見出し画像

【ショートショート】いつも君のそばで眠りたい

今日は佳奈の様子がおかしい。
いつもなら
「ただいま♪今日は何してた??」
と優しい笑顔で真っ先に俺の顔を見に来てくれるのに。

少し悲しい目をして俺のとこに来ると、
何も言わずに横に座った。
こんな時に俺は何もしてやることができない。

…イライラする

だけどそばにいてやれるのは俺にしかできないことだ。

体を起こして座り直すと
佳奈の体に寄り添う…

佳奈はそんな俺に
「ありがとう」と
震える声を絞り出しながら
俺の体に優しく触れる

佳奈の手の温かさに
心地よさを感じながら
ただただ動き続ける時計の針を
静かに見つめる

・・・・

なんだか良い匂いがする

俺とした事が、ついつい寝てしまっていたようだ
あれ?隣にいたはずの佳奈がいない
匂いがする方を見ると
そこには笑顔の佳奈がご飯の準備をしていた

悲しい顔をしていたはずだが…
さすが俺のおかげか?
それとも夢だったのか?

「一緒に食べよう!お腹空いたでしょ?」

いつもより遅い時間のご飯に
ついがっつく俺。
おっと!なんてカッコ悪い…
こんな姿を見られたら…
そっと目線を佳奈に向ける。
佳奈は嬉しそうに俺をみていた。
クソォ見られてた!
でもこんなに美味しいご飯なら
仕方ないじゃないか!!

しかも佳奈がいつもの優しい笑顔で
俺を見つめてくれている。

あーもう。

俺の気持ちが君に伝えられたら
どれだけ幸せだろうか。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか

「貴方と話ができたら、
  どれだけステキだろうね。

 私の言葉は
  貴方に伝わっているのかな?」

もちろん佳奈が言ってることは
全部わかってるよ!
俺は声を振り絞った


「にゃぉ〜ん…」

どうやっても猫の俺に
人間の言葉は話せない…

なんてもどかしいのだ

だけど、返事をもらえたと思ったのか
佳奈は幸せそうな顔で俺の頭を撫でてくれた


今夜も俺は
月夜に願いをかける


    どうか…どうか俺を人間にしてください


俺なら佳奈をずっと幸せにしてあげられる
これから先もずっと守っていきたいんだ

佳奈を守るように
同じ布団に体を横たえる

おやすみのキスのかわりに
眠る佳奈の頬に
鼻をフンフンとくっつける


ずっと…ずっと一緒にいような


よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは今後の活動費や、他のクリエイターの皆様のサポートに使わせていただきます!