【architecture】南岳山光明寺|安藤忠雄
先のnoteでも紹介した淡路島の本福寺水御堂に続けて安藤忠雄による寺院建築である
こちらは愛媛県西条市にある2000年竣工の寺院だ
伊予西条駅から徒歩でもいける場所なので今治や松山に旅行の際に是非立ち寄ってもらいたい
さて本福寺水御堂しかりだが安藤建築には実に水(水盤)が設けられることが多い
谷口吉生も水盤を扱うことの多い建築家だが安藤忠雄ほど水盤を多用する建築家は珍しいように思う
普通の建築家は維持管理の大変さを考えると避けがちだか、さすがは闘う建築家安藤忠雄という感じである
そんな安藤忠雄の十八番である水盤を光明寺でも実に丁寧に扱っているように感じた
まず道路から門を潜ると左手に格子の箱型の本堂が見える
最初に目が行くのは4段で構成された垂木による軒先だろう
最もシンプルな形で寺院建築を表現しているように感じた
そして本堂は水盤を隔てて配置されている。
水盤を設けることで本堂を神聖な場所として扱われているように感じることができる
また水盤によりすぐに本堂に入ることはできず一度大回りして本堂へ向かうことなる
このとき本堂も見えないコンクリートで作られた回廊を通ることになるのだが、ここがポイントである
決して広い敷地ではない中で参拝者が本堂に向かうまでのアプローチを水盤と回廊で演出しているのだ
時には本堂が見えない回廊を通ることで本堂の内部への期待感が演出される
そして本堂は剛健な木の柱によって造られた空間だ
格子から水盤に反射する光がドラマチックに差し込んでくる
シンプルなありきたりなストーリーではあるがこれが実際の建築に表現するとなると難しいはずだ
住宅街にありながら、周囲の建物は周到に計算されたコンクリートの壁や木々によって見えないように設計されている
安藤忠雄らしい徹底的に設計されているディテールも見物である