【architecture】IPU環太平洋大学|安藤忠雄
岡山県にあるIPU環太平洋大学のキャンパスは、安藤建築のテーマパークの如く、5つの建築を見ることが出来る
今までの集大成の様な建築が多く、当然コンクリート打ちっ放しの外壁や、鉄やガラスの建築が表現されている
あまり、作品集などには掲載されていないので設計趣旨などはわからないが、恐らく大切にしているのは
・ランドスケープとしての建築
・周囲の環境との融合
かなと思われる
まず、このキャンパスでの設計は最初の設計から10年以上かけて増殖する様に計画されている
一度に巨大な建築を作ってしまうのではなく、機能ごとの建築を時間をかけて作っていくものだ
安藤さんは建築にストーリーを与えるのがとても上手いように感じる
大学や生徒が成長していく様に建築も成長・増殖していく
建築と学校が共に成長していくことで建物への愛着が湧いてくる
六甲の集合住宅やTIME’Sの様に増殖するストーリーが描かれていたのかもしれない
また時間をかけて増殖することで周囲の環境と建築が融合する様に馴染んでいく
広大な土地に広大な自然を相手に建築をする場合、ある程度ランドスケープとして軸線や計画がないと破綻した建築群になってしまうが、全体計画としてとてもバランスが良い様に感じる
安藤さんは建築を志した頃、広島の平和記念公園で丹下健三氏のランドスケープに感動している
平和記念資料館から原爆ドームに向けて真っ直ぐに伸びる軸線の力強さに建築の可能性を感じたのだと思われる
岡山県でもいくつか設計をされているが、どれも緑豊かな環境に馴染む建築ばかりだ
コンクリートの壁に緑の蔦が絡みつく様は自然と一体となる建築を感じられる
一方で直線や円、三角などの徹底した幾何学による形態は自然の中に溶け込みつつも人工物と自然の対比により力強さを感じることができる
絶妙な高さに設定されたコンクリートの壁は
龍安寺の石庭の如く建築があることで生まれる自然の見え方を表現している様に思う
円形のトップライト、水盤、スロープ、自立する壁、階段広場、三角形の開口などなど安藤さんが得意とする要素を一度に見て回ることができる施設になっている
アクセスが悪いが一見する価値はある建築だ