【architecture】法隆寺宝物館|谷口吉生
鬱蒼とした木々の合間からゆっくり歩いて行くと四角くスマートな建築と水盤が現れる
水盤は行く手を遮るように立ち止まらせる
ここで一度足を止めて建物を見てくれと言わんばかりのアプローチだ
そこにはコンクリートで出来たベンチがあるので是非ともそこからの眺めを楽しんでほしい
東京でありながら上野公園内の自然が豊かな立地にある
周囲の環境から異世界に来たような感覚がする
特に秀逸さを感じるのが向かって右側のコンクリート打放しの壁だ
京都の竜安寺の石庭を思わせる絶妙な高さ設定と借景の木々とのバランスが美しい
谷口氏も安藤忠雄氏と並んで水盤大好き建築家のような気がする
いたずらに設けるのではなく必然性と、水盤による建物を除いた余白の空間の設計が特別である
水盤の間をまるで水の上を歩くように進むとエントランスホールにつながる
高い天井と格子、トップライトが設けられた空間は、外の水盤と一体化した縁側のような場所だ
今度は先程見た水盤を室内から眺める楽しみを与えてくれる
建築を介して眺める風景はそこに建築があることで初めて感じることが出来るその場所の魅力に気付かされることであり、建築の存在理由である
設計については、とにかく部材が細く繊細だ
また長い列柱も細く部分と全体のバランスが絶妙である
一切の無駄を排したシンプルな空間構成が日本らしさを感じさせてくれるのだろう
配置されている椅子も建築化されているようで実に空間に溶け込んでいる
内部は貴重な彫刻などが展示されている
併設されているカフェや学習スペースは明るく気持ちの良い空間である
上野公園内にある東京国立博物館の施設のひとつである法隆寺宝物館の設計はニューヨークのMOMAなどを手掛けた谷口吉生氏である
上野公園は数々の名建築が楽しめる絶好のスポットである
是非とも訪れてもらいたい!
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