で私の病衣を一瞥した後言う。「コロッケの方は不問にしましょう。半分に割っただけでしょう?またくっつけて揚げれば誰も気づきません。最近は少ないですがネズミが多い場所です。人間が触るならまだマシでしょう。」そう言いながら、彼女は皮肉そうに笑った。私はあげなおしたコロッケなど食べたくはない。この店に来るのはやめておこう。ここがどこかはわからないけど。

万引き未遂は許されたものの、とんでもないことをやってしまった。肩を落としながら店を出た。辺りはもう夕方のようだった。隣の病院の辺りにちょうど両親の姿が見えた。どうやら迎えにきたところのようだった。「帰るぞ。」父の車に乗り込み家族三人で家に帰ることにした。その時は流石に家出の時の怒りも忘れ、少し安心した。母は病院で会計を済ませてから助手席に乗り込み、車は走り出した。

ただ平穏もほんのひとときのことであった。車が走り出し数分で私と父はまた些細なことで口喧嘩を始めた。内容は覚えていない。ただひどく悲しい気分になり走行中の車のドアを開け、車道に飛び出したことは覚えている。文字通り自殺行為だったが、案の定、対向車線からライトが私に向かって照らされていた。そのライトがゆっくり近付いてくるのが見え、自らの失態に気づいた。

目覚め

目覚めるとそこは先ほどの病院であった。ただ、先ほどの医者の姿は見えなかった。今度は大怪我じゃ済まないだろうと思い自らの体を見ると全くの無傷に見えた。相当腕のいい医者なのだろう。

体は元気なのでベットで寝ているのも暇だと思い、病院内を少し物色することにした。

隣の部屋のドアの前に来ると話し声が聞こえた。少しドアが空いていたのでそこから覗いてみる。見づらかったがどうやら以前みた医者が子供と話をしているようだ。子供はぬいぐるみか何かで遊んでいるようだ。そう思い手元をみたとき、驚愕した。子供が持っていたのはネズミを縫い合わせた人のような姿のモノだった。よくみると子供の足元にも大量のネズミの死体が転がっていた。

あまりの光景に硬直していると、医者が言った。「次の依頼は成人男性だ。連続だが10万で頼めるか。」子供が答えた。「平気だよ。楽しいし。この人ももうすぐ終わりそう。」そう答えながら、子供はネズミを縫い合わせているようだ。

すぐさま病院から逃げ出した。逃げながら大声を出し、慟哭した。家出してもなぜすぐに見つかるのか。なぜ怪我がないのか。くっつけたコロッケは私だったのだ。今の私は何人目の私なのだろうか。



目を醒めるとそこは父の車の中のようだった。運転席には父が座り、助手席には母がいた。そして、後部座席には「私のような何か」が座っていた。

もう考えるのはやめよう。忘れよう。ただ一つ引っかかることがあった。



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